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韓国中堅企業のソウル半導体、米国での特許訴訟で日本企業に圧勝

    発光ダイオード(LED)専門企業の「ソウル半導体(Seoul Semiconductor)」は、日本のレンズメーカーである「エンプラス(enplas)」社と2年半のあいだ米国で繰り広げた特許訴訟で完勝した。韓国の中堅企業が米国の法廷で、日本企業を相手にした特許訴訟で勝利したのは異例のことだ。

    ソウル半導体は27日、エンプラスとLEDテレビ用バックライトのレンズの特許をめぐる訴訟で、米カリフォルニア州連邦裁判所の陪審員団が去る25日(現地時間)、全会一致でエンプラスの特許侵害無効の主張をすべて棄却したと明らかにした。

    また、陪審員はLED テレビ用バックライト関連の特許技術に対しても、ソウル半導体が有効な権利を持っているという点も認めた。また陪審員団は、エンプラスがソウル半導体の特許を認知していながらも、意図的に特許を侵害したと評決した。これによってソウル半導体はエンプラスから、陪審員の損害算定額の最大3倍の140億ウォン(1200万ドル)まで補償を受けることができるようになった。

    今後ソウル半導体は、エンプラスはもちろんエンプラスのバックライト用レンズを使用したテレビメーカーを相手に訴訟を提起すると、訴訟の規模は1000億ウォンまで増える見通しだ。

    ソウル半導体のリュ・スンヨルIT製品開発担当常務は、「特許を侵害したレンズとバックライトシステムを使用しているテレビメーカーに対しても追加訴訟を準備している」と明らかにした。

    さらにソウル半導体は、今回勝訴した特許はLEDテレビだけでなく照明にも使用されているだけに、今後は照明業界と特許紛争が生じた際には非常に有利な立場に立つことになった。

    エンプラス側が今回の陪審員の満場一致判定に対して控訴を行っても、前例に照らしてみれば結果をひっくりかえすことは難しいというのがソウル半導体側の予想だ。

    ソウル半導体は、今回の特許訴訟で日本のエンプラスに勝訴したことで、LEDテレビのバックライト用レンズの核心技術に対する保護を受けることになり、今後はLED用バックライト市場で有利な立場を得ることになった。ソウル半導体がこれまで「特許毒腫」というニックネームを聞きながらも、しつこく技術開発と特許取得の努力を傾けた結果が今回の訴訟にそのまま現れた。

    米国連邦裁判所が特許訴訟でソウル半導体の完勝を宣言した技術は、LED テレビの背面に装着されたLED素子からまっすぐに伸びていく光を広く均等に拡散させ、テレビの解像度を高めるレンズの製造技術2件だ。

    エンプラスは、LED テレビ用バックライトに不可欠なこの2つの技術を独自に開発した特許技術だと主張してテレビメーカーを相手に営業し、現在は60%に近い市場シェアを確保していることが知られている。

    △写真=ソウル半導体の従業員が京畿道安山工場で、LED テレビ用バックライトユニットに入るLEDパッケージの完成品を検査している。 [写真提供=ソウル半導体]

    ソウル半導体は2013年、エンプラスの技術はソウル半導体が先に登録した特許を侵害する部分があるので注意するように書面で通知した。しかし、エンプラスではむしろソウル半導体が自社の特許を侵害したとして、米連邦裁判所にソウル半導体の特許無効訴訟を提起し、ソウル半導体と対抗した。そしてソウル半導体もすぐに訴訟で対応した。

    今回の1審で連邦裁判所の陪審員団は、エンプラスの特許がソウル半導体の特許に比較して新しい部分が全くなく、先進的な部分もないとしてソウル半導体の特許に手をあげた。また、エンプラスがソウル半導体の特許を否定してテレビメーカーに自社製品を継続販売してきたことも、特許侵害と損害賠償が必要だと判断した。

    1審に対してエンプラスが控訴を提起する可能性は高いが、陪審員の満場一致を受けた判決が2審でひっくりかえる可能性は低いので、大勢には大きな影響がないだろうというのが特許専門家らの分析だ。エンプラスが控訴を提起しなければ、今後3ヶ月以内にエンプラスは営業停止、損害賠償処分などを受けることになる。控訴を提起すると、裁判期間にエンプラスはテレビメーカーを対象に継続して営業することができる。

    しかし、今回の判決でソウル半導体の技術力が再び認められ、エンプラスの市場の信頼は墜落したために、ソウル半導体がLED テレビ用バックライトの市場シェアをさらに増やすことができるだろうと関連業界は見る。

    LED業界の関係者は「LEDテレビメーカーはバックライトのサプライヤーを交換する際に、あえて独占を通じて製品価格を高く策定してきたエンプラスではなく、ソウル半導体をはじめとする他の企業を選択する可能性がより高くなるだろう」と説明した。

    ソウル半導体は今回の訴訟とは別に、一昨年の7月にはエンプラス製レンズを使用している北米家電メーカーのクレイグ(Craig)社やカーティス(Curtis)社の両社に特許侵害訴訟を提起して勝訴し、現在は特許使用のためのロイヤリティを得ている。

    またエンプラスとの訴訟でも、ソウル半導体は昨年9月に米国特許審判院が下した特許無効判決3件を含め、米国・韓国・ヨーロッパのすべてでエンプラスの特許に対して無効判決を得た。

    • < ソウル半導体が保有する知的財産権 >

    ソウル半導体が特許訴訟でこのように強気を見せる理由は、技術開発と特許取得に莫大な資源を投入しているからだ。ソウル半導体は売上げの10%を研究開発費に投資して、子会社のソウルバイオシステムと合わせて1万2703件(実用新案、デザイン、商標登録を含む)に達する特許を保有している。また弁理士や弁護士などで構成された特許チームを別途に置いて、1年に数百億ウォンをかけて特許保護に乗り出している。青色LEDを開発したノーベル物理学賞受賞者の中村修二教授など、国内外の技術顧問20人を積極的に活用している。

    ソウル半導体のイ・ジョンフン代表(写真)の特許守護意志がすべてを可能にした。イ・ジョンフン代表は2006年、世界第1位のLED企業である日亜化学工業との訴訟戦を繰り広げることになった。青色LEDを開発した日亜は、ソウル半導体が半導体パッケージングデザインをコピーしたと訴訟を提起した。しかし、ソウル半導体はむしろ日亜が技術を侵害したとして訴訟を提起した。ソウル半導体と日亜の訴訟は米国と英国やドイツなど、5カ国で30件あまりに拡大した。

    訴訟で滅ぶだろうとという周囲の懸念にもかかわらず、イ・ジョンフン代表は勝つまで髪の毛を切らないという「長髪闘魂」を前面に打ち出した。けっきょく3年にわたる訴訟が続いた。

    両社の運命をかけた対決で最終的に日亜が退いて、両社は特許を共有するクロスライセンスを結んだ。イ・ジョンフン代表の退かない根気と技術に対する自信が光を放った瞬間だった。
  • 毎日経済_キム・ジェグァン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-03-28 06:11:43