A. | とあるアンケート結果を見ると、韓国ドラマ市場に変化の波が起きているようです。地上波(高周波)のありきたりなストーリーにあきた視聴者がケーブルテレビに移っているという話です。このような波を主導している視聴者が20~30代の若い視聴者です。 若い視聴者を魅了する作家は、それなりに厚いマニア層を形成しています。彼らが作り出すセリフひとつひとつが韓国を超えて外国にまで広がったりもします。 ソン・ジュンギとソン・ヘギョが主演を引き受けたKBSドラマ『太陽の末裔』を執筆したキム・ウンスク、韓国ドラマでは珍しい素材である『スリーデイズ』や『シグナル』などのドラマを作るキム・ウンヒ、KBSで復讐3部作(『復活』、『魔王』、『サメ~愛の黙示録~』)を披露したキム・ジウ、犯罪ドラマの新しいジャンルを開拓したパク・ヘリョン、SBSを広く知らせたドラマ『砂時計』の作家ソン・ジナ、『応答せよ』シリーズを執筆するイ・ウジョン作家などが韓国ドラマの新しい章を書いています。 ソウル芸術大学の文学創作科を卒業したキム・ウンスクは、新人小説家の登竜門である新春文芸に挑戦して、何度も失敗した経歴を持ちます。そんなとき、ドラマを書いてみてはという知人の勧めを受けて方向を転換したのですが、少しあとにSBSドラマ『太陽の南側』を書きながら、新人作家としてはとても成功的なデビューをすることになります。
『太陽の末裔』をKBSに渡す前、彼女の作品は全てSBSを通じて放映されていました。 キム・ウンスク作家は流行語を作ることにも才能があります。『パリの恋人』が放映されたとき「ベイビー、行こう!(애기야, 가자!)」、「あの男が私の男だと、どうして言えないのか!(저 남자가 내 남자다, 왜 말을 못해!)」を流行させたかと思うと、『シークレット・ガーデン』では「何歳のときからそんなに可愛かったの?」という言葉で話題を集めました。『太陽の末裔』を通じては軍隊用語ではありますが、「~であります(~이지 말입니다)」を各種娯楽番組にまで伝染病のように流行させました。 このような流行語を製造するキム・ウンスク作家の才能について、登場人物が沢山の言葉遊びのようなセリフを言うことから生まれた現象だと評価されます。『太陽の末裔』が話題を集めながら、軍隊に行って来た男性は軍に対する無知を露呈したと露骨に非難しました。『太陽の末裔』に登場する軍隊に対する誤解については別の機会に紹介します。 『危機一髪!プンニョンマンション』(tvN、2010)、『サイン』(SBS、2011)、『スリーデイズ』(SBS、2014)、『シグナル』(tvN、2016)など、韓国では少し珍しい素材を主に扱うキム・ウンヒ作家は、キム・ウンスクと親友です。去る総選挙の際にはポッドキャストにキム・ウンスク、夫で映画監督のチャン・ハンジュンと一緒に出演して、選挙に行ったことを証明した人に作家が直接サインした『シグナル』と『太陽の末裔』の台本集を贈呈するイベントを行ったりもしました。 作品はいいのに、視聴率が悪くて苦戦する作家がいるのですが、パク・ヨンソンもそんな悲哀をたびたび味わう作家です。2003年、映画『同い年の家庭教師』で名前を知らせましたが、映画とテレビドラマを行き来しながら作品を書いていますが、彼女が漫画を好きだからなのか、作品にも漫画的な要素が沢山登場するという評価を受けます。感性的で漫画的な要素は『いいかげんな興信所』(KBS、2008)で克明に表れるのですが、マニアファンは熱狂しましたが、当時のお茶の間に襲い掛かっていた史劇熱風により視聴率が2~3%ほどしか出せずに失敗してしまいました。DCインサイド(韓国最大の電子掲示板)ではパク・ヨンソン作家を「呪われた傑作」を書く人として表現しているほどです。 