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「多多益善」復元…ナムジュン・パイクの代表作


    ビデオアートの先駆者であるナムジュン・パイク(白南準、1932~2006)は1988年、ソウルオリンピックを控えた祖国に世界最大規模のギフトを贈りたかった。これまで磨き上げた芸術の頂点を捧げるという一念で、サムスン電子製ブラウン管(CRT)テレビモニター1003台で行わビデオアートタワー「多多益善(多多益善善い)」を国立現代美術館果川館に設置した。

    1003台は「開天節(10月3日)」を象徴する数字だ。6階建てアパートの高さにあたる18.5メートルで重さ16トンに達する大作である「多多益善」は、東洋と西洋、過去と現代が芸術と技術を介して調和できるという哲学を凝縮した作品で、1003台のCRTモニターで景福宮やパリの凱旋門など、世界各国のシンボルが速い速度で流れた。

    しかし時代を先行する作家の先端技術の作品も、歳月の力に逆らうことはできなかった。モニターの寿命が尽きて2003年に全面交換を経た後、2015年にも一部320台を変えなければならなかった。昨年2月にはついに漏電で火災の危険が発見されて、作品の上映を中断しなければならなかった。

    問題はCRTモニタが品切れになったという点だ。全世界の中古店をまわってもCRTモニターを探して原型のまま復元するべきだという主張と、液晶表示装置(LCD)や発光ダイオード(LED)モニターに交換しなければならないという意見が互角に対抗した。 1年7ヶ月のあいだ「多多益善」の復元方法を研究してきた国立現代美術館は、最大限に原型のままで復元する方向に舵を取った。 2022年の展示再開を目指して予算30億ウォンを投入し、3年の復元プロジェクトを推進すると発表した。

    国立現代美術館のパク・ミファ学芸研究官は11日に開かれた記者懇談会で、「時代性を維持することは美術館の義務だ。(多多益善を)勉強すればするほど新技術ではだめだと思った」とし、「同じ機種のCRTモニターの中古品を入手するか、修理することに最善を尽くし、部品の確保が困難または転換が避けられない場合にLCDやLED、OLED、マイクロLEDなどの代替可能な最新の技術を部分的に導入してCRTと混用する」と明らかにした。

    ベルナール前ZKMキュレーター、ビデオブラジルのソルランジェ・ファルカス館長、イ・ジョンソン「多多益善」設置者、ソ・ジンソク前白南準アートセンター館長など世界のメディアアート専門家40人に助言を求めた結果、モニター交換に対する意見が23人と現在のモニタ維持の意見が12人と現れたが、原型復元に重きを置くことにした。

    パク学芸研究官は「CRT技術の作品は復元するべき20世紀の文化遺産だ。LED・LCDモニターは視野よりも高く設置されると映像を表示するところに制限(視野角)があり、作品外形の維持が難しい」と説明した。

    現在、国立現代美術館が保有しているCRTモニターは80台あまりで、中国の関連工場で品を確保する計画だ。しかし3年後に復元されてもCRTの寿命は10~15年だ。 1日4時間以下に上映を制限しても、再度の復元方法を考えなければならない。パイクが残した永遠の宿題だ。
  • 毎日経済_チョン・ジヒョン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2019-09-11 17:14:28