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夜間を利用した「体育私教育」盛ん…小学生月平均体育教育費2倍に


  • 夜間を利用した「体育私教育」盛ん…小学生月平均体育教育費2倍に
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小学校6年生のキム某君は金曜日の夜10時になると、ソウル市江南区大峙洞(テチドン)のバスケットボール教室に向かう。バスケットボール教室に行けば、キム君と同じ年頃の子供たち10人あまりが集まっている。彼らは下校すると各自が国語・英語・数学塾に通い、みんなが時間のあく夜10時にここに集まる。キム君の両親は「バスケットボールはチームに5人ずつ、対決するには少なくとも10人いなければならない」とし、「親しい子供といっしょに通える時間帯を選んでみたところ、夜10時以降しかない」と語る。

キム君の両親は比較的に学業負担が少ない小学生の時に、全人教育の次元で子供にチーム運動を教えている。現在は中学3年生の一番うえの子供も、小学校の時にバスケットボールを学んだ。

キム君の両親は「第二子は中学校低学年まで、継続してバスケットボール教室に送る予定」だとしながらも、「親しい子供とチームを組むためには、これからもバスケットボール教室を夜10時以降にするしかない」と語った。バスケットボール教室の関係者は、「学生らは5~6時間ずつ塾に通ってストレスを解消するところがないことから、夜に来てバスケットボールをすることをとても楽しんでいる」と説明した。

最近、(学習塾の集中する)「学院共和国」大峙洞の小学生・中学生のあいだでは、夜の時間を利用した「体育私教育」の風が吹いている。体育学院(体育塾)が「塾の設立・運営及び課外教習に関する法律(学院法)」に基づいたレッスン時間の規制を受けないスキマを狙ったものだ。体育施設は文化体育観光部の所管で、「体育施設の設置・利用に関する法律」が適用される。したがって、ソウル市教育庁が学院・教習所の教習時間を午後10時までに制限したこととは関係なく、その後も学生を教えることができる。

体育学院は最近の全人教育を強調する雰囲気と相まって、午後10時以降に小学生・中学生を吸収している。小・中・高校生の体育教育費の総額は、昨年は1兆7163億ウォンで前年比で38.4%増加した。その中で小学生の体育教育費は1兆3676億ウォンで、全体の80%に迫った。続いて中学生の体育教育費は2225億ウォン、高校生は1262億ウォン程度だ。

来る7月からソウル地域では、塾だけでなく課外時間も午後10時に制限されることを勘案すれば、このような流れはさらに加速するものと思われる。

「私教育1番地」の江南では、すでにさまざまな形の体育私教育が盛んに行われている。江南区のプールでは水泳のインストラクターがラインをひとつ借りて学生を個別に教える、学院内課外授業が広がっている。授業は学生が教育塾を終えて来ることができるように、夜9時から始まる。

プールが営業を終えない限り、夜10時までに授業を終えなければならないという負担はない。アパートに入居者の使えるプールがあれば、インストラクターが直接訪問して子供を教えることもある。小学生の子供を水泳塾に送るパク某氏(44)は、「小学生の時に体力を育てておいてこそ、中学生になった時に塾に通うことができる」とし、「江南学院は一科目当たり3時間ずつ授業するが、体力がないと塾に耐えられない」と語った。

学校の内申や高校入試のために体育私教育が行われる場合もある。江南区に位置するD中学校は、遂行評価をこまかく見ることで有名だ。このためにこの学校の一部の親は、子供に縄跳びやランニングの課外授業をさせたりする。子供が午後10時まで塾で勉強して家にもどれば、その時から体育の課外授業が始まる。一部の学生は体力検査を行う私立校入試の事前準備のために、忙しい時間を割きながら体育私教育を受ける。

テコンドー学院に通う生徒は、夜10時を過ぎても塾にいるケースがふつうだ。今年中学1年生になったB君は学校が終わると教習塾に行き、テコンドー塾にまで寄って夜11時以後に家に戻る。共働き夫婦が増え、夜遅くにテコンドーを学ぶ小学生もたまにいる。一般の学習塾は午後9~10時に終わるが、体育塾は時間の制約がないので、退勤が思い通りにならないときに子供を任せるように送るわけだ。

子供の素質と適性を重視する方向に教育課程が改正され、芸術・体育に対する関心が高まったことも体育私教育の増加につながっている。子供をテコンドー塾に送るた親は、「学校が終わったら英語・ピアノ教室に行って、夕食を食べてテコンドーをしに行く」といい、「よく遊ぶ子供が勉強もよくできるというが、体も丈夫になって良いようだ」と語った。このような流れに支えられて、1人当たり月平均体育教育費は2012年以降上昇を続けている。

統計庁が発表した「2016小・中・高教育費調査結果」によると、学生1人当たりの月平均体育教育費は2万4000ウォンで、前年比で19.3%増加した。その中で小学生の1人当たり月平均体育教育費は2012年の2万4000ウォンから昨年は4万3000ウォンで、2倍ほどに増えた。中学生の場合も2012年の7000ウォンから2016年には1万3000ウォンに増えた。

「私教育の心配のない世界」のク・ボンチャン政策局長は、「多様なスポーツ活動の需要を公教育がすべて満たすことのできない状況で、体育私教育は学校教育のすき間を埋める側面がある」としながらも、「学生の体のリズム上、夜遅くまで運動をすることは学生の健康権と睡眠権を脅かす」と憂慮した。
  • 毎日経済 チョン・スルギ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-06-09 16:58:59




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