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[社説] 精神病患者に銃を持たせた軍


  • [社説] 精神病患者に銃を持たせた軍
精神病患者の手に銃を握らせたとしたらどうなるだろうか。漠然とした想像だけで止まるべきだった事件が予備軍の訓練場で現実に発生した。去る13日午前10時37分頃、ソウル瑞草区に位置する予備軍訓練場でチェ某氏が射撃訓練中に、銃を乱射して加害者を含めて3人が死亡し、2人が負傷した。

事故が発生した瞬間に現場を統制しなければならなかった大尉級の統制官と助教らは全員避難して無事だった。射撃場で訓練を受けていた同僚の予備軍だけが被害を受けた。この日の事故は、射撃場の守則だけでも正しく守っていれば起こることの無いものだった。

チェ氏は、射撃訓練を控えて事故を起こすのに最適な場所となる一番左の1射路を利用すると自ら要望しており、「伏せ撃ち」の姿勢で銃を撃つ射撃場で一人で「座り撃ち」する姿勢をとる異常行動を見せたが、これに注目した助教はいなかった。銃を射撃台に固定する安全装置で固定していなかったにもかかわらず、助教は安全装置による固定状態をきちんと確認しなかった。

破られた守則はこのほかにもまだある。「伏せ撃ち」の姿勢から体を起こすと、すぐに助教が制圧することになっている守則も守られなかった。この事故で死亡した予備軍のぺク某氏の父親が「数人に向けて発射している間、何の措置もしなかった軍に問題提起をしたい」と憤りをぶちまけるのに十分なほど、軍の射撃場管理はいい加減だった。

予備軍訓練場の銃乱射を見ると、再びセウォル号惨事を思い出してしまう。過剰な船積みなどの規則を守らなかった運行により沈没事故が発生したときに、乗客の安全は度外視したまま、自分だけ生きようと逃げ出した船員のように、助教は訓練を受ける予備軍の生命は後回しにして、安全地帯に避難してしまった。

管理不足と責任者の統制能力の不在、現場の人員の責任意識の欠如は、あまりにも似ている。セウォル号惨事後、韓国人の意識は少しも改善されていないことを端的に見せてくれる部分だ。

軍は現役兵の数が減ったため、兵力増強の次元から予備軍訓練の強度を高めてきた。実際に訓練に参加した予備軍は、訓練の強度が以前よりもはるかに強くなったと口をそろえている。入所時間に1分だけ遅れても訓練に参加できないように帰宅措置をしたり、服装は面倒なくらいに細かく検査するというのが訓練に参加した予備軍の一般的な伝言だ。行軍する時にも耳が痛くなるほど「列を合わせて歩きなさい」という指摘を受けるという。

しかし、射撃場の安全は無視されていた。軍紀を立て直すための服装や行動は厳しく統制しながら、安全装置に銃が固定されたかを入念に確認する教官はほとんどいなかったというのが、訓練を受けた予備軍たちの共通した声だ。

列を合わせて歩くようにし、軍紀を正すことに重点を置いて、肝心な安全が必要な射撃場の守則は、正しく守られていないことから、今回の事故の原因を見出すことができる。予備軍訓練に参加しているすべての隊員に対する精神科の病歴を一々確認する方法はない。そのため、射撃場の統制は非常に重要だ。このような簡単な道理を無視する限り、韓国社会の安全は担保できない。

☞ 韓国の予備軍は、有事の際に備えた予備兵力だ。将校や副士官の場合は階級別に定年まで予備軍に編成される。一般兵士は軍から転役した後、8年間、予備軍として編成される。予備軍訓練に参加しない場合、1年以下の懲役や200万ウォン以下の罰金を受けることになる。
  • O2CNI_Lim, Chul/写真=MBN
  • 入力 2015-05-17 09:00:00




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