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【韓国コラム】モーテル清掃員のガッセン(誠実な生き方)

  • ヤノルジャ(意味:遊ぼう)。

    会社の名前にしてはかなり独特だ。

    宿泊やレジャー施設の予約などレジャーサービスを提供する会社のイメージがわいてくる。この会社の職員たちも「おい!遊ぼう」こんな気持ちで働けば大成功しそうだ。

    運動、勉強、仕事、どれであっても楽しむ人には、ついていけないと言われるから。

    ヤノルジャは、いつのまにか若者が羨望する職場になった。「ネカラクペダント(NAVER、カカオ、LINE、Coupang、配達の民族、タングンマーケット、toss)」に続いて「ヤ」が追加された。「ネカラクヤ」の順番だと言ったりもする。

    若者の夢の職場、ヤノルジャの創業者であるイ・スジン代表は典型的な「泥のスプーン(貧困家庭)」だ。学歴も紹介するのが恥ずかしいほどだ。

    工高(トゥウォン工業高校)に工業専門大学(天安工業短期大学)の金型科を卒業した。大学を卒業した後、防衛産業企業で産業技能要員として働き、株で儲けようとしたが、それさえも持ち金をすべて使い果たしてしまったという。

    寝食を解決できるモーテルで清掃員として働いた。お客さんからチップを受けとりながら生きていく生活で終わる可能性もあったが、モーテルの問題点を1つずつ見つけて創業アイデアを構想した。

    後輩と一緒に資本金5000万ウォンでヤノルジャを創業した。宿泊施設の情報をまとめて表示する「ホテルモーテルペンション」というPCサイトだったが、宿泊施設の予約専門プラットフォームにしようとする努力はことあるごとに失敗に終わってしまった。

    宿泊施設に当日予約システムを構築して本格的に成長し始めたが、この時が2014年だった。10年近くあきらめずに根気強く挑戦したため成果をおさめることができた。

    2020年の実績は売上2,999億ウォンに営業利益109億ウォン。新型コロナウイルスで観光旅行業界が全般的に奈落に落ちてしまった状況を考えると刮目すべき実績だろう。

    ソン・ジョンイ会長が率いる「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が2兆ウォンの投資を決定したのは、このような可能性を示唆したからだろう。Coupangがソフトバンクから投資を受けた後、米株式市場に上場した前例に照らしてみると、ヤノルジャも2~3年以内に米株式市場に名を連ねる可能性が高いようだ。

    モーテルの清掃員が20年ぶりに世界的な大金持ちになるのだ。

    20年以上前、ホテルやモーテルで働いていた清掃員やベルボーイ、いや、ホテルのオーナーたちもこのような考えを持っているだろう。

    「あの時、なぜ私たちはそんなことを考えられなかったのか」

    きっと似たようなビジネスアイデアを持っていたはずだ。実際、ヤノルジャが買収したホテルナウは韓国で初めて当日予約サービスを実施した会社だ。しかし、ヤノルジャに買収された後、企業が姿を消す羽目になった。

    ヤノルジャが成し遂げた「泥のスプーン神話」を見て企業家精神は学歴や財力とは無関係だという事実を改めて感じた。

    モーテルの清掃員をしながら感じたことを一つ一つ記録していく几帳面さ、問題点を捜し出す問題意識、解決策を見つける情熱、これらが彼が神からもらった贈り物かもしれない。

    そのような点では、最近の若者が言う「モーテルの清掃員」時代、ガッセンを生きた跡が今日の「ヤノルジャ」を作った土台になったのだろう。
  • Lim, Chul | 入力 2021-12-11 00:00:00