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[社説] 国民の未来を不毛にする権力争いはこれでお終いに

シワだらけの老人の手を握った失われた記憶を探して 

何種類かのナムルが盛られたかごを持って、市場の片隅にしゃがんでいる高齢の女性を見守る人はほとんどいない。市場を行き来する人たちも日々の暮らしに疲れて高齢者の世話をする余裕はない。

高齢女性のシワだらけの手を、数年前に選挙遊説のために訪れた政治家が握ってくれたことがあった。これから、高齢者の人生が楽になるように、しっかりと政治をすると約束もした。しかし、高齢者は選挙が終わるやいなや、忙しくて忘れられてしまった。

おそらく、高齢者の人生が終わっていなければ、来年の総選挙に出馬する候補者らが明るい笑みを浮かべて高齢者に近づくだろう。ただし、高齢者の手を握ってあげるためには、先に公薦(公認)を受けなければならない。公薦を受けられず、無所属で出馬するとなると、当選が保障されにくい。

現役の国会議員だけでなく、前回の選挙で落ちた人、国を変えてみせるという血気さかんな若い政治家も政界をのぞきこむ。公薦権という甘い権力に向けた争いも激しい。自分の前に政治家を並ばせるためには、公薦権がなくてはならない。

このような政治家の数字戦いの真っ只中に年金改革が横たわっている。年金改革が決して後回しできない課題であることは明らかだ。公務員が出した金で造成された基金は、すでに底をついた状態であるため、払い込まれた額の3倍に達する年金を支給するために、莫大な税金が投入される。

退職公務員に現在のように年金を支給するために税金を引き続き投入するわけにはいかない状況だ。財政に圧迫が加わることはもちろん、税金支援の全くない国民年金との公平性も合わない。

国民年金の最高支給額は160万ウォンだが、毎月300万ウォン以上の年金が支給されている退職公務員を周りでよく見かける。

このような状況であるため、退職公務員を「新ディンク族」に分類するほどだ。子供を出家させた後、年金だけで豊かな生活を享受することができており、「Double Income No Kid」というディンク(DINK)族の特徴と同じだという意味で付けられた言葉だ。

これだから、選挙の公約で公務員年金改革がランクのトップに上がるのは当然のことだ。与野党は公務員年金改革を推進する渦中に国民年金の支払額を高めようとし、政権の反発にぶつかった。

公務員年金改革を論じる場で、国民年金を取り上げたことは誤りであり、若い世代の負担が増えるというのが青瓦台(大統領府)が打ち出した反発の理由だが、裏面に公薦権をめぐる力比べが存在していることをほとんどの人が知っているほどだ。

議論は再開され、近いうちに国会で可決される可能性が高まったが、国民の将来について政界が暗闘を繰り広げる姿は、国民の生活が政治家の泥試合の人質になった感じさえして苦々しい思いに耐えない。
  • O2CNI_Lim, Chul
  • 入力 2015-05-25 09:00:00




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