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[世智園] 数放者(数学を諦めた者)


  • [世智園] 数放者(数学を諦めた者)
「高2の数放者(数学を諦めた学生)なのですが、どんな講義を聞くべきでしょうか?」「数学はカンで回答して5等級の評価が出る数放者なんですが、助けてください」

受験生たちが主に訪問するインターネットコミュニティの「スマンフィ(修学能力試験日に満点試験紙をなびかせよう)」、「オルビ(orbi)」などによく上がってくる文だ。「数放者」から脱出したいのに、容易ではないというのが彼らの変わらない嘆きだ。あまりにも量が多くて難しく、途中で一度つまずくと簡単に追いつけないのが韓国の数学だ。

数放者は特に説明をする必要もないほど大衆によく知られている用語だ。文字通り「数学を放棄した者」だ。先日行われた、高校生10人のうち6人、小学生10人中4人が数放者だというアンケート調査の結果は非常に衝撃的だ。アンケート調査の結果ではないが、実際に2014年修学能力試験の数学の点数が30点にも満たない文系の受験生は38.6%にのぼる。しかし、「どうして数学教育は、こんな状況になったのか」と嘆いてばかりもいられないことだ。なぜなら、 「数放者=大放者(大学放棄者)」と呼ばれるもう一つの公式が存在するからだ。現行の入試制度は、専攻を問わず数学が得意な学生を優遇するため、数学を放棄すれば大学に入りにくい構造だ。上位の大学は国文、史学、哲学科の場合も数学に加重値を設ける。

数学は得意でなくても、文学、歴史、芸術、論理学に関心と素質がある子供は、「国英数の人材」のみを好む後進的な評価システムにより不利益を受けているわけだ。「数学至尊」のみ認められ、私教育狂風が起きているのだ。どれほど状況が悪ければ、子供を数放者にならせまいと、妊婦が数学胎教まで行うのだろうか。妊婦が「19×19段」を覚え、数学の問題集を解きながら胎教をするのは、海外トピックに記載されるようなことだ。

数放者が社会問題になると、教育部は最近、2018年から小中高の数学の学習内容を削減し、難度も低くすると発表した。しかし、入試での比重が減らない限り、数放者が量産される副作用を防ぐことはできないだろう。数学を学生に順番通りに並ばせる道具として使用するという認識から脱することが解決策の糸口になることだろう。数学の本質と意味をどのように学生に伝えるかが教育の焦点にならなくてはいけない。

昨年、世界の数学者大会に参加したイングリッド・ドブシー国際数学連合会長は「韓国は好奇心を刺激し、自信を育てることが不足している」とし「教師に研修を受けさせて図式化された教育方法から脱し、学生を知的に刺激するようにしなければならない」と強調した。数学教育の枠組みを根こそぎ変えずには数放者問題の解決は難しいことだろう。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-08-05 17:40:29




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