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【韓国コラム】太陽にも特許を出すつもりですか

  • 今はポリオ(小児麻痺)の後遺症で足を引きづって歩く人を見る機会がほとんどない。これは先進国だけでなく、アフリカなど貧しい国でも同じだ。

    米国の医学研究者、ジョナス・ソーク(Jonas Edward Salk)博士のおかげだ。
    彼がポリオワクチンを開発する前、ポリオは世界の人々を恐怖に追い込んだ。
    1952年には米国だけで58000件を超えるポリオが報告されており、そのうち3,145人が死亡している。21,269人は足が麻痺したので米国社会が恐怖に陥ったのは当然だ。

    ピッツバーグ研究所で1日16時間、休日なしに7年間ワクチン開発に取り組んできた彼は、1953年に開発に成功し同年11月から臨床実験を始めた。

    最初の対象者はジョナス・ソーク自身だった。その後、180万人もの臨床実験を経て安全で効果的であることが公表された。

    ジョナス・ソークは、当時アメリカ大統領アイゼンハワー(Dwight D. Eisenhower)からアメリカ大統領自由勲章、議会から議会名誉黄金勲章を授与された。「人類の恩人」という称賛を浴びた。

    ジョナス・ソークが受けた栄誉は、そこまでが終わりだ。ノーベル賞も受けてないし特許もあきらめた。世論が自分を称賛することを負担に思っていた。

    ポリオワクチンが開発された後、数多くの製薬会社が特許を買いたいと提案したが、彼は「私が今儲けるお金でも暮らせる」とし断った。もし彼が特許を譲渡していたら少なくとも70億ドルを儲けただろう。

    ジョナス・ソークは『Global Citizen Festival』というテレビでインタビューを受けた。
    「ポリオワクチンの特許権者は誰ですか?」
    「うーん、人々でしょう。特許はありません。太陽にも特許を出すんですか?」

    ジョナス・ソークが特許権をあきらめたおかげで、ポリオワクチンの義務接種が楽になった。今日、世界保健機関(WHO)を通じて普及しているポリオワクチンの価格は100ウォンに過ぎない。まだ一部地域で患者が発生しているが、西欧や太平洋沿岸諸国では撲滅宣言された背景になった。

    ジョナス・ソークが特許権を放棄しなかったとしても、今頃はポリオウィルスが疲労困憊し、生涯を終えたかもしれない。しかし、そうなるまでにはかなり時間がかかったはずだし、かなりの人が苦しんでいた可能性も大きいだろう。

    現在、地球村の住民に恐怖を与える新型コロナウイルスを退治するワクチン開発に必死になっている。まだ「安全で効果的」という朗報は伝わっていないが、証券業界では、「ワクチン関連株」と主張し、製薬会社各社の株価が高騰している。一部の業者は新株も発行している。

    お金をかけてワクチン開発に乗り出した企業が特許をあきらめることを望むのは愚かなことだろう。

    だとしても、企業が新型コロナウイルスと治療剤で過度な利益を貪らないでほしいという望みまで捨てることは難しい。ワクチンの価格があまり高くなければ、より多くの人がワクチンの恩恵を享受し社会の経済活動が活気を取り戻すことができるからだ。

    新型コロナウイルスワクチンのテーマ株と言われ、製薬会社の株価が値上がりするのを目にし、ふとジョナス・ソークが思い浮かんだ。
  • Lim, Chul | 入力 2020-10-16 00:00:00