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『サーチ』主役ジョン・チョー「韓国系アメリカ人を演じて誇らしい」


    映画『search(サーチ)』(監督アニーシュ・チャガンティ)が累積観客195万人(13日、映画振興委員会集計)を超えて人気だ。3年前に口コミに乗って160万人の観客を集め、その年の「発見」になった『セッション』(2015)に比肩される事例だ。『サーチ』は行方不明になった娘(マーゴ・キム)の痕跡を見つけようと、デジタルの世界で奮闘する父親(ジョン・チョー)の話だ。ひたすらノートパソコンや携帯電話、デスクトップPC、CCTV、リアルタイムのニュース画面を活用したストーリーテリング方式とこまごました感情描写はこの映画だけの独特さだが、これに加えて韓国系アメリカ人俳優たちが大挙出演するという点も重要な足跡として評価される。

    さいきん毎日経済新聞は『サーチ』に出演した韓国系アメリカ人俳優ジョン・チョー(46)と書面で対談した。韓国で生まれて6歳で米国に渡った彼は、「いつもTwitterやインスタグラムをしており、韓国のファンたちの熱烈な関心と声援を確認している」と、どきどきする心境を隠せなかった。「故国の観客がこの映画を好むという事実に、私は心から嬉しくて感謝している。本当に、本当に特別だ」。

    - この映画の撮影方式が世間の注目を集めた。

    △ 極端なクローズアップ画面と単一角度だけで演技をした。そして撮影しているあいだはコンピュータ画面には何もなかったので、可能なかぎり具体的かつ独創的にしなければならない。撮影が行われる部屋のなかには、私以外の他に俳優はいなかった。相手の目を見ずに演技するのはとても難しかったよ。相手に頼らず、完全に自分の力で引っ張っていくので。

    - 韓国で『サーチ』が人気を得る理由は何だろう。

    △ 私の推測であり望みでもあるが、韓国系アメリカ人の家庭、具体的には韓国系アメリカ人が主人公なので好んでいただけるのなら嬉しい。この映画が意味深いのは、主人公がアジア系アメリカ人であるという事実を特に意識してストーリーが展開するのではない点にある。ハリウッドではアジア系アメリカ人がストーリーの中心に立つ場合、なぜ彼らでなければならないのかを正当化するために必ずストーリー展開の方式そのものを、彼らがアジア人だということに焦点を合わせることがありふれている。また別の推測だが、韓国人が米国人よりもはるかにオンラインに費やす時間が多いということを知っている。インターネットインフラが既に、以前からしっかりと構築されていたということも。だから私たちの映画の話を伝えようとするストーリーテリングが、特に韓国の観客にアピールするところがあるのか気になる。単なる推測だが。

    - アメリカ映画に韓国系家族が主人公で大挙登場するのは異例だ。

    △ アジア系アメリカ人、あるいは韓国系アメリカ人のキャストを嫌うハリウッドの風土はずっと問題として提起されてきた。しかし私のフィルモグラフィーをさかのぼってみると、個人的には祝福を受けてきたと思う。かなり前から自分自身の期待を超える作品に出演することができた。だから私が感じる感情には両面性がある。今回、ジョセフ・リー(ピーター役)、サラ・ソン(パメラ・キム役)、ミシェル・ラ(マーゴ・キム役)と一緒に作業して楽しかった。しかし彼らが韓国系アメリカ人だからというわけではなく、優れた俳優たちだからというのがより適切だ。私たちは韓国系アメリカ人の家庭が登場する映画を作るということをよく認識しており、これを表現するということを私たち自身が誇りに思っていた。『サーチ』は愛でむすばれた家族が登場し、その家族が抱えている問題は人種固有の文化とは全く関係のない映画なので、さらに特別な作品だと思う。

    - 最初は出演オファーを断ったとか。どんな理由で、なぜ応じたのか。

    △ その通り。キャスティングの提案が来たときに、最初は断った。脚本とストーリー、そしてキャラクターもとても気に入ったが、ウェブカメラの前で演技をしなければならないというのが気に入らなかった。演技の練習するみたいだし、私のやってみたい作品と果たして合致するのかという気もした。最初は映画を作るというよりは、YouTubeの映像を撮ることだという感じが強かったというか…。だから最初は断った。それでもアニーシュ監督が継続して提案してきたし、再び作品を見ることになって、結局は一度会ってみようと出て行った席で説得された。アニーシュ監督は私が考えていたYouTubeの映像ではなく、ホンモノの映画を作るという考えだった。劇中で私が引き受けたキャラクターの目を代弁するカメラは、従来の映画用カメラのように撮影すると言った。シナリオではあらわれる感じの通りに、サスペンスフルにキャラクターを構成すること対しても念を押した。私たちは劇中人物たちにかなり神経を使った。ある瞬間、アニーシュ監督の情熱が気に入った。彼はこれこれに作りたいと、自ら言ったことを行える監督だった。

