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[社説] IUの酒広告を論じる国会、酒に酔って正気じゃない?


  • [社説] IUの酒広告を論じる国会、酒に酔って正気じゃない?
立法には挫折したものの、しばらく前に妙な法案が国会福祉委員会を通過した。「IU(アイユー)の酒類広告禁止法」というニックネームがついた法案だ。

法案の核心は簡単だ。アイユーのような24歳以下のタレントの場合、いくら人気が高くても放送はもちろん、新聞、雑誌、インターネット、ポスター、チラシなどの酒の広告モデルをしないようにするという内容だ。スポーツスターや人気芸能人が青少年に相当な影響を及ぼすだけに、彼らが酒の広告モデルをすることを防いで青少年に生じる飲酒に対する欲望、好奇心などを遮断するというのが法案の趣旨だ。

この法案を発議したセヌリ党のイ・エリサ議員は、オリンピックの金メダリストのキム・ヨナがビール広告に出演した2012年7月からスターが酒の広告モデルになることを防ぐために熱意を見せてきた。福祉委員会を通過した法案は、国会法制司法委員会の審査過程で、「憲法が保証する職業選択の自由を制限する」という理由で係留され、本会議への上程が白紙化された。

法案を発議したイ議員は、青少年を保護する法案の趣旨が色あせて残念だという心情を明らかにしたという。イ議員はかなり前から法案を準備してきただけに、法案の必要性を痛感していることと信じる。酒類会社が将来の顧客をつかむために、青少年の文化に浸透することを目的として、まだ幼いスターを広告モデルに起用する傾向にあるという主張にも同意する。

それにもかかわらず、この法案には問題になるような余地がかなり多い。韓国ギャラップが実施した世論調査で、回答者の半数以上が出した「大人なのだから、広告に出演してもよい」という意見や、職業選択の自由を制限するという理由などはひとまず置いて見てみよう。

この法案の最大の問題はアイユーが酒の広告モデルになることを防いだとしても、青少年の飲酒を防ぐことはできないことにある。立法目的を達成できない法案を作ろうとしたというのが最も大きな過ちという意味だ。

ソウルから売春婦が密集している、いわゆる集娼村(売春宿が集っている村)を追放した女性の警察署長は「その時の(自分の)行動が正しかったかどうか、振り返ったりする」と明らかにしたことがある。集娼村を取り壊したからと、売春が消えたわけではない。人々の目に見えない影の中に潜り込んだだけだ。10万ウォンを受け取って売春する女性は取り締まりによって警察署に捕まるが、巨額を受け取って財閥会長の慰み物となった女性は処罰されない二重の基準も過去を述懐する彼女の脳裏に刻印されていることだろう。

食べるものがなかった時代、田舎の子供は酒をろ過し、残りかすの酒粕を食べて育った。大人が知らないうちに、こっそり酒を盗んで飲んだりもした。大人はそのような子供を叱るよりは、そばに座らせて正しい酒道を教えた。

法案を発議した議員が韓国から酒を完全に追い出す禁酒を望むのでないなら、昔の大人の行動を振り返ってみる必要がある。青少年を飲酒文化から遮断することが現実的に難しいなら、正しい飲酒文化を定着させる方法から模索するのが順序だ。

アイユーの酒の広告モデルを阻止したからと、酒類会社が打撃を受けることはない。将来の顧客である青少年に近づくための効果的な方法を探すことは、酒類会社や広告会社にとってあまり難しいことではない。そうならば、むしろ酒の広告モデルが正しい飲酒文化を定着させるために一助するように勧めることが正しい。

「キム・ヨナ選手が酒の広告モデルをすれば、キム・ヨナだけでなく家族まで殺害する」という脅迫メールを送って起訴された30代の男性の姿に国会議員が追従する姿を見せるのであれば本当に困ったことになる。
  • O2CNI_Lim, Chul/写真=チャミスルホームページ
  • 入力 2015-05-10 09:00:00




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