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現代オイルバンク「低硫黄油」で金脈さがす


    現代オイルバンク(社長カン・ダルホ、写真)が海をにらんでいる。景気低迷と電気自動車市場の拡大、日本の輸出規制による韓・日関係の悪化などの影響で、車両・航空用燃料市場が停滞した状況であることから船舶油市場の先取りに乗り出している。現代オイルバンクは先月、国内の製油会社では初めて船舶用低硫黄油の専用生産設備を構築したことに続き、世界初の船舶油ブランドを発売して海の市場の先取りにひと足先に乗り出した。

    現代オイルバンクは5日、世界初で低硫黄油船舶燃料のブランドである「現代スター(HYUNDAI STAR、仮称)」を発売すると明らかにした。

    低硫黄油「スター(STAR)」は原油を精製した残りの「残渣油」に超臨界溶媒(液体と気体の性質を同時に持っている物質)を入れ、アスファルテンなどの不純物を除去したことが特徴だ。アスファルテンはエンジンの中で燃料が固まる現象を起こす物質で、船舶用エンジンを故障させる主な理由としてあげられてきた。現代オイルバンクは先月、超臨界溶媒を用いてアスファルテンを完全に除去する技術を国内特許出願したことに続いて、現在は忠南瑞山(ソサン)の大山工場で、一日に最大5万バレルずつ生産している。国内精油会社のなかで低硫黄油専用の生産設備を備えたことは現代オイルバンクが唯一だ。

    現代オイルバンクはブランド品の出荷とともに、主な顧客層である船舶・海運業界関係者を対象にロードショーなどのさまざまなマーケティングを実施する予定だ。一般人むけとしては今後、認知度を高めるために国内のプロサッカースタジアムなどの広告物も設置する計画だ。現代オイルバンクの関係者は、「既存の設備を活用して投資額を最小限に抑えつつ、市場の需要に合わせて高品質の超低硫黄油を生産している」とし、「家電製品のような消費財にブランドネームを付けて差別化を図るように、船舶用燃料の優れた品質を効果的に知らせるためにブランドを立ち上げた」と説明した。

    船舶油燃料は企業間取引(B2B)製品であるだけに、ブランドを立ち上げて一般人を相手にマーケティングを推進することは異例だという評判だ。現代オイルバンクはこれに対し、船舶の建造と船舶用エンジンの分野で現代重工業が独自の技術力を、子会社である現代オイルバンクは船舶油市場で世界最高の品質力を持っていることを示し、船舶の生態系全体に現代のブランドイメージを向上させる戦略だと説明した。

    現代オイルバンクの関係者は、「B2B製品であっても、これを購入する担当者はすべて私たちのまわりにいる人たち」だとし、「品質に自信があるだけにブランドを立ち上げて、一般人にもなじめるように接近することで市場の先取り効果を最大化するつもり」だと語った。業界では現代オイルバンクが低硫黄油の販売で、年間4000億ウォン以上の営業利益を上げるだろうと予想している。

    世界174カ国を加盟国に持つ「国際海事機関(IMO)」は来年から、酸性雨の原因である船舶燃料の硫黄含有量をこれまでの3.5%から0.5%に下げるように要求している。このことで、世界の港に出入りする船舶は低硫黄油を船舶油として使用する。 12月現在、硫黄含有量が0.5%未満の低硫黄油の価格は1トン当たり560ドル水準だ。既存の船舶油の価格(1トン当たり350ドル)と比較すると70%ほど高いだけに、各精油社は低硫黄油の販売で収益性の改善を図っている。

    精油会社の「スタディセラー」であるガソリンと軽油の販売が最近は不振を免れないことから、現代オイルバンクが海へかける期待はさらに高まった。韓国石油公社によると、2013年以降は年平均で4.2%ずつ成長していたガソリン・軽油の消費量が、2017年に1.2%の成長にとどまったことに続き、昨年は0.7%減少したことが分かった。今年も2%台の成長にとどまると予想される。

    海外旅行と流通市場の拡大で毎年5%以上成長していた航空燃料市場は、11年ぶりに減少に転じた。今年の第3四半期までに精油4社が国籍航空会社に販売した航空燃料は一日平均10万4370バレルで、前年同期比で5.2%減少した。このような需要減少の影響から現代オイルバンクの第3四半期の営業利益は1578億ウォンで、前年同期比で34.3%減少した。

    現代オイルバンク以外の各精油会社も拡大している低硫黄油市場の対応に乗り出している。

    SKイノベーションは1兆ウォンを投資して、一日4万バレルの低硫黄油を生成できる「減圧残渣油脱硫設備(VRDS)」を構築し、来年初めから本格的に稼働する。 GSカルテックスはこれまで工場用燃料として使用していた低硫黄油を液化天然ガス(LNG)に置き換え、低硫黄油は船舶油として販売する。 Sオイルも蔚山の温山工場にある、残渣油から硫黄を除去する設備を増設している。
  • 毎日経済_ウォン・ホソプ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2019-12-05 18:06:16