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[世智園] 院内感染と遠隔医療


  • [世智園] 院内感染と遠隔医療
病院に行くのが怖い。MERS(中東呼吸器症候群)ウイルスを中東からもたらした最初の患者を除くと、残りの患者80人全員が病院で感染したという。これだから、病院に行くのが怖くなるしかない。健康診断の予約を次々とキャンセルして、病院内の葬儀場に弔問に行くことさえ躊躇する雰囲気だ。

これまでMERS患者が、どこの病院で感染したのかさえ知ることができなかったため、病院を避ける現象はさらにひどくなった。MERS患者の近くにいたのか、いなかったのかを知ることができないから、国民が自宅隔離や疑わしい症状の申告に協力することも難しかった。韓国の国民はもちろん、与党・野党、地方自治団体が病院の名前公開を要求して、さらに病院協会が「MERSと関係のない病院まで被害を受けている」とわめいた。するとようやく韓国政府は7日、MERS患者が発生したり、経由した病院24か所の名前を公開した。MERS患者が初めて確認されてから18日後に行われた措置だ。

病院の顔色をうかがう、保健当局の無能力だけが問題なわけではない。複数の人が一緒に混ざっている病室の文化と、劣悪な病院施設も俎上に載せられた。病院に治療を受けに行って病気をもらった患者がこれまでも1人や2人ではなかっただろう。

病院内の感染を減らす案がないわけでもない。それがまさに、遠隔医療だ。情報通信と医療機器の発達により、今は患者が病院に直接行かなくても診察・治療を受ける方法が開かれている。障害者・島しょ・へき地の住民、そして糖尿病・高血圧などの慢性疾患者にとってはあまりにも便利な方法だ。グローバルな傾向でもある。

米国が1997年、遠隔医療を許可し、日本、オーストラリア、スウェーデン、デンマークなどに続き、最近には、中国も大々的な遠隔診療の導入計画を発表した。

韓国では「近所の小型の病院の経営が苦しくなる」として、大韓医師協会が反対している。新政治民主連合も「遠隔診療=医療民営化」という奇怪な論理を掲げて阻止している。MERSウイルスが拡散している非常事態の中でも病院の反発を心配して、「病院の名前を公開することができない」と突っぱねていた保健当局を見て、怒りが心頭した。教育・ショッピング・金融がすべてリモートで行われる今の情報化時代に「遠隔医療はだめだ」と突っぱねている新政治民主連合の文在寅(ムン・ジェイン)代表と李鍾杰(イ・ジョンゴル)院内代表を見ながらも腹が立つ。

  • 毎日経済_チェ・ギョンソン論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-06-08 17:54:19




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