解説 | ハングル:지름신 ハングル発音:チルムシン 解説:1年ほど前、ほぼ一日も欠かさずに服を買う女性がテレビ番組に出たことがある。 「買いたいものがあれば、後先を考えずに購入しなければ気が済まない人々が信じる神」であるチルム神。神の命令を受けたように彼女は毎日60万ウォンほどを洋服代に支出し服を買い集めた。整理しきれない服を手におえず困った彼女は100リットルのゴミ袋に押し込んで保管した。このようなゴミ袋がお茶の間の天井に届くほどいっぱいだった。タンスの中にも衝動買いによるチルム神の痕跡はおびただしい。 番組の製作陣が彼女が住んでいる街のジムを借りて服をほどいて確認してみたところ、なんと1,859着。結婚した後、ストレスをなだめようと買い込んだため、着るために服を買っているのか服を買う行為に没頭しているのか、彼女自身も分からない状態になってしまったわけだ。 チルム神は「ギャンブルや賭けにお金や品物をかける」という意味を持つ「チルダ」と神の合成語。必需品ではなく、安価なものやデザインが気にいったものを何も考えず買う場合「チルム神が降臨した」と言う。 チルム神という言葉は、 2004年頃、とあるブロガーが日本の漫画「地上最強の男 竜」を借用して「チルロラ(買え、または賭けろ)」というパロディのイメージを作ってから使われ始めた。最初はイエスの姿に似ていると論議が起きていたが、衣装や行動が雲泥の差なのでそれだけで使われるようになった。 チルム神が降臨すると、数日後に割引イベントがあることを十分に承知しながらもすぐに買わなければならないという焦りを振り切ることができず、お金がなければ数ヶ月間ご飯を食べないという苦行の末にお金を用意し、チルム神を受け入れるようになる。このためチルム教の信徒たちはチルム神が二つの顔を持つヤヌス的存在だと感じる。一瞬の満足を与えてくれる神の他に隠されている別の姿は生活苦を経験する破産神の姿だ。
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