Q.韓国ではなぜ「無償給食」が話題になっているのですか？（下）
| A. | （※この記事は「韓国ではなぜ「無償給食」が話題になっているのですか？（上） 」の続きです。） 賛成派、反対派の意見を見てみましたが、賛否両論、どちらとも理にかなっていますね。このため、双方が自分の主張を曲げずに真っ向から対立しているのでしょう。 考えてみれば無償給食は今、反対世論を主導する与党から最初に始まりました。アン・サンス前ハンナラ党代表が国会議員だった果川市が主導をしたのです。政府庁舎があった果川は、当時、国会議員だけでなく、市場、市議会議員も与党が掌握していました。2001年に果川市が条例を作った後、20億ウォンの予算をかけて、6つの小学校で無償給食を実施したのですから、与党がまず火ぶたを切ったわけです。 他の地域に住んでいる親は果川に住む人々を羨ましがりました。その後、果川は無償給食の中心地となり、全面無償給食を公約に掲げた野党代表がベンチマークの次元から訪れたところも、果川の小学校でした。 その後、2011年にソウル市議会が無償給食を実施するという条例を作りながら、政治的争点として急浮上しました。当時の呉世勲（オ・セフン）市長はハンナラ党の所属でしたが、議会は野党が掌握した状態でした。 全面無償給食に反対したオ市長は政治生命を掲げ、これを住民投票にかけましたが、投票率は25.7％にとどまってしまいました。住民投票法により、開票得票率が33.3％未満の場合、投票箱を開封することすらできないため、住民投票はオ市長の敗北として一段落されてしまいました。 オ・セフン市長は自主的に辞退し、続く補欠選挙で、現在の市場であるパク・ウォンスン氏が当選しました。 オ市長は野党はもちろん、与党にも無理な方法だったと悪口を言われました。だから、選挙が開かれるたびに与党の政治家たちも、遠慮なく無償給食を反対することができません。 無償給食を廃止すると電撃宣言したホン・ジュンピョ慶尚南道知事も選挙では同様の態度を見せていました。 ホン知事は、無償給食支援金を予算に編成して全額を疎外階層、庶民子弟教育事業補助費として直接支援すると明らかにしました。貧農の息子として生まれた彼は小川で生まれた竜のような人です。 ホン知事に大統領選挙出馬意欲があるのかはよくわかりませんが、自分の政治的所信を広げることに対しては何も言いません。しかし、慶尚南道の知事出馬当時は無償給食の反対意見を明らかにしていないうえに、2012年知事就任式で「無償給食のような福祉予算が削減されることがないようにする」と約束したのです。さらに、昨年の地方選挙を控えては無償給食支援を約束した後、突然、給食予算を取り消しました。 むしろオ・セフン市長のように、政治的な色を明らかにすればいいのですが、ホン・ジュンピョ知事は過去4年間、無償給食に対する立場を頻繁に変更しました。これだから反発を買うのも当然です。いくら政治家の約束は信じられないと言いますが、あまりにも行ったり来たりしすぎです。 無償給食に対する韓国民の世論も賛否両論が分かれている状態です。ソウル市で無償給食が全面的に実施された後にも、保守言論は農薬の給食だ、無償給食により学校の施設が滅茶苦茶なまま残されている、給食の質が悪いため、子供たちが食べ残した残飯処理費だけで年間200億ウォンを超えるなど、批判世論が延々と提起されています。 一方、無償給食により住民すべてが歓呼する地域もあります。現在、無償給食の議論の中心に立っている慶南陜川郡です。ここは、財政自立度が12％に過ぎない貧しい地域で、小学生はもちろん高校生たちにも給食が無料で提供されています。給食の質も非常に高く、環境にやさしい農産物や韓牛ステーキまで出てきます。 すべて、この地域で生産された農作物です。給食に使われる予算もすべての地域住民に還元されます。いわば陜川では好循環が行われているわけです。もちろん、これはあくまでも地域の特性上、可能なことでしょう。農村地域であるうえ、学生がすべてで合わせて35校の4028人だけです。 陜川郡の事例を挙げて大都市にまで拡大するには無理があります。となれば、無償給食を廃止するか、段階的に実施すればいいだけのことです。どうせ無償給食は市道の予算で地域によって行われるのですから、地域の特性に応じて住民の意見を聞いて実施すればよいのです。無償給食の議論が続くのは政治家たちが、これを政略的に利用していることが最も大きな要因であるように思えたりもします。 |
- Lim, Chul
- 入力 2015-04-07 09:00:00
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