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90億ウォンつぎこんだソウル大地震工学研究センター、19年めで閉鎖の危機

    △写真=「韓半島は安全なのか」地震シンポジウム。22日、ソウル大学グローバルコンベンションプラザの大講堂で、韓国地質資源研究院と韓国地球物理・物理探査学会の共同主催で韓半島の地震を診断するシンポジウムが開かれた。 [キム・ジェフン記者]

    米国・日本と比べて「よちよち歩きの水準」に過ぎなかった国内の地震研究のために1997年にオープンし、これまで90億ウォンの政府予算を投入していたソウル大地震工学研究センターが19年めで閉鎖の危機にみまわれたことが確認された。政府が12日の慶尚北道慶州市における規模5.8の韓半島最大の地震とその後の余震は活断層(梁山断層)のためだと初めて認めるなど、これまで以上に地震に対する研究が急がれる状況で、国内の地震研究インフラはむしろ後退しているという指摘が出ている。

    22日、ソウル大学などによると、かつて教授30人と博士級の研究員約100人が熱心に研究活動を行っていた大学地震工学研究センターは、現在はすべての研究活動を中断し、たった1人の教授だけが所長として名前を載せた「幽霊センター」に転落した。これまで書類上だけで命脈をつないできたが、事実上はこれまで7年間の活動は皆無だったことから、これすらも正式に閉鎖される危機に瀕している。 12年間の研究で蓄積した地震の研究資料などは、ソウル大学図書館と倉庫などにバラバラに散らばって探すことすら難しいというのが関係者の話だ。

    毎日経済新聞の取材の結果、実際の地震工学研究センターのホームページは接続が不可能だったし、センターの研究室として知られている場所は、別のスペースとして使用されていた。わずか10年前までは学者100人余りが研究を行った、国内最大規模の地震工学研究センターが跡形もなく消えたのだ。 2006年に政府支援予算が切られた後に財政難をきたしたセンターは、2009年から活動していた研究者と職員などがすべて離れ、研究活動を中断せざるを得なかったという。ソウル大のキム・ジェグァン地震工学研究センター所長は、「1995年の阪神大震災以降、地震に対する関心が高まった状況で設立されたセンターは、最初の9年間は政府の支援を受けつつ活発に活動したが、支援期間が終了した後は財政的自立に失敗して、今にいたった」とし、「地震に関連する研究所は産業界の関心が低い分野だと思われて、公共の領域で支援してくれないと維持は事実上不可能だ」と吐露した。

    ソウル大は最近、存在しているが活動は行っていない休眠研究所の把握に乗り出して、地震工学研究センターに閉鎖方針を通報したことが分かった。しかし毎日経済新聞が取材に入ったことから、一歩引いた状況だ。ソウル大本部の関係者は、「国家指定研究センターでは支援される研究費はないし、活動がなくなると通常は消滅させる」とし、「限られた予算で特定の研究センターのみを支援することは現実的に難しいが、センターレベルでファンディングを受けるなら再び生かすことも難しくはない」と説明した。

    1997年当時、科学技術処と韓国科学財団が選定した「優秀研究センター」としてスタートした地震工学研究センターは国内初で、それぞれ異なる分野を専攻した地震学者と地震工学者らが集まり本格的に総合的な地震研究を開始した機関で、国内の地震研究の礎を堅くしたという評価を受けた。センター創立メンバーで8年間、研究員として活動していた国内の私立大学の土木工学科教授は、「当時は研究センターに参加した研究者らは、国内の地震工学関連規定と対備要領を作成するなど、関連の研究を主導した」とし、「それ以前は皆無だったはずの国内の地震工学研究の礎石になった」とした。

    当時、地震に対する社会的関心が高まりセンターまで設立したが、関心がさめていった後に、関連する研究を実質的には政府が放置したのではないかという指摘だ。センターが有名無実になった後「失われた7年」間の国内の地震研究は、これといった成果を出せず足踏みをしたというものだ。

    センターで初期メンバーとして活動した元老地震工学者は、「地震の研究は国が行うべき領域だが、後続の支援が切られたことがあまりにも惜しい」とし、「研究というものは、ぴったり9年で終わるものではない。9年間の研究を通じてある結果を出し、それを持って次の段階に進むべきなのに、国内のシステムはそれをできなくする」と指摘した。ソウル大地球環境科学部のチョン・ヘミョン教授は、「地球内部の深いところで地震が起きれば、そのような温度と圧力の下で圧力自体に対する物性研究は現在国内では皆無だ」とし、「今からでも国家的な次元での研究をしなければならない」と提案した。

    専門家らは、学会レベルを超えて各分野の専門家を集め、地震を研究する総合的な研究センターの必要性に口をそろえた。キム・イクヒョン蔚山大建設環境工学部教授は、「個々の学会では総合的な研究ができないため、地震工学研究センターのような総合センターが必要なわけ」だとし、「統合的な研究センターの不在は、まるで20年前を踏襲するようだ」と語った。
  • 毎日経済_ファン・スンミン記者/ヤン・ヨノ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-09-25 09:56:15