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[コラム] 注目を集めるのに熱心なゴミのような記者


韓国の人気タレントのカン・ホドンが死亡したという噂が広まったことがある。一日中ポータルサイトのリアルタイム検索語の上位圏を占めたのだから、おそらく本人も見ただろう。同名異人があまりにも多いので、これを見たカン・ホドンは「他のカン・ホドンさんが他界したのだろう」と考えたかも知れない。

しかし、その日に死亡した「カン・ホドン」はいなかった。SNSを介して急速に広がったカン・ホドン死亡説​​の震源を探ってみると、あるネットユーザーが自分のツイッターのアカウントに投稿した、いたずらだった。彼は緊急ニュースであるかのように、<第1報>という用語を使用しており、2時間前という表現で緊迫性を追加した。

ただのいたずらだった。内容を詳しく見ると、苦笑してしまうレベルだ。「カン・ホドン、自宅で息を引き取った状態で発見!」だった。しかし、内容をしっかりと読まずにネットユーザーがカン・ホドンが死亡したと誤認して「カン・ホドンが死んだそうだ」、「なぜ死んだのか、自殺か?」という内容を加えながらSNSを熱くした。

注目を集めるために使った「息を引き取った状態で発見」という表現の犠牲者となった人は、カン・ホドンだけではなかった。性犯罪で実刑を宣告されたコ・ヨンウクは、彼が置かれた当時の情況から、さらにもっともらしく広がっていった。トップスターのイ・ヒョリ、サムスングループの李健煕(イ・ゴニ)会長とSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長も犠牲になった。

人々の注目を集めたがる人が、SNSを利用する恥を知らない人だけならまだいいが、メディアもここに参加してしまうのだから問題が深刻だ。 「息を引き取った状態で発見」というネタが出回ると、ある新聞は「コ・ヨンウク自殺説『コ・ヨンウク、自宅で息を引き取った状態で発見』驚愕!」というタイトルの記事を出した。

あえて報道する必要もなく、また、どうしても報道するのなら「作り話によるいたずらが乱発している」だとか「SNSのいたずらがひどすぎる」というタイトルをつければ十分なのに、その新聞は読者の注目を集めるための単語を総動員した。

読者の関心を引くために、過度な単語を使用した記事は毎日数え切れないほど多く発見される。衝撃、驚愕、結局、ドッキリ、えっ!、信じられない、びっくり、息をのむような、誰?、口がぽかん、などの視線を集めるための言葉が総動員される。本当に口がぽかんと開いてしまうレベルだ。

あるサイトは、韓国のマスコミが記事のタイトルに「衝撃」という言葉をどれくらい使用しているかを分析した後、衝撃という言葉の説明文の中に「是非クリックしくれと読者に懇切に願ったり、読者を釣るために報道機関が記事のタイトルに加える一種の『呪文』」という項目を追加した。

考えてみれば「記者たちの飲み会の合作」であることが判明した「イ・シヨンのチラシ」も関心を誘発するための作り話に過ぎなかった。虚偽事実の流布により起訴された現職記者は酒の席で虚偽の事実を聞いた後、もっともらしく見せるために、小説のように書いたことが明らかになった。

その記者がちゃんとした記者だったとしたら、一晩で小説を書くよりは、事実確認のために現場に走って行っただろう。事実確認をしないまま記事を作成した記者は、記者としての資格を喪失する。

問題は記者としての資格が疑われる記者が一人や二人ではないということだ。SNSの伝播力に怯んだメディアは、正しく確認されていない事実でさえ、過激なタイトルをつけて記事を書くことに余念がない。衝撃的なタイトルをつけず、速度が劣ったとしても「信頼できるメディア」で勝負をしようとする新聞、放送局を見つけることが難しいのなら、読者は「事実と偽り」の間でさまようことになるだろう。

偽りが飛び交う世界で、権力と資本から自由で、関心を集めようとする欲望から抜け出したメディアが世論の中心にならない限り、チラシの波紋は続くことだろう。
  • O2CNI_Lim, Chul
  • 入力 2015-09-06 00:00:00




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