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【韓国コラム】鏡に映った自分


自分の中にある溢れる欲望によって怪物になるとしたら、どんな姿だろうか。ふと気になる。『悪霊狩猟団カウンターズ』 、『Sweet Home -俺と世界の絶望-』、『LUCA:The Beginning』など幽霊や怪物が出てくるドラマをあまりにもたくさん見たようだ。

『Sweet Home -俺と世界の絶望-』に出てくる数多くの怪物のような姿だろうか。その中でも少しだけ人間の形をした形であればという素朴な願いも抱いてみる。もしかしたら、たまたま鏡で接するあの姿、そのままがもう怪物なのかもしれない。

怪物に変身することもできないほど何の欲望も願いもなければ安全だろうか。暗闇の中でささやきを聞く耳も心もなければ、そんな人生はもう何の価値もないだろう。

ドラマ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』は、そうした怪物を「すべての欲望を繭の中に秘めた超人」と呼ぶ。笑いも苦痛も哀れみも恐れもない存在だ。

生きることに対する意志、息をしようとする原初的な本能、永遠への渇望はあるだろう。鏡の前に立って息を吐き出す理由がそのためだろう。

しかし生きることに対する意志に閉じ込められてしまったら、原初的な渇望だけなら、いつの間にか怪物になってしまった自分に気付くかもしれない。キリスト教ですべての人間が持つという原罪、東洋思想で生まれた瞬間に持つことになる濁った気運が暗闇の中の声かもしれない。

tvNドラマ『LUCA:The Beginning』の怪物は『Sweet Home -俺と世界の絶望-』の怪物とは異なる。

「LUCA(L.U.C.A. Last Universal Common Ancestor)」は、現存するすべての生命の源だ。若い科学者がLUCAの秘密を暴くと権力者とインチキ教主が世の中を支配するために超人を作り出す。偶然の産物や自分の意志や欲望によってではなく、誰かの意図で神に匹敵する能力を備えた存在が登場する。

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  • 写真:『LUCA:The Beginning』ドラマポスター

そうして生まれたジオ(Z-0、キム・レウォン)は自分の能力を呪いとして受け入れる。

ドラマ『LUCA:The Beginning』で怪物は、自分の創造物を神にするという狂気の科学者、世の中を支配するという野心を抱いたインチキ教主だ。人間がまさに怪物なのだ。

物語のあらすじも怪物に変わる過程や姿もそれぞれ違うが、これらのドラマが持つ共通点が1つある。 主人公たちが人間として残るために生と死の境界線まで進んだという点だ。境界線に追い込んだ動力は犠牲だ。

鏡に映った自分の姿に何の犠牲も見つけられないなら欲望に支配され、いつ怪物に変わるか分からない。

「犠牲」、言葉は大げさだが私たちの人生はいつも誰かの犠牲によって支えられている。金持ちたちは貧しい者の犠牲によって富を築き子どもたちは母の犠牲によって育つ。

そんな犠牲なしにただ自分しかいなければ、これ以上人間と呼ぶことはできないだろう。人間という存在がもともと互いに肩を貸す存在だからだ。
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-03-07 00:00:00




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