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[世智園] リー・クアンユーと尊厳死


  • [世智園] リー・クアンユーと尊厳死
シンガポールの国父リー・クアンユー元首相が23日、死去した。彼は先月5日、肺炎で入院した後、集中治療室で人工呼吸器に依存してきたと伝えられていた。リー元首相は、2013年に自叙伝で「もし本人が人工呼吸器で延命することになったら、医師は呼吸器を外し、私から離れなくてはいけない」と書いた。このような指針を履行するように弁護士と医者の署名まで受けた。

シンガポールの首相室は、「リー元首相が病院で平和に目を閉じた」と伝えた。自然に死を迎えたのか、「尊厳死」により死に至ったのかは分からないが、シンガポールでは尊厳死が認められている。尊厳死は意識のない回復不能患者から生命延長装置を除去するとき、または不治の病の患者本人が処方どおり死を選択するときに使う言葉だ。医師が薬物を注入する「安楽死」とは区分される。

尊厳死と安楽死は、今世界的な論争の種だ。米国では、尊厳死を普遍化するかどうかについて、今年、分岐点を迎える。脳腫瘍により昨年11月に死亡した29歳のカリフォルニアの女性のブリタニー・メイナードが論争に火を付けた。耐えがたい苦痛の中で、余命6か月を診断された彼女は尊厳死を認めるオレゴン州に移動した。美しい思い出のために家族と「最後の旅行」を終えた彼女は、苦痛のない死を選択した。彼女が、尊厳死により死に至る過程は、動画として作られており、1100万人が見守った。米国ではオレゴン州など5つの州でのみ尊厳死を許容してきたが、カリフォルニア州をはじめとする20の州が新たに尊厳死の許容法案を議会に上程する契機となった。

2005年から尊厳死を認めてきたフランスは、先週、下院で不治の病の患者に鎮静剤を投与して死亡させることを許容する「安楽死」法案を通過させた。2001年、オランダが世界で初めて安楽死を合法化したのに続き、ベルギーとルクセンブルクも許容している。

韓国では2013年7月、国家生命倫理審議委員会が無意味な延命医療の中断に関する法制化を政府に勧告した。ところが、政府はまだ法律案を国会に提出していない。死を迎えるために病院に行かなければならない患者が、これからは人間らしく死ぬために外国に行かなければならないという言葉が出てこないか心配だ。
  • 毎日経済_チェ・ギョンソン論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-03-23 17:15:17




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