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[I ♥ 建築] 文化財とホテル

    韓国文化財庁が昌徳宮(チャンドックン)の楽善齋(ナクソンジェ)の一部の殿閣を、高級宿泊施設に改造する事業を白紙化するという発表があった。楽善齋は高宗(コウソウ)皇帝の一人娘徳恵翁主(トクケイオウシュ)など、皇室の最後の女たちが余生を送った宝物1764号の建築物だ。文化財庁は楽善齋を一晩宿泊費300万ウォンで、行き来する外国人のための最高級ホテルとして改装して使用しようとしたことがある。

    筆者は、基本的に文化財を剝製して使用せずに、見物だけにすることに反対する人だ。例えば、景福宮を展示スペースとして使用するか、ドラマ『チャングムの誓い』の背景である「水刺間」を高級レストランに使用することも、検討してみる価値があることだと思う。なぜなら建築は人が使用するときに、その意味を持つものだからだ。フランスのルーヴル宮殿を博物館に転用したことが代表的な例だ。陶器と建築は異なる。陶器も昔は、人々が使った皿だった。しかし、今ではガラスの箱の中に展示された遺物だ。陶器は一度完成したら、変形することができない「もの」だ。もしかしたら使用しているうちに、割れることもあり、1度に1人だけしか使用することができないので、文化財を多くの人が体験するには限界がある。しかし、建築物は異なる。建築物は、同時に複数の人が使用可能であり、その空間をきちんと体験する方法は、その空間を使用することだ。建築は部分的に補修をしながら、継続して生き残ることが特徴だ。まるで古い細胞が死んで、その場に新しい細胞が交代する有機体と似ている。

    しかし、建築文化財をホテルとして使用することは別の話だ。博物館や展示場で使用することは、公共のスペースとして使用することだ。ホテルは、プライベートな空間だ。公的な空間は、私たちが占有するが、完全に所有しているわけではない。公的な空間では、私たちがする行為は、他の人たちによって監視され制約される。しかし、ホテルは完全なプライベート空間で、金が支払われた時間には、一人によって完全に所有された空間となる。建築文化財の空間は限られた時間であっても、監視の目がなく、個人に完全所有されてはならない。そのため、文化財をホテルとして使用する計画を白紙化したのは幸いなことだ。
  • 毎日経済 ユ・ヒョンジュン弘益大学建築学科教授 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-12-03 17:26:23