トップ > 数字経済 > 経済 > 韓国国税庁「国際租税調整法」改正案で多国籍企業の実態把握

韓国国税庁「国際租税調整法」改正案で多国籍企業の実態把握


  • 韓国国税庁「国際租税調整法」改正案で多国籍企業の実態把握
  • < 国際租税調整法改正案の主な内容 >

国外に一定規模以上の内部取引のある法人を置いた韓国企業と韓国に法人がある外国企業は、国外法人と事務所の支配構造と取引履歴や買収・合併(M&A)の内容を2017年から毎年、国税庁に報告しなければならない。

同様に、米国・中国・日本・ヨーロッパなどに進出した韓国企業は、現地の国税庁に同じ内容の資料を提出しなければならない。これにより、韓国国税庁はロッテグループの日本国内の系列社の支配構造を一つ一つ把握できるだけでなく、グーグルやマイクロソフトなどのグローバル企業の現地M&Aや取引結果に対する内容も把握できるようになる。反対に、サムスンや現代自動車など国内の大企業は、中国や日本現地の国税庁に詳細情報を提供しなければならないわけだ。

企画財政部によると7日、政府はこのような内容を盛り込んだ「国際租税調整法」改正案を、来月に開かれる定期国会に提出する計画だ。

昨年11月のG20首脳会議で、韓国は多国籍企業の租税回避防止のための資料提出を義務化する経済協力開発機構(OECD)の勧告案に合意したことにより、今年は税法改正案の一つとして反映するわけだ。各企業は来年に行われる取引内訳と企業の関連情報を盛り込んで、政府の提出様式に合わせて2017年に最初の報告書を提出しなければならない。

これまで多国籍企業が年ごとに義務的に提出した「国際取引明細書」には、韓国法人と国外の特殊関係人との取引金額を中心にした内容だけを盛り込めばすんだ。

しかし、今回の改正案は多国籍企業が会社全体の法的所有構造、重要な事業構造と再編取引・株式取得・企業売却等の説明、現地法人の事業と事業戦略に対する詳細な説明、主要な特殊関係に対する説明と取引の発生状況、特殊関係との取引類型別に関連のある系列社のリストなど、幅広い内容を盛り込んだ「国際取引情報の統合報告書」を毎年出すように義務付けた。

今回の法改正案の土台になったOECD勧告案は、一部の多国籍企業が国家間で異なる税制を活用し、無課税または過小課税のメリットを得てきた慣行「税源浸食と利益移転(BEPS/Base Erosion and Profit Shifting)」を防ごうという趣旨で作られた。

しかし、法施行の副作用に対する懸念の声が出ている。まず、報告書に盛り込む内容が広範囲で、各企業に大きな負担になりうるという指摘だ。

オム・チソン全国経済人連合会国際本部長は、「韓国がOECDの10あまりのBEPS課題を一つ一つ施行していくものと見られる」とし、「企業に大きな負担がかからない範囲で、段階的に施行しなければならない」と指摘した。

これに対して企画財政部の高位関係者は、「一部の多国籍企業がバミューダやバージン諸島などのタックスヘイブンに設立したペーパーカンパニーの支配構造と取引関係の情報だけでなく、租税回避目的の企業の構造調整の内容を税務当局が把握しようという趣旨」だとし、「企業の負担を考慮して、OECD勧告案のうちで国別の現地法人の事業活動の詳細を盛り込んだ国別報告書の義務化は向後に施行することにした」と説明した。

このような報告義務を守らない場合には過怠料を賦課することになる。また、国税庁の税務調査の根拠になることがあり、各企業にはかなりの負担になると予想される。

また、この法律はOECD勧告案を受け入れた他の国でも似たような形態で行われるため、企業の情報漏洩の懸念もある。

韓国金融監督院の電子公示システムに公示されるレベル以上の個々の企業の情報を、各国の税務当局が確保できるからだ。現在までに、米国・スペイン・シンガポールが報告書の提出を義務付けており、中国・日本・英国・フランスなどは近いうちに法改正を通じて導入する計画だ。

特に現地法人の事業戦略だけでなく、事業構造再編のための競合他社の株式取得や企業の買収・合併と売却など、詳細説明を盛り込むようにした点が問題だという指摘が多い。各国の国税庁からは流出しないようにするという国際的な約束はあるが、国税庁の職員によって個人的に流出する可能性があるからだ。

投資銀行(IB)業界の関係者は、「M&Aの場合は具体的な売却代金さえ公開しない事例が多いのに、これを公開する場合に企業は今後のM&A戦略の策定に支障をきたすことがありうる」と語った。

今後の争点は、この法律がどの程度の規模の企業まで適用されるかどうかだ。いったん大企業を中心に適用されるのは確実だろう。

カン・ユンジン企画財政部国際租税制度課長は、「一定規模以上の系列社間の移転取引を行っており、一定のレベルを超える資産規模を持つ法人が対象だが、具体的な要件はこれから作成される政令で定める計画だ」と明らかにした。

OECD加盟国は2012年から、多国籍企業の国際取引情報の文書化について検討を開始した。 2012年6月のG20首脳会議で、BEPSプロジェクトの中で13番目の課題として選定されて勧告案が作られた。

2018年からは類似の内容の法を導入した世界各国の国税庁が、関連情報を自動交換するものと見られる。
  • 毎日経済_チョ・シヨン記者/パク・ユンス記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-08-07 15:56:22




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア