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『万引き家族』の是枝監督インタビュー

  • ■ 是枝裕和監督インタビュー

    「血縁以外の要素でむすばれた族を考えるべき時ではないでしょうか?」

    今年、『万引き家族』でカンヌ映画祭の最高の栄誉であるパルム・ドールを受賞した日本の是枝裕和監督(56)。彼が30日、ソウル市鍾路区のシネキューブで記者懇談会を行い、今回の映画を企画したきっかけをこのように説明した。『万引き家族』は万引きと祖母が受け取る年金で延命する六人家族の生活を描いた映画だ。血でつながってはいないが誰よりもしっかりした結束を誇り、彼らの物語に全世界の人々が賛辞を送っている。日本だけですでに観客350万人を集めており、中国、台湾、香港、韓国などで上映地を広げている。

    是枝監督はあるのュース報道に接して『万引き家族』のシナリオ作業に着手することになった。親が死亡したが死亡届を行わず、年金で生活した人々の詐欺事件だった。 「当時、この事件が全国的な問題として浮上したんです。これを見て血縁ではなく、形で共同体を構成して生きる人々の可能性を考えてみたいと思った」。


    素材だけを見るならばそれほど新しい企画ではない。日本のテレビドラマ『Mother』、韓国映画『家族の誕生』など、よく似た素材を扱った秀作は数多い。それでもこの映画が人々の心に響くのは、是枝監督の演技演出が大きな力を放ったという評価だ。

    特におばあちゃんに扮した日本の国民俳優樹木希林(75)が「ありがとうございます」と口の形だけでささやく部分は、この映画の最高の名場面としてあげられる。彼女は波頭のとびちる海で遊ぶの残りの5人家族を見ながら、声に出さずに感謝する。完全に樹木希林のアドリブで行われたこのシーンのために、是枝監督はシナリオ全体を修正した。

    「そのシーンは映画の中で最も最初の撮影分で出たんです。現場では分からなかったが、編集室に持って来て見ていたら樹木さんの口が動くんですよ。俳優が自分も意識していない間に、この映画の重要なトピックについて捕捉したわけです。これを私が見落としたらどうなるか…おそらく俳優は、この演出者はたいしたことないと考えるでしょう。私は樹木さんの『ありがとうございます』という言葉が、映画の後半で出てくるようにシナリオを修正しました。私は俳優がひきずり出したものに対していま一度打ち返せるように、いつも真剣勝負しています」。


    是枝監督は韓国人が最も愛する日本の映画監督だ。『そして父になる』(2013)、『海街diary』(2015)など、さいきんは多数の作品が韓国で観客10万人をこえて「アートバスター」(アートとブロックバスターの合成語)隊列に上がった。今月26日に公開された『万引き家族』も29日までの4日間で3万8000人あまりを動員し、また是枝熱風を予告している。

    「何が人の情緒に響きを与え感動を与えるかについては、ほとんど意識していません。私にとって切実なモチーフに食い込めば観客に伝わるという確信を持つようになったからです」。彼はアメリカの俳優イーサン・ホークとフランスのジュリエット・ビノシュが出演する新作を準備するために、来週パリに入る予定だ。
  • 毎日経済_パク・チャンウン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2018-07-30 19:14:41