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【韓国コラム】宝くじとアパート

  • 「実に恥ずかしく屈辱を感じる一週間を過ごした。新経済を打ち出しながら、世界の富豪者の仲間入りを果たしたと自慢していたのが昨日のことだが、一瞬にして三流国家に転落した」

    1997年11月22日、MBC『ニュースデスク』のアンカーのオープニングコメントだ。

    「韓国はびくともしない」、「韓国経済は危機ではない」と、わざと目をそむけようとしたが、韓国経済は残酷な状況に置かれてしまった。起亜(キア)、眞露(ジンロ)、韓宝(ハンボ)、大宇(テウ)など財閥グループが廃業に追い込まれている状況なのだから、庶民の暮らしはあえて言わなくても予想できる。

    当時、江南(カンナム)に220億ウォンのビルを所有していたあるビルオーナーは一銭も回収できず、ビルを他人に渡してしまった。銀行の融資金に伝貰(チョンセ:まとまった保証金をオーナーに預ける代わりに家賃を払わずに済む制度)保証金まで合わせて約160億ウォンが他人の金だったため、考えてみればビルが彼のものだとは言えない状況だった。

    生き残るのに必死だった銀行は貸出金の返済を督促し、入居企業は事業部を廃止して事務室を縮小するため契約期間が終わるや否や保証金を返してもらうことを望んでいた。彼にそれほどの現金がなかったのだ。ビルを売ろうとしたが価格が下がったのはさておき買う人がいなかった。

    結局「私は終わりだ」と白旗を掲げるしかなかった。

    高いビルではなく小さなマンションを持っている人たちも、金融危機から脱することができなかった。

    国家破産が宣言された翌年、韓国の住宅価格は平均12.4%、チョンセ価格は18%下がったそうだが、これはあくまでも平均価格だ。急にお金が必要な人は、これよりはるかに安い値段で売ろうとした。それでも買い手を探すのが難しい状況だった。

    現金を持っていた人々は、この隙に不動産を買い入れて大金を儲けたりもしたそうだ。

    日本が不動産のバブル崩壊で厳しい冬を過ごした経験を、韓国はIMFに救済金融を要請した時、すでに経験している。しかし、その期間はそれほど長くなかった。寒い季節はほんの一瞬で、すぐに暖かい日光が市場を熱くし始めた。

    そのためだろうか。
    不動産の不敗神話はよみがえった。
    不動産で一儲けしたいという韓国人の欲がさらに大きくなった。

    新型コロナウイルスで社会が騒然としていて憂鬱な2020年の秋、高い空以上に上がったものがある。

    住宅のチョンセの値段と家賃だ。72週連続でソウルのチョンセ価格が上昇し中小型住宅の価格も同時に上昇傾向を見せている。わずか3か月で2億ウォンも上がった地域もある。

    結婚を控えているカップルは家を準備できず気をもんでおり、政府与党の支持率は下がっているものの対策作りはそれほど容易ではない。

    賃貸保証金上昇の原因についてあれこれと言っている。低い金利でチョンセ保証金で十分な収益を得ることができなかった家主たちが住宅賃貸借保護法の改正をきっかけに、大挙して月々家賃をもらえるウォルセに転じたためだという分析が大半を占めている。賃貸保証金が4年間足止めされることになり、その期間を考慮して受け取るだけ受け取るという心理が働いたという理由もある。

    そして、このすべてのことが、お金に対する欲から始まっている。
    IMF危機でさえ韓国不動産のバブルに警告を与えられなかったため、不労所得も同然の不動産に執着させるからだ。

    実際、韓国の不動産は宝くじと同じように思われている。
  • Lim, Chul | 入力 2020-11-13 00:00:00