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老犬をいたわる社会...「5分待機組」になった家族

  • ソウル市陽川区に住む李さん(仮名、55才)は最近、一ヶ月のあいだ一日の平均睡眠時間は4時間未満にしかならない。毎晩泣く伴侶犬「タミ」のせいだ。 16年間育ててきたタミは高齢で目が見えず、後ろ足を使えない。身動きが難しくなって大小便も場所を選ばず、おしめをつけて一日中座っているタミは、家族がすべて眠った夜明けに李さんをさがして泣く。

    おしめをつけ替えて抱きかかえても、タミはなかなか泣き止まない。動物病院にも連れて行ってみたが、獣医は「犬の年齢がかなりのもので、今では特にしてくれることは何もない」と言い、「自身の健康からまず考えて」とむしろ李さんを心配した。

    ペット飼育人口1000万人時代が到来し、高齢ペットの世話をする社会的費用が徐々に大きくなっている。犬ブームが流行した2004年以来、家庭内のペットが高齢化し、新たな風俗図が広がることになる。

    人と同じようにペットも加齢にともなって病気に弱くなり、はるかに多くの手間を必要とする。このため、老いたペットを世話する経験のある人は、一様に「想像以上に難しくて大変だ」と口をそろえる。 2年前に19年間育てた犬を見送った朴さん(仮名、30才)は、「犬が晩年にかなり具合が悪くなって家族が当番を決めて、夕方に早く家に戻ってきて介護した」と回想した。朴さんは「夜明けに急に悪くなり、24時間動物病院を訪れたことも何回か」あったとし、「老いた犬を育てる家族はいつでも出動する 、5分待機組と同じ」だとした。

    ワールドペット動物病院のユン・ホンジュン院長は、「ペットは年齢とともに心臓病や腎不全などの疾患にかかることもあり、糖尿病になることもある」とし、「生涯薬を服用しているケースが多いために、早期に発見して管理するのがいい」と助言した。

    高齢ペットの手術費と治療費の負担も、飼い主たちの困難を大きくする要素だ。飼っていたペットを2匹、すべて見送ったた経験のある崔さん(仮名、28才)は、「一匹は腹部に腫瘍ができて、もう一匹は心臓病になった」とし、「心臓病だった犬は生涯薬を飲んだが、月の薬代だけで20万ウォンずつかかり、費用負担は相当になった」と述べた。

    このような負担に耐えられず、老いたペットを捨てる飼い主も続出している。

    イサク愛犬訓練所のイ・ウンジョン代表は、「高齢ペットは病気にかかると治療がうまくいかず、コスト負担も相当なものだ」とし、「伴侶犬が年をとるにつれて遺棄される確率も高くなるだろう」と説明した。

    このような傾向を読み取って、「ペット保険」を商品として出す保険会社も増えた。メリッツ火災、DB損害保険、KB損害保険などの大型保険会社は今年、ペットのための新しい保険商品を次々と売り出した。しかし保険料は少なくない。保険会社のサイトで6歳のオス犬の月の保険料を計算した結果、6万7510ウォンと出た。大部分の人間の保険料よりも高価だ。

    高齢化社会である日本は、老犬のサービス施設も韓国よりも先を行っている。年をとったペットを見守る「老犬ホーム」や「老猫ホーム」施設が全国的に増加して、社団法人協会まで設立されている。

    長年一緒に暮らしてきたペットを見送ることは、その衝撃は親が子を失ったときと同様の水準で現れることもある。いわゆる「ペットロス症候群」がひどいと、精神科の治療を受ける場合もある。

    イ・ヒョンジュ動物福祉問題研究所代表は、「長く一緒に暮らしてきた動物を見送る悲しみは自然な感情」だとし、「その後に感じる喪失感の大きさは計り知れないので、地域社会でトラウマを世話すためのプログラムなどを設けることも犬高齢化時代に検討するべきこと」だと語った。

    専門家らは、老化し病気にかかって痛みが激しい伴侶犬の痛みを和らげるために、安楽死をさせることも方法だと助言する。ペットが苦しむ姿を見守る飼い主と、これに耐えなければならない伴侶犬の両方ともが苦しむことになりうるからだ。

    伴侶犬の行動専門家であるカン・ヒョンウク氏は、「米国と日本はペットを安楽死させる割合が韓国よりも2~4倍高い」とし、「韓国ではまだ容易に受け入れられないが、米国では安楽死を社会的に非難しない文化があり、比率も高いものと見られる」と説明した。
  • 毎日経済_キム・ユシン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2018-11-16 21:48:31