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[SNSの世界] SNSの害悪論 VS 有用論


SNSが私たちの生活に深く浸透しながら、SNSに関する多様な考えと研究結果が出されている。

そこで、コンピュータ、SNSと人間の相互作用に関する学術的成果にはどのようなものがあるのか調べてみた。最も目立つのはSNSが人間の考える能力を破壊しえるという警告だった。英エディンバラ大学のIyad Rahwan博士チームの研究結果だ。研究チームは、膨大な量の情報を迅速に共有できるSNSは、人間の分析思考行為を妨げていると主張している。研究チームは、20人の被験者集団を対象に、3つの簡単だが、間違いやすい質問を投げた。1つの質問に対して5回答えることのできる機会を与えることが、この実験のポイントだ。

3つの質問はすべて似たようなタイプのものだが、そのうちの一つはこうだ。野球のバットとボールの価格が合わせて1.1ポンドなのだが、野球バットの価格がボールの価格より1ポンド高いとき、ボールの価格はいくらか。即興的な答えは、0.1ポンドだ。しかし、正解は0.05ポンドだ。野球バットの価格が1.05ポンドで、ボールの価格が0.05ポンドである場合にのみ、両者の間に1ポンドの差が出てくることを頭の中で計算してみたらわかる。5回の機会があったが、最初の答えを固守する人が多かった。

研究チームは、二番目の被験者のグループには、同じ質問を別の方法で提示した。最初に答えるときは独立的に行うが、その次からは他人の答えを見ることができるようにした。この二番目のグループに属している被験者は、彼らのネットワーク内に正解を知っている誰かがいることを意識しながら答えを修正した。二番目の集団に属する被験者の多くは、5回の答える機会を持つ過程で正解に転じたのだ。

ポイントは、似たようなタイプの残りの2つの問題を解くとき、最初に出す答えは相変わらず間違っていたということだ。最初の問題の答えを定める過程で問題を解く原理を考えていないことが明らかになったのだ。研究チームの結論は以下の通りだ。

「人々は考えて悩むことを面倒に思う傾向があるが、このせいで、SNSの浮上は他人の意見に頼るように作っている。自ら思考する代わりに、ネットワーク上の誰かは正解を知っているだろうという安易な考えに追い込む可能性がある。SNSから得る様々な情報を使用して助けを得る場合が多いが、とんでもないアドバイスや意見に振り回される危険性が常に存在する」

インターネットが人間の思考能力を低下させるという主張の代わりに、人間の思考能力を拡張させるという主張も説得力ある。最近出版されたClive Thompson氏の『考えは死なない(原題・Smarter than you think)』がそれだ。本は、人間とチェスの対決から糸口を探す。1997年、元世界チャンピオンのGarry Kasparov氏は、IBMのスーパーコンピュータ「ディープ・ブルー」との対決に完敗する。彼が見つけた第3の道は、人間とコンピュータの連合チームだったが、自らギリシャ神話の中の半人半馬の名前を取ったケンタウロス(Kentauros)を作った。

1998年には、このようなタイプの連合チームが競争するチェス大会が始まったが、後には人間とコンピュータを自在に組み合わせることのできるフリースタイルの大会が行われた。全世界の高段者が集まったが、優勝者は米国ニューイングランド出身の2人の若者だった。彼らはコンピュータ3台でソフトウェア5つを同時に駆動しながら、世界1400位の実力で高段者を打ち破った。彼らは、さらにディープブルーよりも性能の良いスーパーコンピュータ、ヒドラとの対決でも勝利した。

コンピュータの計算能力に加えて、人間の創造性と臨機応変さが結合されれば、強力な能力が創出されることを示す事例だ。Clive Thompson氏の主張はこうだ。「デジタルツールを使用すると、より多く見て保有する拡張された精神を持つ。チェスのゲームのように、コンピュータの助けを受けた時、人間ははるかに意欲を持ってゲームに参加し、新たな次元での人間の優位性を発揮した」

コンピュータとSNSは、人間の長所と短所を増幅させながら有用性と害悪性を同時に示している。重要なのは、状況によって区分して使う分別力だろう。この世界の万物のうち、理由もなく生まれたものはないのだから。
  • LUXMEN_ユン・グヒョン編集者・編集長(理学博士)
  • 入力 2015-05-29 17:43:58




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