2013~2014年、SBSで放送された『星から来たあなた』でトップに上り詰めたパク・ジウン作家はもともとバラエティ作家として放送局で働き始めました。その後、SBSドラマ『彼女がラブハンター』の執筆を引き受けながらドラマへと方向転換したのですが、素晴らしい選択でした。『星から来たあなた』のほかにもKBSドラマ『棚ぼたのあなた』(2012)、『プロデューサー』(2015)を書きながら、実力を認められたのですから。 パク・ヘリョン作家の犯罪捜査ドラマ『君の声が聞こえる』(SBS、2013)は放送されるまでの紆余曲折が多いドラマです。編成権を獲得することができず、放送局をあちこちへと転々とし、PDから編成の約束を取り付けたのに、放送局の内部審査で「作品性が低い」という理由で断られたりもしたことが1度や2度ではありませんでした。しかし、実際に放送された後には、リアルで細かい進行と、説得力のあるエピソードとして、弁護士たちから好評を得ました。 これは、パク・ヘリョンが作品を書いた2年の間に、各種の裁判を傍聴して、法曹界の関係者に会ったことはもちろん、犯罪捜査に関連する講座を外すことなく聞いたから可能なことだったそうです。こうしてみると、作家とはまったく大変な職業です。 『砂時計』、『黎明の瞳』(MBC、1991)、『カイスト』(SBS、1999)、『太王四神記』(MBC、2008)、『ドラマ シンイ-信義-』(SBS、2012)などの作品でドラマ作家としてすでにトップになっているソン・ジナ作家は飛ばして、最後にバラエティとドラマで「ミダスの手」を持つと言われるイ・ウジョン作家を紹介します。ここで言及できなかった作家の中には、俳優キム・スヒョンをスターにした『太陽を抱く月』(MBC、2012)と『キルミー、ヒールミー』(MBC、2015)を書いたチン・スワンもいます。
バラエティ番組『1泊2日』の構成作家に参加したのですが、彼女の役割は出演陣の良い所を引き出すキャラクター設定セッティングでした。少し不足してはいるけれど、どこか愛らしく親しみを持てるキャラクターを作るのに、ものすごい才能を発揮するそうです。KBSバラティ番組、『男の資格』が中心をつかめずに揺れていた時に緊急で投入されましたが、上手く軌道に乗せたと言う言葉も聞きます。 イ・ウジョン作家は一緒に作業していたナ・ヨンソクPDと一緒にKBSからtvNへと籍を移したのですが、彼らがいなくなったとたんに『1泊2日』の視聴率が急落し、『1泊2日』の中心メンバーが誰だったのかを認めさせました。 tvNへと移ったイ・ウジョン作家が披露した作品が、高齢の元老芸能人を登場させた『花よりおじいさん』と『応答せよ』シリーズです。『応答せよ』シリーズは彼女が初めて書いたドラマです。「応答せよ」シリーズのなかで、初めて公開された『応答せよ1997』の制作当時のエピソードがあります。 ドラマを書くと言うと、ナ・ヨンソクPDが止めに入ったそうです。「ドラマだなんで何を言っているんだ。一緒にバラエティをしよう」 周囲の制止にも関わらず、イ・ウジョン作家が最後までかたくなに推し進めたそうです。 「私たちがいつから成功、失敗を考えながら仕事をしてきたの? 面白そうだと思えばやるの。1泊2日のときに成功するなんで誰も思っていなかった。ただ、私たち同士で楽しかったからやったんでしょう」 「応答せよ」シリーズは初心者の作家と新人級の俳優が作ったドラマとしては信じられないほど、完成度が高い作品として生まれ、賛辞を受けました。 このような才能あふれる作家をKBSがなぜ奪われたのか気になりますか? 噂では、KBSが公営放送であるため、彼女の活躍に見合うほどのギャラを提示できなかったからという説が有力です。 |