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  • Q.
    韓国の国定教科書問題はなぜ起きたのですか?(中)
  • A.
    ※この記事は「韓国の国定教科書問題はなぜ起きたのですか?(上)」の続きです。

    柳寛順(ユ・グァンスン)は、韓国の独立運動史に欠かせない人物です。刑務所に閉じ込められ、拷問を受けながらも意志を曲げなかった彼女は「韓国のジャンヌダルク」と称賛されます。

    韓国政府は正しい歴史教科書を作ると言って、彼女を広告モデルに立たせました。広告の最後には高校生が空白のページをめくりながら、「私はあなたを知りません」と言う場面が出てきます。

    高校の歴史教科書に柳寛順についての内容がなく、高校生が柳寛順について学んでいないと、国民の感性に訴える広告です。しかし、道を行く学生に尋ねてみてください。柳寛順を知らない学生が果たしているのでしょうか。勉強には関心のない学生であっても、ほとんどが柳寛順を知っています。漢字で書けと言えば間違う生徒も多いことでしょう。生年月日と行跡をすべて書けと言われたら、数行も書けない学生もいるでしょう。

    しかし、「私は知りません」ということはありえません。

    広告がどれほど情けなかったのか、保守言論である東亜日報でさえ「高校の歴史教科書に柳寛順烈士がない理由は…」という記事を出します。


    • < 教育部の広報映像 >

    歴史の講師がメディアに投稿した内容を紹介した記事です。歴史の講師は「現行の9種の歴史教科書に柳寛順の記述はなく、大学入試試験にも柳寛順の問いはない」と認めた後、「これは、小学校で柳寛順について詳しく扱っているからだ」と説明しました。

    続いて彼は「高校の歴史教科書から柳寛順が抜けたのは、高校の数学の教科書が足し算や引き算などの四則演算を扱わないのと同じこと」だと指摘したのです。

    保守言論から見ても、政府の策略がふがいないわけです。東亜日報は記事の中に「初等過程で習ったからと高校過程で記述しない根拠は何だろうか、重要な内容であれば繰り返し扱わなければならない」という、あるネットユーザーの反論を紹介しながら保守言論としての身分を失わないようにする努力を見せます。

    そうです。個人的に会って話を聞いてみると、保守陣営の関係者も歴史教科書の国定化にとても困惑しています。

    現在の国定教科書の核心人物である教育部の長官でさえ、一時は国定教科書は時代遅れだと批判したこともあり、教育部の次官も国定化は後進国がするものだと卑下したことがあります。与党であるセヌリ党のブレイン格になる汝矣島(ヨイド)研究所でさえ、わずか2~3年前に国定教科書は困るという立場を示していました。

    反対世論にもかかわらず、政府は歴史教科書の国定化作業を進めています。当初、透明に公開するとしていた執筆陣も非公開へと転じました。政府のお呼びを受けたからであっても、個人的な信念からであっても、国定教科書を書く学者でさえ、自分の名前を堂々と明かすことができない状況にあるということです。

    国定教科書を作成するために、政府が無理をしているという証拠は様々な角度から発見されます。執筆陣が不足することを心配したからか、国防部が執筆に参加すると明らかにして論争を招き、国定教科書の製作に必要な予備費やタスクフォースチームの運営、賛成世論操作など、すきだらけです。

    このように無理をしてまで歴史教科書の国定化を推進する理由は簡単です。教育放送のEBSが韓国史の教材を大幅に修正するように教育部から強制されたことから理由を知ることができます。

    2017年度から専攻に関係なく韓国史の試験を受けることになったことから、EBSはそれに合わせて教材を作成しました。半年近く準備をして出した教材は、出版の半月前にして教育部の圧力を受けて内容が変わります。

    • < 国会の解散は十月維新が唯一だ。当時、大統領に議会解散の権限はなかった >

    EBSは教育部傘下の機関です。 EBS教材の修正権限が教育部にはないものの、上位機関の指示だったので従うしかなかったのです。後に問題が浮上すると、教育部は、内容が偏っていたからではなく、単純な難易度の調整だったという苦しい回答を発表しました。

    検認定の教科書を発行する出版社に、このような指示が受け入れられるわけがありません。となると答えは一つです。教育部が教科書を自分で作成することです。数多くの問題にもかかわらず、政府が国定化を強行する理由は、現在の政権を握っている自分の好みに合う教材を作るためです。

    ※この記事は「韓国の国定教科書問題はなぜ起きたのですか?(下)」へ続きます。