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サムスン電子、韓国半導体のレベルアップ…「Kチップ構想」


    • サムスン電子半導体の研究員(左)とイオテクニクスの研究員(EO Technics、右)は25日、安養市のイオテクニクス研究所で両社が共同開発した半導体レーザ装置を見ている。 [写真提供=サムスン電子]


    サムスン電子が「Kチップ時代の戦略」をうち出した。半導体パートナー社に対する支援を通じた生態系の拡大、大学との人材育成協力、環境にやさしい経営などを通じてメモリ(D-RAMとNAND型)の「超格差」を拡大し、2030年までに非メモリ(システム半導体)で1位を達成するという戦略だ。

    李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長の半導体構想が集約されたこの戦略には、昨年7月にとつぜん施行された半導体核心素材に対する日本の対韓輸出規制などに、半導体の生態系を通じて効果的に対応するという意図もあるとみられる。李副会長は昨年から「社会との同行」ビジョンを強調しているが、これは生態系の強化を通じて「Kチップ時代」の青写真につながったのだろうという評価もある。コロナ19と米・中貿易紛争、韓・日関係の悪化にともなう規制拡大の可能性などで半導体事業の不確実性が大きくなったなかで、今回の戦略的危機を克服するという意志が込められたものと思われる。

    サムスン電子は25日、国内の中小協力企業への支援強化などを通じ、国内半導体産業の全分野が高いレベルの競争力を備える「Kチップ時代」を開くと発表した。李副会長は韓国半導体産業のサプライチェーンの維持と持続可能な成長のためには共存が必須だと認識し、昨年の日本の対韓輸出規制を前後して、国内の半導体生態系を強化するための支援策を整えつつ、協力社はもちろん、学界やコミュニティなどとも協力するように指示したと伝えられた。

    「Kチップ時代」の戦略は、△設備・部品協力会社への支援などで半導体全分野の生態系を強化、△産学協力を通じた半導体と未来世代への投資、△環境にやさしい経営を通じて地域社会との共生、などを主な内容とする。

    サムスン電子は最近、国内の各協力社とともに半導体生態系を強化活動をさらに本格的に進めている。

    サムスン電子は今年4月、ウォニクIPS(WONIK IPS)、テス(TES)、ユジンテック(Eugene Technology)、PSKなどの国内主要設備協力社や2・3次の部品協力社と覚書(MOU)を締結し、来月から設備部品の共同開発に着手することにした。設備各社に必要な部品を選定すると、サムスン電子と設備社、部品社が共同開発を進める方式であり、サムスン電子は設備部品の開発と量産の評価を支援することになる。また、来月から中小設備・部品メーカーを対象に、半導体製造と品質管理のノウハウを伝授するコンサルティングも行う。これとともに24社の協力社を対象に、開発・製造・品質・人事・営業など9つの分野の総合経営諮問も施行する。

    サムスン電子は主要な協力社との共同開発によって成果を出してきた。ソルブレイン(SeoulBrain)社はサムスン電子と、3D NAND型フラッシュメモリのエッチング工程(不要な部分を削り出しの回路を刻む工程)の核心素材である「高選択比リン酸」を世界で初めて開発した。イオテクニクス(EO Technics)は輸入に依存していた高性能レーザー設備をサムスン電子と共同開発し、これを通じてDRAMの不良問題を改善した。サムスン電子はこれらのほかにも、優秀な協力社を対象に2010年からインセンティブ制度を運営し、これまで計3476億ウォンを支給した。

    サムスン電子はシステム半導体の生態系づくりのための国内ファブレス(半導体設計専門)業界への支援策も稼動している。最近、国内の中小ファブレス企業がサーバーがなくても、設計を行えるように「クラウド設計プラットフォーム」を提供し始めたし、開発プロセスに不可欠な試験生産支援を拡大した。また半導体業界と1000億ウォンのファンドを造成し、国内の有望なファブレスなどに投資する予定だ。サムスン電子は国策半導体の特性大学である韓国ポリテック大学に半導体プロセス・計測機器を寄贈して、学生が半導体製造工程を直接実習できるよう支援している。また今年は人工知能(AI)の第4次産業革命の分野で専門知識を持つ優秀な人材を養成するために、ソウル大学と「人工知能半導体工学連合専攻」を新設した。

    今回の「Kチップ時代の戦略」は、李副会長の半導体構想が集約されたという評価が出ている。李副会長は2018年2月に経営に復帰した後、半導体の競争力をさらに高めるために多くの時間を割いてきた。すでに世界市場で圧倒的な1位を占めているメモリでは、技術開発などを通じて競合他社との距離をさらに大きく開く「超格差」戦略を強調している。メモリに比べて相対的に位相が劣っているシステム半導体(モバイルAP、イメージセンサー、ファウンドリなど)では、133兆ウォンを投資して2030年までに世界1位に上がるというビジョンを昨年発表した。

    李副会長は今年に入って半導体事業場を訪問して現場経営を続けているが、これまで知られているだけ7回だ。先月、平沢半導体事業場を訪問したときは「たいへんな時ほど将来のための投資を止めてはならない」とし、半導体への投資意欲を強調した。李副会長は最近、コロナ19と米・中貿易紛争による半導体規制、日・韓関係の悪化にともなう日本の対韓輸出規制の拡大可能性などで危機意識を感じて、半導体事業部にシナリオごとに対応できるコンティンジェンシープラン(緊急計画)の準備を指示したことが分かった。
  • 毎日経済_キム・ギュシク記者/チョン・ギョンウン記者/ファン・スンミン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2020-06-25 19:49:13