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[社説] サムスン電子、イ・ジェヨン副会長の経営権承継に赤信号か


  • [社説] サムスン電子、イ・ジェヨン副会長の経営権承継に赤信号か
米国系ヘッジファンドのエリオット・アソシエイツ(Elliott Associates, L.P.)が、サムスン物産と第一毛織の合併にブレーキをかけた。

サムスン物産の持分7.12%(1112万5927株)を確保したエリオットは、「第一毛織の合併計画案は、サムスン物産の価値を相当過小評価しているだけでなく、合併の条件も公平ではない」とし「サムスン物産株主の利益に反すると信じる」と明らかにした。

エリオットは経営参加の目的のためにサムスン物産の株式を保有していると明らかにしたが、韓国経済界でこれを額面通りに受け取る人はあまりいない。特定会社の株式を買い集めした後、会社を圧迫して差益を実現する典型的なバイアウト(buy-out)戦略を駆使してきた今までのエリオットの行跡を見れば、経営権よりは差益の実現に目的があるという見方が優勢だ。

経済界の一部では、エリオットが「第2のソブリン(Sovereign)になるだろう」と予測もしている。ソブリン資産運用は、2003年にSKの株式14.99%を1768億ウォンで購入した後に、経営権を圧迫して2年後に9523億ウォンで売りさばいた前歴を持っている。

支配的な市場の観測のように、エリオットは差益実現にのみ興味があるのかもしれないが、第一毛織とサムスン物産の合併、さらにサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の経営権継承作業は滞りなく行われる可能性が大きいのは事実だ。

しかし、今回のエリオットの攻撃的な態度から、これまでのサムスンが反省しなければなら部分がなくもない。第一毛織とサムスン物産の合併に不満を抱くサムスン物産の株主が少なくなかったという話だ。

先月26日、第一毛織とサムスン物産は、それぞれ取締役会を開いて合併を決議しながら、当時の基準株価によって、第一毛織とサムスン物産の合併比率を1対0.35に決定した。合併決議の直前まで株価が大幅に上昇し、第一毛織にとって有利なうえに、合併の目的が両社のシナジーを高めることよりも、イ・ジェヨン副会長の経営権継承のためだという分析も出てきた。

合併決議の直前、サムスン物産の1株の価値は5万5767ウォンで、全体の企業価値は8兆ウォン台の水準だったが、サムスン物産の価値を過度に低く評価したという指摘にも説得力がある。サムスン物産が保有するサムスン電子の株式(4.1%)のみ8兆ウォン台の価値があるうえ、サムスンSDSの持分(17.1%、3兆7500億ウォン)を加えると、11兆ウォンが超えるという事実も取り上げられた。

このような事実を知らないはずがないサムスンが第一毛織に有利な合併案を作った理由を、財界は経営権継承から見つけ出す。サムスン電子の株式保有率が0.57%にすぎず、支配力が弱いという指摘を受けてきた彼は、サムスン物産と第一毛織が合併すれば、サムスン電子への支配力が大きくなる。

サムスン電子の株式をそのまま引き継ぐ第一毛織の筆頭株主(23.23%)が、まさにイ・ジェヨン副会長だからだ。

オーナー一家が持分をあまり持たない状況において、支配力を強化するためにサムスンは、第一毛織→サムスン生命→サムスン電子→サムスン物産、サムスン電機、サムスンSDI→第一毛織につながる循環出資構造を構築した。

このような循環出資構造から、イ・ジェヨン副会長の経営権継承のために、第一毛織のサムスン物産との合併は避けられない課題として浮上し、合併が第一毛織に有利になるように、これまでサムスン物産の株価上昇を抑えたという疑惑も絶えず提起された。

エリオットの合併反対は、このような循環出資方式が抱えている弱点を掘り下げた攻撃とみられる。エリオットが合併に反対する意思を貫徹させるために、合併反対勢力を結集させるかは、まだ未知数だ。しかし、結果がどうであれ、経営権承継のために他の株主の利益を無視した仕打ちについては、振り返ってみる必要がある。
  • O2CNI_Lim, Chul/写真=MBN
  • 入力 2015-06-07 09:00:00




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