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[コラム] あの時報道していたら…

  • n番部屋、博士(パクサ)部屋という希代の性搾取事件を報道した記者は、4大日刊紙と言われる新聞社の事件記者でも、地上波放送の探査報道チームでもなかった。

    「追跡団花火」という名前で活動していた大学生記者の2人だった。

    彼らが追跡取材した記事が掲載されたのは、ニュース通信振興会のホームページだけだった。
    昨年5月、一般市民とジャーナリストを対象に公募した探査作品で優秀賞を受けたためだ。

    探査作品の公募当時、受賞作は振興会のホームページや連合ニュースなどのメディアを通じて公開される予定だと明らかにしていたが、振興会の大株主である連合ニュースですら記事を扱わなかった。授賞結果を報道し、受賞作が見られるように振興会のホームページをリンクさせたのがすべてだった。

    連合ニュースは新聞や放送ではなく通信なので、一般人は接することが大変難しい。代わりに連合ニュースに掲載されれば、全国の新聞、放送、雑誌、インターネットメディアが先を争って記事にする。だから残念なことだ。

    世間に知られている内容を確認すると、「追跡団花火」の記事を掲載する場合、報道の責任問題をめぐって苦心したそうだ。それなら、直ちに取材チームを構成し、大学生記者が発掘した記事に対する事実確認に入らなければならなかった。

    昨年9月、振興会のホームページに掲載された「追跡団花火」の記事は、11月になって主流メディアの1つであるハンギョレ新聞に報道された。いわゆる朝中東という巨大新聞社やKBS、MBC、SBSなどは、博士部屋の運営者であるチョ・ジュビンが検挙されるまで沈黙していた。

    他の新聞に掲載された記事を後講釈したくなかったからだろう。

    メディアのこのような属性のため、未成年者16人を含む74人の被害者が出た後、事件が水面上に浮かび上がった。

    「追跡団花火」は連合ニュースで「追加取材を通じて私たちの記事を扱うと思った。もともと取材する事案が多くて、時間がかかるだろうと思っていた。しかし時間が経つにつれ、私たちの記事は事件ではなく単なる記事だと思い落胆した」と心境を吐露した。

    「今になって我先に単独報道と言って記事を載せるメディアを見て、あの時はなぜ取材しなかったのか知りたい」とも話した。

    「追跡団花火」の大学生記者が残念がるのは、自分たちの記事が無視されたからではない。博士部屋の被害者は、彼らが報道した後に生じたため、メディアが適時に報道し警察が適時に捜査したなら被害を防ぐことができたという恨めしさだ。

    なぜメディアは、大学生の記者が心血を注いで取材した探査物に背を向けたのだろうか。この疑問点に対する答えを見つけるのは簡単ではない。ただ、今からでもメディア全体が反省し、再び同じことが繰り返されないことを望むだけだ。
  • Lim, Chul | 入力 2020-04-03 00:00:00