パニックに陥ったサムスン「投資中止の危機...成長、止まるか」

座礁した「ニューサムスン」 

  • 李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長に対する法廷拘束宣告が出た18日、ソウル市瑞草洞のサムスン電子本社前で黄色い信号が点滅している。 [イ・チュンウ記者]



財界1位サムスンの経営時計が再び止まった。李健煕(イ・ゴニ)サムスン電子会長死去の後、名実共に総帥として一人立ちと将来の新事業拡大などに注力していた李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長が再び拘束されることによって、求心点を失ったサムスンの未来は「視界ゼロ」状態だ。専門経営人を中心に非常経営体制に突入すると予想される中で、グローバル企業サムスンが正常経営活動に乗り出すのは容易ではないだろうという懸念が出ている。

李副会長は18日、国政壟断事件破棄差し戻し審で実刑を宣告されて再収監され、サムスンは「総帥不在」による非常経営体制に突入することになった。 2018年2月に李副会長が控訴審で執行猶予で釈放された後、李副会長と系列社の最高経営責任者(CEO)は相互補完的な役割を果たし、「ニューサムスン」として発展を図っていた時点で、再び「総帥不在」という最悪のシナリオが現実化したわけだ。

先だって李副会長が拘束された2017年当時と同様に、サムスンはしばらくの間は系列社ごとの各個戦闘体制で危機に対応する計画だ。 DS部門長である金奇南(キム・ギナム)副会長をはじめ、金炫奭(キム・ヒョンソク)CE部門長社長と高東真(コ・ドンヂン)IM部門長社長などの現経営陣が部門別経営に責任を持つのうち、李副会長の核心側近であるチョン・ヒョンホ社長が率いる事業支援タスクフォース(TF)がグループ全体を調整する役割を果たす見通しだ。

しかし事業支援TFの役割は限定的と予想される。国政壟断事件に連累して解体された旧未来戦略室の機能を一定部分受け継いだことから、外部の視線はあまりきれいではないからだ。このような理由から、財界内外ではコントロールタワー組織がない中で李副会長が再び拘束され、核心的なビジネス懸案に対する意思決定に支障をきたすだろうという指摘が出ている。

財界関係者は「大規模な投資と人事などは総帥と専門経営者が頭を突き合わせて相談して決定するが、総帥が拘束されると意思決定と責任経営に支障は不可避だ」とし、「李副会長が以前に拘束された期間、グローバル市場で競争力が弱体化したという指摘が出てきた」と語った。

このような懸念はサムスンの内部でもずっと提起されてきた。キム・ヒョンソク社長は昨年の7月、懇談会で「コロナ19の影響でサムスン電子が耐えられないほどのはやい変化がありうる」とし、「このような時に最も重要なのがリーダーだ。専門経営者は大きな変化を生み出すことはできず、ビッグトレンドを見ることはできない」と語った。

特に昨年10月には会長が死去したことで李副会長が名実共に総帥として一人立ちし、将来の新事業拡大などの変化に注力していたが、拘束されたことでグループ全体の動力の低下は避けられなくなった。

コロナ19の拡散と米・中貿易紛争、日・韓関係の悪化など、国内外の不確実性が大きくなっている状況で李副会長が再び拘束され、副会長が推進した「ニューサムスン」戦略も致命傷を負うことになったという分析が出ている。

すぐにも大規模な新規投資と買収・合併(M&A)に支障が避けられない見通しだ。

NVIDIA、AMD、SKハイニックスなどのグローバル半導体企業は、将来の成長エンジンの確保という次元で莫大な資金を投じ、それぞれ英ARM(アームホールディングス)、米ザイリンクス(Xilinx)、米IntelのNAND事業部などの有望企業「狩り」に乗り出している。しかしサムスン電子は2016年11月の自動車電装会社である米ハーマン社の買収を決定した後、追加の買収を念頭に置くこともできずにいる。米オースティン半導体工場の増設を含む国内外の大規模な投資計画発表や、有望企業のM&Aもしばらく中断される可能性がある。

ファウンドリ(半導体受託生産)世界1位企業の台湾TSMCは今年30兆ウォンに達する莫大な投資を予告し、サムスン電子とのギャップを広げているが、サムスンは総帥が不在のため、保守的な経営は避けられないだろうと専門家らは見ている。 2030年までに133兆ウォンを投資して、システム半導体部門で1位を占めるという「半導体ビジョン2030」も将来が不透明になったという評価だ。半導体だけでなく、李副会長が将来の成長動力として提示した人工知能(AI)と次世代移動通信(5G・6G)、バイオなどを育成するための新規の投資計画は萎縮するだろうとの見通しも出ている。

あるサムスンの関係者は「グローバル市場に大革命が起きているが、李副会長が2017年に拘束されたときよりもさらに長い期間席を空けることになった」とし、「今後のサムスンにどのような変化が起こるか心配になる」と語った。

李副会長のグローバルネットワーク喪失も大きな打撃だ。李副会長は2018年に経営復帰後、マイクロソフト(MS)のサトヤ・ナデラCEOと孫正義ソフトバンク会長、印リライアンスグループのムケシュ・アンバニ会長などのグローバルな情報通信技術(ICT)業界のリーダーに相次いで会って、第4次産業革命時代における協力方案を議論した。ドナルド・トランプ米国大統領とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子など、海外の首脳とも続々と会って韓国を代表する企業人としての地位を強化してきた。

財界の関係者は「李副会長のグローバルネットワークはサムスンを超え、国家レベルでも重要な資産だった」とし、「国家経済の次元では李副会長の再拘束によるグローバルネットワーク喪失の機会費用がは小さくない」と憂慮した。

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  • 毎日経済_ノ・ヒョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2021-01-18 18:37:00