Q.「応答せよ」シリーズのドラマが成功した背景には特別な理由や秘訣があるのですか？
| A. |
「応答せよ」シリーズのストーリーと言ったところで、まあ、たいしたものはありません。 1988年を扱った『応答せよ1988』以前は「ヒロインの夫探し」が物語の主な骨組みでした。 2012年に放映された『応答せよ1997』は、H.O.Tのトニー・アンが好きな女子高生を中心に当時を生きた青年たちの生活が描かれました。教室のテレビの主権を巡ってSechs Kiesのウン・ジウォンが好きな女子高生とH.O.Tのファンがケンカをする場面も出てきます。 翌年の2013年に電波に乗った『応答せよ1994』もバスケットボール選手イ・サンミンの熱烈なファンである女子学生がストーリーの中心にいます。新村（シンチョン）の下宿を背景に、ソウルに上京してきた田舎ものたちが『応答せよ1994』の主人公でした。 昨年、旋風的な人気を呼んだ『応答せよ1988』も夢がない（？）女子高生のドクソンのラブストーリーの伏線を中心に話が展開します。ソウル双門洞（サンムンドン）の路地に暮らす5家族の話ですが、最終的にはドクソンの夫が明らかになり、話は終了します。 韓国人の好き嫌い確認する必要すらないストーリーです。このありきたりな話で20％に近い視聴率を記録したというのがすごいことでしょう。 「応答せよ」シリーズの中で一番最初に放映された『応答せよ1997』も最終回は5.1％の視聴率を記録し、当時のケーブルテレビ作品の中で最も高い記録を出しました。21話で締めくくられた『応答せよ1994』は10.4％と、2桁の数字を超えました。視聴率1％を超えることが難しいケーブル放送で2桁の数字は夢のようなものです。 ケーブルテレビの歴代最高の視聴率を塗り替えた『応答せよ1988』の制作陣や出演者も、最初は『応答せよ1994』の視聴率が負担だったようです。視聴率公約を掲げたときに8％や10％を言及しながら、自信なさげにしていました。 『応答せよ1988』は分かりやすい話で本当に大ヒットを飛ばしました。制作費は60億ウォン程度でしたが、広告収入とVODの売上高を合わせれば220億ウォンを超えるそうですから、最低でも150億ウォン以上の収益を出したという計算になります。ドクソン役を引き受けたガールズデイのヘリが13個の単独広告を撮影したことをはじめ、ドラマに出演した俳優たちも広告界のラブコールに幸せそうです。
学生時代に自分が好きだった曲が流れてきてチャンネルを回さずに見入る中年女性や、食べ物を持ち寄って近所の家に集まる場面を見て、忘れていた近所の人たちのことを思っては服の袖を濡らした人もいるでしょう。 「ひとりでよく食べて、よく暮らしているのに、なんで私がこんな用事をしなくてちゃいけないの！」とぶつぶつと文句を言った後、考試村（国家試験を準備する人が集まって暮らす所、2畳ほどの狭い部屋で勉強しながら寝泊りする）で勉強する姉のためにおかずを持って行ったドクソンが、まともに横になることも難しい小さな部屋にカップラーメンが転がっているのを見て姉を抱きしめ泣く姿から家族愛を発見した視聴者もいるかもしれません。 あくまで個人的な考えですが「応答せよ」シリーズ、少なくとも『応答せよ1988』の人気は真率さに起因するように思います。飾らない私たち、いえ、私の話だということです。ドラマにはその時代の歌手やスポーツ選手たちの名前が実名のまま出てきます。 近所の人たちが誰でも座って休めるように路地に置かれた台、そこに座って食材の手入れをしたりしながら3人の母親が交わすおしゃべりは、私たちの生きる姿そのままです。夫が早く帰宅した妻に向かって「体でも温めなさい」という少し大人な言葉をかわしつつ笑う姿がとても自然に見えます。 ドラマの制作陣は、「洗練された素敵なバラエティやドラマがあふれるなかで、少しはダサい、高級ではないドラマはどうだろうか」と考えたそうです。洗練された服装、正しく堂々とした行動、華麗な弁舌などの見せかけの虚飾にうんざりしているのが今日の韓国社会です。 『応答せよ1988』は終わりました。アパート（マンション）の隣りの部屋には家計が苦しいからと気遣って分かち合う近所の人はいません。『応答せよ1988』の5家族がばらばらになったように、近所の人たちはもちろん、家族までばらばらになる時代です。虚飾が嫌でも戦場に向かうため、再び着飾らなくてはいけません。 『応答せよ1988』が終わったテレビドラマ市場に、ドラマの保証小切手として名を知らせている作家たちが再び登場するという報道が出てきています。家族の秘密、不倫、交通事故などが登場するストーリーに派手なセリフで流行語を生み出す作家が『応答せよ1988』の田舎者の話を色あせたものにしてしまうのではないかと心配です。 |
- Lim, Chul
- 入力 2016-01-28 00:00:00
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