トップ > コリアナウ > 社会 > 既成事実化された「軍艦島」の世界文化遺産登録、韓国にできることは…？
△写真=恥ずかしい日本の強制徴用の現場。日本植民地時代の朝鮮人強制労働として悪名の高かった長崎の軍艦島の内部全景。遠く正面に見える建物が学校、左の丘の上の建物が従業員宿舎だった。 [ファン・ヒョンギュ特派員]
その名の通り巨大な軍艦が海に浮かんでいるようだった。コンクリートで覆われた長さ480メートル、幅150メートルの灰色の軍艦島（正式名称は端島）が目の前に近づくほど、なぜここが「地獄島」と呼ばれたのか直感的にわかるように思えた。故郷から強制的に連れてこられただけでも悲痛だが、コンクリート島の地下1000メートルの海底坑道で1年365日、強制労働に苦しめられたなど考えただけでもぞっとした。
「一日12時間労働で誰も五体満足には抜けらず、刑務所島、地獄島と呼ばれた「（イ・ボンリョル韓国人犠牲者遺族会長）という言葉は誇張ではなかった。怒りと悲哀が交差した。
「すごいね！」遊覧船の窓の外、観光客がひっきりなしに撮るカメラのシャッター音が、屈折した歴史の中に閉じ込められた記者を現実に呼び戻す。夫婦同士、恋人同士、家族同士で軍艦島を背景に記念写真を撮る姿からは、韓国には「悲劇の歴史の現場」である軍艦島の姿は、そのどこにも見出すことはなかった。明治時代の産業革命の礎を固めた、誇らしい産業現場でしかなかった。韓国の歴史と日本の現実は克明に対照を成した。
最長8日間のゴールデンウィークが終わり、最初の営業日を迎えた7日朝から、九州・長崎港の軍艦島クルーズには老若男女の観光客の足が続いた。港のターミナルまで行く道の両側には、「明治日本の産業革命遺産、2015年世界文化遺産」を祝う旗がはためいた。ユネスコの最終決定は7月初めに予定されているが、ここではすでに決定したという雰囲気だった。
ゴールデンウィークの真っ最中だった4日、ユネスコの諮問機構の国際記念物遺跡協議会（ICOMOS）が、軍艦島を含めて8県23ヶ所の明治の産業革命遺産を世界文化遺産に登録するように勧告したことで、観光の問い合わせは大幅に増えた。ゴールドウィーク期間には、午前・午後の船便がすべて満席だったという。
長崎港から軍艦島に向かう30分間の船旅は、日本の近代化を成し遂げた明治の産業革命と朝鮮人強制徴用の歴史が交差した。
世界文化遺産の選定が有力な23ヶ所のうち、朝鮮人徴用者が強制動員されたのは7ヶ所で、このうち5ヶ所の産業施設が長崎港周辺に含まれている。
遊覧船が警笛を鳴らして出発した瞬間から右に見える、巨大な長崎三菱造船所では大型クレーンと昔の木型場、第3船渠（ドック）の3つの産業施設が世界遺産としてあがっている。いまも大型船舶を製造する主力造船所であるここだけでも、日本の植民地時代に4700人が強制動員された。長崎港を出発して30分ほどが過ぎて遠くに軍艦島が見え始める頃、遊覧船は今も400人が暮らしている高島をよぎった。朝鮮人徴用者たちはここでも、なんと4万人が重労働に苦しめられた。
明治の産業革命当時、1890年代の三菱石炭鉱業はこの高島とすぐ隣の軍艦島を買収した。ここから出てくる質の良い石炭は、日本が鉄鋼・造船を起こすための礎となった。日本が産業遺産を世界遺産とするために外交的努力を傾注することも、このような論理からだ。
高島から2.5キロ離れた軍艦島へ足を踏み出した瞬間、遠くから見るよりもずっと荒涼としたオーラが全身に感じられた。ゆうに7～8階ほどに見える、なかば崩れたコンクリートのアパートや学校の建物は、爆撃にあった廃墟を連想させた。 1974年、エネルギー源が石油に変わって閉鎖されるまで、軍艦島の炭鉱は維持された。 「地下1000メートルまで掘り下げ、石炭を掘り出さなければならなかった」という説明から、産業革命遺産の後ろに隠された労働者の苦しい生活が感じられた。
しかしここまでだった。観光客を迎える軍艦島は、日本の近代化革命の礎を固めた産業遺産、それ以上でも以下でもなかった。すでに日本の産業革命を支えた長崎の「夢の遺産」を扱った本が出て、主要日刊紙には「繁栄の跡」を訪れる観光商品があふれている。
軍艦島を含めて7つの産業施設では、あわせて5万7900人の朝鮮人徴用者が強制的に動員された。確認されただけで94人が死亡し、5人が行方不明になった。前述したイ・ボンリョル会長の叔父も、120メートルの坑道に墜落して死亡したという。ユネスコの最終決定まで二ヶ月。すでに既成事実化されている「世界遺産」登録を防ぐことが手にあまるなら、少なくとも強制徴用の歴史だけでも復元することが韓国に与えられた課題であり義務だという考えが切実になった。
