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[モノの哲学] ゴーグル、ある不可能な戦い


  • [モノの哲学] ゴーグル、ある不可能な戦い
目が悪くてではなく、目を保護するためにかける眼鏡がある。最も一般的なのはサングラスだ。強力な太陽光が目に吸収されるのを防ぐために幅広く使われる。ところが、より強力な紫外線やより積極的な活動性が強調される用途には、他の種類のメガネが使われる。

「ゴーグル(goggle)」というモノだ。紫外線透過をより強力に遮断するために「グラス」に該当する部分は、機能的に特化した強化ガラスやプラスチックで作られる。周辺の異物から目を保護するため、ガラスはメガネフレームに該当する部分なしに顔に圧迫的に密着している。

このモノの代表的な用途は、スキーだ。雪原から反射される太陽光は照りつける太陽よりも目にとって致命的だ。スキーは非常に活動的なスポーツなので、目に異物が吸収される可能性も多い。ゴーグルはこれに最適なものだ。最近では、「スポーツゴーグル」としてサイクルや野球の試合などにも広く使われる。

ゴーグルは軍事用にも使われる。雪原と同じくらい、砂漠の軍事作戦で紫外線と砂埃は大きな自然の障害物だ。軍事用に使われるゴーグルの中には、紫外線を遮断するだけでなく、逆に暗い夜に赤外線を透視することができるものもある。

今、私たちが実感しているこのモノの用途は、「医療用」だ。マーズ(MERS)感染患者の世話をしたり、拡散を防ぐために死闘を繰り広げる医師は防護服に加えて、非常に大きいゴーグルをつけている。私たちの体のすべての「穴」は、細菌侵入の最も簡単な通路であり、目もそうだからだ。

ワシントンポストが数日前に公開した注目される記事のうち、成人映画を撮るときに、俳優たちにゴーグルを義務的に着用する法案をカリフォルニア州安全保健局が設けているという記事があった。性感染症の主要な経路として「目」が新たに取り上げられたのだ。

マーズと戦っている医師の中から確定患者が出続けている。ゴーグルを使って患者を治療する医師の切ない苦労の中に、恐怖が感知される。

大きくて透明な圧迫眼鏡をかけて目に見えないウイルスと向き合うのは、どんな気持ちなのか。そのゴーグルは、ほこりの穴よりも小さい隙間からでも空気のように「目」に浸入する可能性のある目に見えない異物を「完全に」ブロックしながら、目に見えない異物を同時に見つけ出し、それと対決しなければならない「不可能な戦い」の現場に置かれている。この現場で「人間」の身体とは全く壊れやすく無力だ。
  • 毎日経済 ハム・ドンギュン文学 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-06-26 16:10:45




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