    - アニーシュ監督は最初からあなたを念頭に置いてシナリオを書いたと聞いている。あなたのどんな点を念頭に置いたのか。

    △ 正確な答えを聞くためには、アニーシュ監督に行うべき質問だ。私が理解したところでは、アニーシュ監督はメインストリームのスリラー映画を作りたがった。とても規模が大きい主流映画を。しかし有色人種を主人公にしたのは…監督が子供の頃にハリウッド映画や一般的な映画で自分や自分の身近な人々、あるいは自分の家族と同じような見た目の人々はあまり登場しないことを知ったと言う。だから自分に映画を作る機会が来たとき、それを変えようとする意志が強かった。だから私を選択した。そして映画のテーマ面や映画の演出の面でも、製作陣は最新技術に非常に慣れているとただちに信頼できる大人の俳優が必要だったのだろう。だから映画の空間的背景も、シリコンバレーに位置するサンノゼのものだが、シリコンバレーで働いているように見える俳優を選んだのだろう。それがまさに私だったということだ。



    - 『ハロルドとクマー』(2004)出演当時は「アジア系アメリカ人が主演にキャスティングされたのは、ハリウッドでは革命的な出来事だった」と語った。14年が経ったいま、変化した風景を感じる?

    △ 明らかに変化は現れている。カメラの前で、あるいはまたカメラの後ろで活動する人々の中に、認められる人々が日々増えている。変化が目に見える。もちろん、その変化が満足できるレベルで起きているとは言えない。しかし、映画界に起きている変化の風は鮮明だ。非常に健康的なことだ。

    - さいきんアジア系俳優もブロックバスターの主人公になれるという意味で、SNS上では「ジョン・チョーを主演に」という応援メッセージが頻繁に見られる。

    △ 「ジョン・チョーを主演に」運動は新しい方法で大きなアイデアを伝達する方式なので、非常に創意的でエキサイティングだと思う。ハリウッドはアジア系アメリカ人をさらに多くの登場人物にキャストするべきだと多くの人が語ってきたが、その考えは受け入れられなかった。創作者である「William Yu」がさまざまな映画のポスターに私の顔を合成して新たにポスターを作成した。これらはソーシャルメディアで即座に共有され、討論の場が開かれた。これは私の人生にはかなり立派な影響を及ぼしたと考えている。

    - 韓国で生まれ、6歳で米国に移住した。韓国への愛着と韓国映画の出演に対する熱望も大きいようだ。

    △ 望んでいたことだ。韓国で映画を撮ることになれば、非常に面白そうだ。韓国で過ごしてみたいし、私が生まれた国で作品を撮るというのはそれ自体で意味が大きい。韓国では映画をどのように作るのか、アメリカとはどのように似ていて、あるいは違うのかが気になる。「逃げた韓国語」(韓国語を忘れたという意味)を探すなら、一度は挑戦してみたい。パク・チャヌク、ポン・ジュノ、キム・ジウン監督を知っている。私を最も衝撃に陥れた映画は『オールドボーイ』だ。タブーを扱ったという点で非常に勇気があり、ストーリーも独創的だった。そして俳優たちの演技が非常に良かった。キャラクターも面白かったし、個性があふれている。

    - あなたの前作である『コロンバス』(2018)も印象深く見たし、好きな映画だ。この映画の唯一の心残りは、韓国人た(ジョン・チョー)の韓国語の実力ではないかという冗談半分の話が聞こえてきたりした。

    △ 『コロンバス』を見たなんて…感謝する。いつか韓国に行って映画を撮ることになったら、私は韓国語をどれくらい取り戻すことができるかを確認してみたいという考えだ。再び韓国語を流暢にできるようになれば、それは本当に素晴らしい。私は長いあいだ韓国語を使用しなかったので、その間に韓国語がみな逃げてしまった。しかしどのよう取り戻すことができるか、ぜひ確認してみたい。

    - ツイッターやインスタグラムも活発に活用するようだ。「『サーチ』韓国ボックスオフィス1位!韓国観客の皆さんの多くの関心と声援ありがとうございます!」と書いたのを見た。普段はファンとよくコミュニケーションするのだろうか。

    △ よくコミュニケーションする方ではなく、単にしばしば行う方だ。生活のバランスという面で、その程度が適当なようだ。ファンと近くで過ごせばいいが、個人的にはしばしばオンラインの世界に入り浸っているのではないと思う時がある。バランスがくずれる危険性は、明らかにあるわけだ。だから、いわゆる現実に可能なかぎりとどまろうとしている。しかし、韓国のファンたちと疎通することができたのは本当に感謝している。私が韓国系だから、韓国のファンたちに会ってコミュニケーションするのはかなり特別なことだ。故国で私を支えてくれるファンがいることを知ると、気持ちがとても良い。

    - 今、あなたは全盛期であるようだ。ホラー映画『呪怨』、ネットフリックス映画『タイガーテイル』など、次期作も決まっているし。自らはどんな俳優であることを望むのか。

    △ シンプルだ。一生懸命に頑張って良い作品を選択し、良い演技を繰り広げる俳優であること。それ以上は望むところはない。何をさらに望むことができるだろうか。
  • 毎日経済_キム・シギュン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2018-09-13 20:27:26