既成事実化された「軍艦島」の世界文化遺産登録、韓国にできることは…？
その名の通り巨大な軍艦が海に浮かんでいるようだった。コンクリートで覆われた長さ480メートル、幅150メートルの灰色の軍艦島（正式名称は端島）が目の前に近づくほど、なぜここが「地獄島」と呼ばれたのか直感的にわかるように思えた。故郷から強制的に連れてこられただけでも悲痛だが、コンクリート島の地下1000メートルの海底坑道で1年365日、強制労働に苦しめられたなど考えただけでもぞっとした。
「一日12時間労働で誰も五体満足には抜けらず、刑務所島、地獄島と呼ばれた「（イ・ボンリョル韓国人犠牲者遺族会長）という言葉は誇張ではなかった。怒りと悲哀が交差した。
「すごいね！」遊覧船の窓の外、観光客がひっきりなしに撮るカメラのシャッター音が、屈折した歴史の中に閉じ込められた記者を現実に呼び戻す。夫婦同士、恋人同士、家族同士で軍艦島を背景に記念写真を撮る姿からは、韓国には「悲劇の歴史の現場」である軍艦島の姿は、そのどこにも見出すことはなかった。明治時代の産業革命の礎を固めた、誇らしい産業現場でしかなかった。韓国の歴史と日本の現実は克明に対照を成した。
最長8日間のゴールデンウィークが終わり、最初の営業日を迎えた7日朝から、九州・長崎港の軍艦島クルーズには老若男女の観光客の足が続いた。港のターミナルまで行く道の両側には、「明治日本の産業革命遺産、2015年世界文化遺産」を祝う旗がはためいた。ユネスコの最終決定は7月初めに予定されているが、ここではすでに決定したという雰囲気だった。
ゴールデンウィークの真っ最中だった4日、ユネスコの諮問機構の国際記念物遺跡協議会（ICOMOS）が、軍艦島を含めて8県23ヶ所の明治の産業革命遺産を世界文化遺産に登録するように勧告したことで、観光の問い合わせは大幅に増えた。ゴールドウィーク期間には、午前・午後の船便がすべて満席だったという。
長崎港から軍艦島に向かう30分間の船旅は、日本の近代化を成し遂げた明治の産業革命と朝鮮人強制徴用の歴史が交差した。
世界文化遺産の選定が有力な23ヶ所のうち、朝鮮人徴用者が強制動員されたのは7ヶ所で、このうち5ヶ所の産業施設が長崎港周辺に含まれている。
遊覧船が警笛を鳴らして出発した瞬間から右に見える、巨大な長崎三菱造船所では大型クレーンと昔の木型場、第3船渠（ドック）の3つの産業施設が世界遺産としてあがっている。いまも大型船舶を製造する主力造船所であるここだけでも、日本の植民地時代に4700人が強制動員された。長崎港を出発して30分ほどが過ぎて遠くに軍艦島が見え始める頃、遊覧船は今も400人が暮らしている高島をよぎった。朝鮮人徴用者たちはここでも、なんと4万人が重労働に苦しめられた。
< 世界遺産の勧告を受けた長崎の産業遺産 >
高島から2.5キロ離れた軍艦島へ足を踏み出した瞬間、遠くから見るよりもずっと荒涼としたオーラが全身に感じられた。ゆうに7～8階ほどに見える、なかば崩れたコンクリートのアパートや学校の建物は、爆撃にあった廃墟を連想させた。 1974年、エネルギー源が石油に変わって閉鎖されるまで、軍艦島の炭鉱は維持された。 「地下1000メートルまで掘り下げ、石炭を掘り出さなければならなかった」という説明から、産業革命遺産の後ろに隠された労働者の苦しい生活が感じられた。
しかしここまでだった。観光客を迎える軍艦島は、日本の近代化革命の礎を固めた産業遺産、それ以上でも以下でもなかった。すでに日本の産業革命を支えた長崎の「夢の遺産」を扱った本が出て、主要日刊紙には「繁栄の跡」を訪れる観光商品があふれている。
軍艦島を含めて7つの産業施設では、あわせて5万7900人の朝鮮人徴用者が強制的に動員された。確認されただけで94人が死亡し、5人が行方不明になった。前述したイ・ボンリョル会長の叔父も、120メートルの坑道に墜落して死亡したという。ユネスコの最終決定まで二ヶ月。すでに既成事実化されている「世界遺産」登録を防ぐことが手にあまるなら、少なくとも強制徴用の歴史だけでも復元することが韓国に与えられた課題であり義務だという考えが切実になった。
- 毎日経済_長崎＝ファン・ヒョンギュ特派員 | (C) mk.co.kr
- 入力 2015-05-07 17:42:58
