大韓航空の「アシアナ買収」…提起された4つの課題



  • 国内1位の大型大韓航空会社(FSC)である大韓航空を保有する韓進グループがKDB産業銀行と提携し、アシアナ航空の買収を推進するというニュースが伝えられた中で13日、これら両社の航空機がソウル市江西区の金浦国際空港の滑走路を行き来している。 [イ・チュンウ記者]


KDB産業銀行と大韓航空がアシアナ航空を共同買収する案を検討していることから、航空業界や金融業界と投資業界あるいは政府などで数多くの観測が高まっている。危機に陥った航空産業を生き返らせなければならないという点に対するコンセンサスは明らかだ。しかしこれを実現するための方式については、それぞれの利害関係によってさまざまな声が出ている。実際に買収を実行に移すまでには数多くの難関が残っているという意味だ。

13日、金融委員会のト・ギュサン副委員長は記者らと会って「さまざまな側面から助けになれば、政府としてもあえて拒む理由はない」と述べた。産業銀行が推進する大韓航空のアシアナ航空買収について、政府関係者が公式に肯定的な立場を明らかにしたものだ。

一方でこの日、大韓航空の親会社である韓進KALの主要株主であるKCGI(Korea Corporate Governance Improvement)は法務法人ハンヌリを通じて、「産業銀行が韓進KALに資金を支援してアシアナ航空の買収を検討していることは、現経営陣の地位保全のための対策ではないかと疑われる」とし、「アシアナ航空を韓進グループに編入させることは従業員の雇用と航空安全の問題など、顧客に対する被害と株主および債権団の損失にまでつながる可能性がある」と主張した。

産業銀行などは韓進KALに1兆ウォン規模の資金を輸血し、その資金をもとにアシアナ航空を買収する案を検討している。この買収方式は、いま現在経営権紛争を起こしている韓進KALに対して、産業銀行がオーナー家の「白騎士」として参加するのではないかという主張だ。

このようなKCGIの主張は金融業界や投資業界でかなりの支持を得ている。複数の金融業界の専門家は、「現在議論されてい方式でアシアナ航空を買収すると、特恵論難を避けられないだろう」と指摘した。このためにKCGIは、資金輸血が切実な大韓航空に産業銀行が資金を投入し、その後にアシアナ航空の買収を推進する方法には同意するという立場だ。

このような「特恵論難」に加えて、アシアナ航空の売却優先交渉対象者の地位を主張しているHDC現代産業開発コンソーシアムが法的行動に乗り出したばあい、取引き案の算法はさらに複雑になるしかないだろう。

国内航空産業の国有化に関する議論も問題だ。結果的に産業銀行が韓進KALを通じて、国内の二大航空会社を支配する結果をもたらすからだ。この場合には市場の論理ではなく、政府や政治論理が航空管理に投影され、これにともなう副作用は続くしかないだろうという指摘だ。航空大学のホ・ヒヨン教授は、「産業銀行がどのように韓進KAL株を保有することになるのかにかかわらず、議決権は制限されなければならない」と強調した。国民年金基金が株式を保有している民間企業を相手に強大な力を振るう事態が、航空業界でも産業銀行を通じて再現されることがあるという説明だ。

また世界的な航空業界のトレンドは、国営化ではなく民営化だ。航空大学のキム・ガンシク教授は、「社会主義国家をのぞいて、グローバルな航空業界は民営化が大勢」だとし、「国策銀行による航空会社の支配は時代に逆行する処置」だと語った。キム教授は「もし航空会社が不良となって再び政府が支援するなら、これはそのまま国民の負担になるだろう」と警告した。

国内1・2位の国籍航空会社の結合による独占議論はまた別の宿題だ。

韓国航空協会の航空交通情報システムによれば、韓進系の航空会社(大韓航空・ジンエアー)とアシアナ航空の系列会社(アシアナ航空・エアプサン・エアソウル)の今年1~10月の国内・国際線合算シェアは、輸送客を基準に59.0 %で、貨物基準では69.7%の水準だ。特に韓・米、韓・日、韓・中などの主要路線では占有率が75%を超える可能性もある。

企業結合を最終審査する公正取引委員会は、両社が結合して市場シェアが50%を超えると市場の公正な競争を制限する可能性があると判断し、シェアが75%を超える場合には承認を許さないのが一般的だ。最悪の場合は公正取引委員会の審査で不許可決定が出て、合併が霧散することが起こりうるということだ。

ただし公取委は単純にシェアだけで競争制限性の可否を判断しない。いわゆる「回生不可会社抗弁」が認められれば、企業結合が承認されることがありうる。「回生不可会社抗弁」は回生が不可能な会社を市場から退出させるよりも、企業結合の承認を通じてその会社の資産を市場で継続して利用できるようにしようという趣旨の制度だ。

去る4月に公取委が承認した済州航空によるイースター航空の買収のように、アシアナ航空が企業結合以外に回生することができないという点を立証することが重要だ。かつてIMF外国為替危機時代の1999年に現代自動車が起亜自動車を買収する過程でも独占の問題が浮上したが、起亜自動車が回生不可企業として認められて企業結合が承認されたことがある。

一部では条件付き承認などの可能性も提起されている。この場合は中核路線の運輸権の売却など、事業の収益性を落とす条件が掲げられる公算が大きい。企業結合の実益が落ちるという意味だ。条件なしの承認が行われれば、大韓航空に特恵を与えたという論議がふくらむことがありうる。一方で、航空業界では国内の航空会社間の競争ではなく、グローバルな航空会社間の無限競争時代が開かれているという点で、このような機械的な独占判断は時代錯誤だという指摘も出ている。

政府が今回のビッグディールをきっかけに、現在は供給過剰状態に置かれた低コスト航空会社(LCC)業界の再編に乗り出すかもしれないという分析も出ている。現在、国内航空市場は大韓航空とアシアナ航空の2つの大手航空会社(FSC)と7つのLCCで構成されているが、市場の規模に比べて航空会社があまりにも多いという指摘が多い。さらに、これらの航空会社はコロナ19の直撃ですべてが経営難に直面している。

前述のホ教授は、「たとえ現在は流動性危機に陥っているが、成長欲求が強い済州航空を中心に国内LCCの支配権が再編される可能性が高い」と語る。アシアナ航空とエアプサンおよびエアソウルまでをそのまま買収することは現実的に難しいという点で、LCCの版図の地殻変動は避けられないということだ。ホ教授は「現在の供給過剰懸念が大きいLCC業界が寡占体制に移行して、FSCは1社体制に再編されると国内の航空産業が競争力を引き上げるきっかけになるかもしれない」と強調した。

消費者の観点では、大韓航空とアシアナ航空などのブランドが存続するかどうか、これにともなうマイレージが活用できるかどうかが気がかりだ。航空業界では、両社のブランドがそのまま維持される方向で産業の再編が行われる可能性を高く見ている。

ある業界関係者は、「アライアンスで囲まれたグローバルな航空会社間の提携は、運航便の共有やマイレージの共有などの理由で簡単には脱退しにくく、これは国家間の信頼の問題でもある」とし、「スカイチームやスターアライアンスなど、両社が属するアライアンスに深刻な亀裂がおきないかぎり、両社のブランドが維持されてマイレージも個別に維持される可能性が高い」と述べた。
  • 毎日経済_ユン・ウォンソプ記者/ハン・ウラム記者/ペク・サンギョン記者/ヤン・ヨンホ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-11-13 19:13:22