A. | 学生時代、「未成年者観覧不可」の張り紙がされた映画を見た記憶があります。たまに学生の風紀紊乱を取り締まる教師が映画館の前で見張っていることもありましたが、取り締まりを避けることは難しいことではありませんでした。そもそも劇場側が未成年者にチケットを売ってはいけないという考えを持っていませんでした。 このように、取り締まりを避けて大人だけが見ることのできる映画を見た感想は、一言で「失望」です。「子どもたちは見ないで」というほどの場面はあまり登場しませんでした。その時代には、すこし露骨なシーンが入っていただけでも上映することができなかったのです。だまされた感じがしましたが、それでも劇場に「未成年者観覧不可」の映画が上映されるたびに見たいという欲求が生じました。 後でよくよく考えてみたのですが、安い成人映画の制作会社が狙った観客は、おそらく性的好奇心に目を覚ました高校生の男子だったのではないか思うこともあります。 当時も、映画の内容について審議がされていました。審議というよりは、事前検閲でした。韓国から映像物の事前検閲が消えたのは、憲法裁判所で違憲判決が下された1996年以降です。評価審査が定着し始めたのが、わずか20年前という話です。映像物等級委員会が出来て、有害物から青少年を保護するために等級を分けをする現行の制度は1999年から始まりました。 評価審査の制度が西欧で生じ、これを世界各国が受け入れたので、各国の基準も大きく変わりがありません。だからといって、完全に同じでもありません。 以下はウィキペディアに記載されている、世界各国の映画の評価審査基準です。 黄色:保護者の指導が勧められる オレンジ:年齢制限はないが、指定年齢未満には適切ではない 赤色:両親や成人の保護者の同伴なしには指定年齢未満の者は観覧できない(または指定年齢未満の者は観覧できない) 黒色:成人専用 / 制限観覧可 子の中から、韓国に関してのみ説明します。下記は映像物等級委員会の資料の訳です。 全体観覧可(緑):すべての年齢に該当する者が観覧できる映画またはビデオ物 12歳観覧可(青):12歳以上の者が観覧できる映画(ただし親などの保護者を同伴して観覧する場合は可能) 15歳観覧可(黄):15歳以上の者が観覧できる映画(ただし親などの保護者を同伴して観覧する場合は可能) 青少年観覧不可(赤):青少年は観覧できない映画 制限上映可:煽情性、暴力性、社会性行為などの表現が過度に人間の普遍的な尊厳、社会的価値、善良な風俗または国民情緒を顯著に害するおそれがあり、上映および広告宣伝において一定の制限が必要な映画 テレビの等級審査は2001年2月から施行されました。テレビ番組は映像物等級委員会ではなく、放送局自身が審査します。地上波放送やケーブルチャンネルも同じです。放送局が自ら等級分けをするからと、適当にごまかすことはできません。放送通信委員会が事後審議をするからです。 テレビ番組の等級基準は映像物とは少し違います。テレビ番組の等級の分類は すべての年齢視聴可 7歳以上視聴可 12歳以上視聴可 15歳以上視聴可 19歳以上視聴可 の5つに分けられています。映像物と同じ5段階ではありますが、12歳の下に7歳以上がある反面、制限上映という等級はありません。 放送局が狂わない以上、テレビで放送できない番組を作るはずがないので、最後の段階が省略されたとみるべきです。 テレビ番組や映像物の等級分けをする基準は大同小異です。テーマ、煽情性、暴力性、せりふ(低俗な言語や俗語)、恐怖、薬物、そして摸倣危険などを確認して等級分けします。最も簡単な煽情性と暴力性だけをとっても、等級をつける人の恣意的な判断が介入する余地があります。 等級審査委員たちは、いつも客観的に、良心的に等級分けをしていると主張しますが、言い争いになる余地が残っているという意味です。この問題については、映画とテレビ番組に開けて、次の回に紹介します。 |