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[コラム] 流言蜚語が出回る社会


  • [コラム] 流言蜚語が出回る社会
中東呼吸器症候群(マーズ / MERS)に関するデマ(流言蜚語)を流布した自営業の40代の男性が警察に逮捕された。彼は2日の午後2時20分頃、「マーズが発生した病院、現在隔離措置中。広く伝播してほしい」という内容で、4つの病院の名前を知人に拡散した疑いを受けている。

SNSに登場したA病院は外来患者が減り、問い合わせの電話が殺到したため原因を調べて、警察に捜査を依頼した。警察はカカオトークを通じて流布しているメッセージのソースを追跡し、3日午前、この男性を検挙した。男性は、このメッセージを最初に受けとったときに真実だと信じて通知しなければという考えからSNSに投稿したという。

今、韓国には二つの幽霊が漂っている。正体のはっきりしていない中東発のマーズというウイルスと、嘘だ。無能な政府は、幽霊との戦いに勝つ見込みがあまりないように見える。

影が実体の中から生まれ、実体の中に身を隠すように、通りを横行する幽霊もシステムの中に寄生する。システムに隠れていた幽霊は、システムが正常に動作しない瞬間、この世に出てくる。

SNSが伝える噂はいろいろな種類の内容を網羅する。「00時、○○病院で感染者が発生した。致傷率は40%だ。○○病院の集中治療室が閉鎖された。外では歯磨きもするな。海外では韓国が緊急災害1号…」

実際、SNSで広まっている情報のうち、信頼性の高いものはないのかもしれない。しかし、普通の人が軽い疾患を見てもらうために訪れた病院から死体となって出てきた状況では、どの病院か知っておきたいという欲求は好奇心ではなく、生存本能が発動したものだ。

国民は遊びでデマを流布するためにSNSで情報を共有しているのではない。セウォル号事態の時、現場のニュースを知らせ、救助に参加したり、せめて慰労金を送ろうと知人にメッセージを伝えたように、国民自らが自らを守ろうとするすさまじい苦闘だ。

韓国政府が情報を制御しようとするのにも明らかに正当な理由があるだろう。マーズの患者が見つかった病院であることを公開する場合、経営が苦しくなることを心配した病院側がマーズの患者が訪れていた事実を隠す恐れも明らかにある。

しかし、情報を制御するためには疾病管理をする当局が事態を掌握しているという信頼を与えなければならない。マースの拡散を遮断する初期対応に失敗して、約束していた3次感染者を出している疾病管理当局が、国民の信頼を得ているとは言えない。

疾病管理当局で内密に事を進めようとしていた間に、教育当局は学校に休校令を出すように推奨し、ソウル市はマーズに感染した医師が歩き回った動線を追跡して、彼の接触した人々を隔離させる案について悩んでいる。

政府の部処内でも手足が合わないような状況で情報を制御するなら、市民はSNSにさらに依存することになる。当局と病院が内密に隠していた感染の事実をSNSを通じて知った瞬間、SNSに載せられたいろいろな種類の情報はデマではなく、真実に変わる。
  • O2CNI_Lim, Chul/写真=MBN
  • 入力 2015-06-06 09:00:00




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