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[世智園] 座礁した個室病室の実験


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勇敢な試みだったが実現できなくて残念だ。梨花医療院がソウル市の麻谷地区に新たに建設している麻谷病院の話だ。

先月初め、キム・スンチョル梨花医療院長は、2018年に開院する新しい病院の基準病室を3人部屋にして、重症患者のみを個室にすることに決定したと明らかにした。基準病室とは、健康保険の適用を受ける一般病室のことだ。既存の大型病院では4~6人部屋を基準病室として運営している。麻谷病院では、3人部屋を4~6人部屋と同様の入院費で利用できるようにするという意味だ。

保健福祉部も8月初め、健康保険政策審議委員会を開いて、大規模病院の1~3人部屋に健康保険を適用できるよう規定を変えた。43の大型病院の1~3人部屋1569病床に健康保険が適用されることになる。中東呼吸器症候群(MERS / マーズ)事態で現れた問題点を補完する対策だった。

梨花医療院は昨年、麻谷病院設立計画を明らかにしたときに全病室の個室化を掲げて注目を集めた。しかし、現実の壁を超えられなかった。財政負担に耐えることができないと判断したようだ。実際には、最終的な決定時に、医療分野の非専門家である学校財団の理事会側の影響力が強く作用したと言われている。梨花医療院側は残念さを隠すことができなかったかのように、3人部屋を1人部屋に切り替え可能な可変構造で設計するとした。医療制度が成熟すれば、1人部屋に変えるというものだ。

個室病室は患者間の感染のリスクを軽減し、大部屋よりもはるかに快適な環境を提供することができる。プライバシーの観点からも早く定着なければならない。医療先進国では、患者を比較監視する必要がある場合にのみ大部屋の病床を活用し、1~2人部屋方式で運営してから久しい。マーズ事態のとき、病室と応急室の過密化により病気を拡散させた平沢聖母病院とサムスンソウル病院での手痛い経験を再び言及したくもない。

これまで、病院は患者や医師とは無関係に、1~3人部屋を経た後、安い大部屋を割り当てる方式でぼったくりをしてきていた。大型病院の患者のうち、84%が不必要に1~3人部屋に入院した経験があると答えたほどだ。個室病室の料金が大部屋に比べて最大8倍までの格差を示す構造も問題だ。

病院は1人部屋でも一定水準の収入を得ることができる病床稼働率を確保しなければならない。患者も1人部屋を特室​の​概念よりも院内感染予防のための安全装置として受け入れなければならない。病院と患者の両方の努力が必要だという話だ。梨花医療院麻谷病院が個室病室の試験病院として歴史に残って欲しい。あきらめずに再度推進することを期待している。
  • ユン・ギョンホ論説委員
  • 入力 2015-10-11 09:05:58




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