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AI革命…韓国にはなぜ「アルファ碁」が無いのか

企業は目前の利益を追いかけ、政府は後の祭り…20年遅れの韓国AI 

    • < 人工知能、韓国・米国間の技術格差 / アルファ碁とイ・セドル対局後の政府の人工知能対策 >

    「李セドル九段は韓国にいるが、アルファ碁はない」。 Googleの人工知能「アルファ碁」と韓国の李セドル九段の世紀の囲碁対決が続くなか、科学技術界では自嘲のまじった声が出ている。情報通信技術振興センター(IITP)が昨年に行った情報通信技術(ICT)レベルの調査で、韓国の人工知能技術は先進国に比べて2.6年の格差があることが分かった。米国を100点満点とした時に、韓国のレベルは70点と評価した。

    ソ・ジョンヨン西江大学コンピュータ学部教授は、「100点と70点は天と地の差」とし、「この分野でスコアを少しでも上げるためには、多くの投資が必要だ」と語った。パク・スンス梨花女子大学コンピュータ学部教授も「わずか2年遅れたという発表も信じられない」とし、「先進国と20年ほどの差がでるほど、韓国に問題がある」と語った。

    人工知能に関連する研究では、国内の多くの大学や研究所でも進んでいる。しかし、ほとんどは短期の研究に偏重している。パク・スンス教授は、「大学は企業や政府の予算支援が中断されると研究を続けることができない」とし、「人工知能学者らがこの10年間、研究分野を変えるしかなかった理由」だと語った。

    韓国の各企業も手をこまねいているわけではない。

    人工知能に対する重要性は事前に認知しているが、これにともなう大規模な投資が起きたり、世界を驚かせるほどの業績はない。試験的な実行は多角的に行われている。サムスン電子とLG電子は携帯電話の音声認識技術など、比較的簡単な人工知能技術を公開したことがある。サムスン電子は人工知能関連分野のモノのインターネット(IoT)と、モバイルヘルスケア分野に拍車をかけている。

    サムスン電子はGoogleが買収した、家電機器制御のためのスマートホームソリューションを研究するネスト・ラボ(Nest Labs)のように、室内家電を接続するスマートホーム分野に人工知能を融合するという計画を立てたと伝えられた。サムスン電子は今年初め、家庭用ロボットの開発ベンチャー企業であるジボ(JIBO)に200億ウォンを投資し、今月はスマートカーの電子装備事業に飛び込んで、人工知能関連の技術開発を予告した。

    ネイバーとカカオ、SKプラネットとNCソフトなどのインターネット・ゲーム会社は、音声認識とディープラーニング(深層学習)技術を開発して一部の製品やサービスを提供することで、人工知能チームを編成することもあった。しかし成長傾向だと評価することは難しい。現代自動車も直接技術を開発したというよりも、人工知能の強者グーグルやアップルと協力を結び、車両インフォテインメント技術を高度化するという戦略を立てた。

    人工知能の中央処理装置を製造するあるグローバルIT企業の関係者は、「大企業や政府やなにもせずにこれまで数十年間、韓国は未来志向的な純粋技術への投資に消極的だった」とし、「未来をリードする技術が不足しているのは当然のこと」だと指摘した。カカオやネイバーも事情は同じだ。ほとんどの技術が音声認識や自然言語処理などの、言語認知と写真・動画の中の対象と行動を把握する視覚認知の分野に集中している。 Googleやフェイスブックなどの主要なIT企業が製品を作ることで、すでに市場は形成された分野だ。

    独自研究が不足しているなら、企業買収・合併(M&A)を通じたファスト戦略を駆使することができるが、韓国の大企業はこれさえも消極的だ。

    韓国IT企業のM&Aは、主に技術力の良い中小・ベンチャー企業を安値で買収することに焦点が合わせられている。 Googleはアルファ碁を開発した「ディープマインド」を4800億ウォンで買収したが、韓国ではこのようなケースを見出すことは難しい。優れた技術であれば高くても正当な価値を認める文化が根付かなかったために、能力のある人材が会社を創業することも稀だ。キム・ジンヒョン所長は「ディープマインドの場合は3人が共同創業して、その後は10人余りの学生が集まって技術力を高めた」とし、「韓国の優れた人材は、ベンチャー生態系が殺伐とした韓国でこのようなことをしようとするはずがない」と語った。

    企業が消極的ならば、政府で大きな絵を描いて政策的支援に乗り出さなければならないだろうが、現実はそうではない。アルファ碁が話題になるやいなや、あたふたと人工知能関連の政策を出すのが精一杯だ。

    14日、産業通商資源部はソウルのCOEXで人工知能応用・産業化懇談会を開き、人工知能の応用・産業化推進団を設置して人工知能基盤のナビゲーション技術の開発に、これまでの130億ウォンから70億ウォンを増やして200億ウォンを投資すると発表した。

    韓国の基礎科学に責任を負う未来創造科学部も同じだ。

    アルファ碁が韓国に上陸するやいなや、未来部は「知能情報社会プランを年内に発表し、民間と人工知能研究所の設立を推進する」と明らかにした。また民間の研究所設立に言及しながら、産業化戦略を推進するという意志も明らかにした。

    しかし専門家らは、未来部が集中投資すると言っていたビッグデータやモノのインターネットなどはすべて人工知能と接続され、あえて新しい用語を造って投資を続けるというのは机上の行政だと指摘する。匿名を要求した政府関係者は、「政府が既に発表したソフトウェア中心の社会と知能情報社会は同じ意味」だとし、「話題にされるとあたふたと〈用語〉だけを変えて対策を出すことが、科学技術の発展に役立つかどうか疑問だ」と批判した。
  • 毎日経済_ウォン・ホソプ記者/イ・ギョンジン記者/イ・ヨンウク記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-03-14 20:14:54