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一洋薬品、白血病の新薬 「スペクト(Supect)」開発


  • 一洋薬品、白血病の新薬 「スペクト(Supect)」開発
一洋(イルヤン)薬品は2003年から、慢性骨髄性白血病の新薬開発に乗り出した。「スペクト(Supect)」という新薬だ。慢性骨髄性白血病は、骨髄内に異常細胞が過度に増殖して起こる疾患だ。成人白血病の4分の1ほどを占めている。

イルヤン薬品は13年間の刻苦の努力を傾けた結果、先月この白血病新薬を開発して第3相臨床を終えた。政府の許可を得れば、今年の下半期に発売される。世界で4番目、アジアで初の白血病新薬だ。

スペクトはイルヤン薬品のチョン・ドオン会長(67)には格別の意味がある新薬だ。開発費として今まで総500億ウォン以上が投入された。ここにはチョン会長の私財30億ウォンも含まれている。去る4日、ソウル市江南区のイルヤン薬品本社で会ったチョン会長は、「新薬開発は本当に難しいこと」だと、大変だった過去を回想した。チョン会長は、「新たに発見された候補物質を実験用のラット、サル、犬に注入すると、薬毒のせいでもなく死ぬ。このような毒性実験段階で廃棄処分された候補物質だけでなんと510だった」とし、「511回目で毒性試験を通過した」と打ち明けた。

イルヤン薬品が挑戦した白血病治療薬市場は、世界的な製薬会社ノバルティス社の「グリベック」が強者だ。癌細胞だけを攻撃する、世界初の標的抗がん剤だ。2001年5月に米の食品医薬品局(Food and Drug Administration/FDA)の承認を受けたが、同月に韓国の食品医薬品安全処からも迅速な承認を受けるほど患者に切実だったし、信頼性も高い。当時、イルヤン薬はグリベックの特許が10年以上残っている状況で、「怖気づくこともなく」白血病治療剤の開発に乗り出した。

チョン会長は、「売上げ高1400億ウォン水準の中堅製薬会社が新薬開発に挑戦するので、周囲では疑いの目もあった」とする。やはり開発プロセスは順調でなかった。ひとしきり開発が盛んだった2004年に、実験室内の反応器に火災が発生した。消火器で消すと実験試料が汚染され、それまでの研究成果がすべて水泡に帰した。チョン会長は「職員の安全がより重要だったので、すぐに火を消した」とし、「当時、炎に包まれた510番目の物質を研究したノウハウで、苦労して復活させた511番目の物質がけっきょくスペクトになった」と語った。開発5年目の2008年、前臨床試験が終わって臨床に突入すると、チョン会長は私財30億ウォンほどをR&D費用として出捐する果敢な決定を下した。チョン会長は、「研究者も開発コストを節約するために、個人の人脈まで動員して大きな企業にデータ分析を頼むなど、熱誠を見せてくれた」と語った。

小さな成果は2012年、白血病治療に耐性が生じた患者を治療する2次治療薬として、食薬処の承認を受けて市販されたことから出てきた。2009年、胃潰瘍薬の「ノルテク」に続き、相次いで国産新薬リストに名前をあげたのだ。2次治療薬として満足することもできた。しかし、チョン会長は新薬の開発に邁進した。抗がん剤は生命と直結するために患者の信頼が重要だが、ジェネリック医薬品では決してこのような信頼を得られないと判断した。

その判断は的中した。昨年、グリベックの特許満了で国内の製薬会社は待っていたかのようにジェネリック医薬品を出したが、いずれもグリベックを置き換えることはできなかった。チョン会長は「早ければ7〜8月頃、白血病患者に朗報を伝えることができるだろう」とし、「既存の治療剤よりも20〜30%低い薬価で新薬を供給することができるだろう」と語った。
  • 毎日経済_イ・ドンイン記者/写真=イ・チュンウ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-03-09 17:52:38




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