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韓銀、成長見通しは上方修正も「潜在成長率は2%台に引き下げ 」

    韓国銀行は13日、今年の韓国の経済成長率見通しを2.6%から2.8%に上方修正した。今年4月に成長率見通しを0.1%ポイント上方修正してからわずか3ヶ月めだ。

    しかし韓国銀行は2016~2020年の経済潜在成長率を2.8~2.9%に引き下げた。韓銀が潜在成長率を2%台に下げたのは今回が初めてだ。けっきょく現在の韓国の経済水準から見ると、3%を超える成長率は「過熱」という点を韓銀が示唆したという点で注目される。

    韓銀はこの日、李柱烈(イ・ヂュヨル)総裁の主宰で金融通貨委員会を開き、7月の基準金利を1.25%のレベルで再び凍結した。昨年6月に0.25%ポイント引き下げて以来、13カ月連続で過去最低水準にとどまることになった。

    李総裁はこの日の記者懇談会で、「多くのマクロ的側面から見れば、経済が回復している様相を見せているのは事実」だとしながらも、「雇用市場の状況や家計所得の状況など、質的な側面はまだ期待に及ばない」と語った。

    これは、世界的な景気回復によって韓銀は今年の成長率見通しを0.2%ポイント高めたが、しかしまだ景気回復に本格的に進入したと見るには難しいので、基準金利引き上げカードを取り出すにはまだ早いという判断として解釈される。

    韓銀はこの日、来年の経済成長率の見通しについてはこれまでの2.9%を維持した。李総裁は、「来年の経済成長見通しは従前を維持した」とし、「第1四半期に1.1%の高い成長率を記録し、第2四半期も良好な流れなので堅実だと表現した」と述べた。とは言え、李総裁は続けて「近い時期に政策基調を変更するシグナルとして解釈するべきではない」と付け加えた。

    不動産市場などの資産市場の不安と経済成長率の見通し上方修正など、基準金利の引き上げ要因はあるが、雇用条件が不確実な現在の状況を考えると、まだ時期尚早だとの判断だ。

    先立って、李総裁は先月12日に開かれた韓銀創立第67周年記念行事で、「今後も景気回復傾向が持続するなど、経済状況がはっきりと改善される場合には金融政策の緩和程度の調整が必要になりうる」とし、「このような可能性に対する検討を綿密に行うべきだ」と述べた。これは今年の下半期に米国連邦準備制度(Fed)がもう1回基準金利を引き上げると予想される中で出てきた発言であり、基準金利の引き上げに備えを促す信号と解釈されたが、李総裁が拡大解釈を遮断したわけだ。

    これに対して李総裁は、「先月の発言は向後の景気状況の改善が顕著になることを前提にしたもので、時期を念頭に置いたものではない」とし、「しかし成長傾向が拡大されるならば、金利を調整しないと言っても、通貨政策の緩和程度は大きくなるとみることができる」と語った。実際に韓銀はこの日「2017年下半期の経済見通し」を発表し、今年の根源消費者物価指数(食料品・エネルギーを除いた指数/コアCPI)の上昇率は1.7%、来年は1.9%に達すると予想した。韓国銀行の物価安定目標が年間2.0%であることを勘案すれば、まだ緩和的通貨政策を維持する余地があるという意味だ。

    特に韓国銀行はこの日、家計負債を管理するためには基準金利の引き上げではなく、金融当局の健全性管理を優先すべきだと示唆した。李総裁は「金利を引き上げるとなると家計負債を抑制する効果はあるだろうが、それによって副作用があらわれることがある」とし、「家計負債対策は、一次的には政府や監督当局のマクロ健全性やミクロ健全性対策が反映されることが望ましい」と説明した。また韓国経済が回復局面に入ったにもかかわらず、依然として雇用市場が凍りついていることも、韓銀が基準金利を凍結した背景として解釈される。

    統計庁が12日に発表した「6月の雇用動向」によると、先月の就業者は前年同月比で30万1000人の増加にとどまった。就業者数は、今年の2月以降は毎月37万人以上増えたが、先月は急減して凍り付いた雇用市場を反映した。

    一方で韓国銀行はこの日、韓国経済の基礎体力を意味する潜在成長率を初めて2%台に引き下げた。韓銀が中長期の見通しではなく、現在を基準に潜在成長率を2%台に下げたのは今回が初めてだ。韓国銀行はこの日、経済見通し報告書で2016~2020年の潜在成長率は年平均2.8~2.9%と推定されるとした。

    韓銀によると、潜在成長率は2001~2005年は4.8~5.2%だったが、2006~2010年は3.7~3.9%に、2011~2015年は3.0~3.4%で、長期的に下落し続けている姿を見せている。

    潜在成長率は土地・資本・労働などの生産要素を最大限に投入したうえで、追加的な物価上昇なしに達成できる成長率をいう。韓国銀行は潜在成長率が下落した背景について、「サービス業の発展不充分と高いレベルの規制によって生産性が低下し、経済の不確実性で資本蓄積が進まないことが主な原因と推定される」と分析した。

    先立って韓銀は昨年の1月、2015~2018年基準で潜在成長率は年平均3.0~3.2%に達すると推定した。韓銀が潜在成長率を3%台未満に下げたのは、最終的に補正予算の編成などを通じて今年の成長率を3%台に引き上げることはできるが、こうなると韓国経済の基礎体力からはずれた人為的成長だという点を示唆するものだ。

    年間実質国内総生産(GDP)が潜在成長率を超えて上昇すると、経済規模は生産性以上に膨らむという意味だからだ。チョン・スンチョル韓銀副総裁補はこの日、「人口の高齢化が急速に進み、潜在成長率がさらにすばやく下落する恐れがある」とし、「成長潜在力を拡充する構造改革を積極的に推進する必要がある」とした。
  • 毎日経済 キム・ギュシク記者/イ・スンユン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-07-14 01:38:08