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世界が感嘆した李健煕の古美術コレクション


    • 国宝第219号「靑画梅竹文有蓋立壺(左)と国宝第309号「タルハンアリ(白磁月壺)」。 [写真提供=文化財庁]


    「李健煕(イ・ゴニ)会長は韓国の美術品といえども作品の存在感や完成度の高いものを追求し、常に世界的な視野で作品を選別した。特に韓国の古陶磁器コレクションに向けた情熱には想像を超えたエロス(愛)が感じられる。」

    抽象化の巨匠李禹煥(イ・ウファン)画伯(85)が文芸誌「現代文学」3月号に「巨人がいた」というタイトルで、故李健煕(イ・ゴニ)サムスン電子会長を追慕した文の内容だ。李画伯はサムスン文化財団の支援で2001年にドイツのボン市立美術館での個展、2011年には米国ニューヨークのグッゲンハイム美術館で大規模な個展を開きながら、李会長との縁を続けてきた。

    李会長の古美術に対する愛はどれほどだったのろうか。 「良いもの(美術品)はすべてサムスンに行く」という言葉が出回るほど、李会長の古美術に対する審美眼と情熱はすごかった。 1980~1990年代に心血を注いで「国宝100点コレクションプロジェクト」を推進したおかげで、サムスン家は160点余りの国宝級文化財を所蔵することになった。

    李画伯の記憶どおりに、李会長は特に白磁マニアだった。白磁をもっと知るために古美術商の白磁の講義を聞いてよく交遊した。現在、サムスン美術館リウムが管理しているが、李会長の所有で文化財庁に登録された国宝級白磁には朝鮮時代の「靑画梅竹文有蓋立壺」(国宝第219号)、タルハンアリ(国宝第309号)、「青画梅鳥竹文角瓶」(国宝第258号)などがある。

    「靑画梅竹文有蓋立壺」が市中に初めて出た時は偽モノだという噂が流れたが、李会長の確信で購入することになった。幸いなことにソウル市鍾路区貫鉄洞付近の地下鉄工事現場で、似たような形の白磁の肩の部分の破片が出土して、1984年に国宝に指定された。

    李会長が所有したタルハンアリはマンション数軒ぶんをまとめて購入した。ハンアリのなかの液体が滲み出て胴体の下部に影があり、朝鮮時代のタルハンアリの中では一番だとされ、2007年に国宝に指定された。

    高麗青磁に比べて冷遇を受けた「青画梅鳥竹文角瓶」は所有者が見つからずにさまよったが、サムスンに買収された後の1991年に国宝に指定された。白磁では珍しく8角で、全面にフィレットを施した角瓶だ。真っ白で乳白色のかかった白地に青ですっきりとした、ソンビ好みの竹を二つ描き入れた。

    • 謙斎チョン・ソンの『金剛全圖』(国宝第217号) [写真提供=文化財庁]



    • 謙斎チョン・ソンの『仁王霽色圖』(国宝第216号) [写真提供=文化財庁]


    美術界によると、李会長は国宝30点と宝物82点を個人的に所有していたことが分かった。イ・ジョンソン前ホアム美術館副館長の著書『リ コレクション』によると、李会長は1982年の湖巌(ホアム)美術館開館前に、すでに謙斎チョン・ソンの『仁王霽色圖』(国宝第216号)と『金剛全圖』(国宝第217号)を個人的に所蔵していた。ホアム美術館開館のための本格的な国宝収集は「金銅彌勒菩薩半跏思惟像」(国宝第118号)から始まった。

    76歳の謙斎が仁王山の景色を見て描いた『仁王霽色圖』は、朝鮮画壇の記念碑的な作品だ。中国の観念山水画に従わず、雨後の霧が立ち込めた仁王山の厳しい岩峰と松の森、瓦の家の実景を盛り込んだ真景山水画の代表作だ。高い所から下を見下ろす俯瞰法で金剛山1万2000峰を描いた『金剛全圖』は、天地調和の理想郷を盛り込んだ傑作に挙げられる。

    蓮の葉が張り巡らされた椅子の上に膝をかけた半跏の姿で製作された「金銅弥勒菩薩半跏思惟像」は、重厚で美しい姿で有名だ。日帝強占期と6・25戦争中、これを命のように守った金属遺物の専門家キム・ドンヒョンが、1990年代の初めに李会長に譲渡した。

    1980年代の後半、日本にあった朝鮮中期の画家李巖の『花鳥狗子圖』(宝物第1392号)は、危うく北韓に渡って金日成のコレクションになるところだったが、李会長が実物をくわしく調べる前に写真だけを見て購入を決めたという。
  • 毎日経済 | チョン・ジヒョン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2021-03-04 18:51:23