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[コラム] 見てこそ見える


今回は、アンジェリーナ・ジョリーの話をしてみようと思います。韓国の芸能人ではないからと、がっかりしないでくださいね。

彼女が監督する映画のせいで気分を害した日本の方もいらっしゃるかもしれませんが、体重が37キロに減ったほどですので、同情する気持ちが自然と沸きませんか。写真を見ると、本当に骨が浮き彫りになっています。

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アンジェリーナ・ジョリーは映画『トゥームレイダー』を撮る前までは、あまり知られていませんでした。演技力を認められてはいたものの、セクシースターとしてのイメージはあまりでした。かつては少し壊れたイメージもありました。実の兄とディープキスをして近親相姦をしているという誤解も受け、生放送のインタビューで俳優と一緒に登場しながら「私たち今、車の中で○○して来ました」と話したこともあります。

麻薬にはまってしまうことを心配した母親が14歳の時から彼氏と一緒に寝ることを許可したというから、性に対しては非常にオープンな人生を生きているようです。実際、日本の女性と一緒に暮らしたりもしていましたから、バイセクシャルに近いでしょう。ブラッド・ピットと10年以上を暮らしながらも、米国全域でゲイの結婚を合法的に認めるまでは結婚式を先送りにすると言っていましたが、2014年に6人の子供が見守る中で質素な結婚式をあげました。

『トゥームレイダー』はアンジェリーナ・ジョリーの生活を変えました。スターになっただけでなく、世界を見る目を変えたのです。映画撮影のために2001年にカンボジアを訪れたのですが、内戦による悲惨な生活を目撃しました。ジョリーは自分があまりにも楽に生きてきたことを悟ったのです。

彼女は映画が終わった後もカンボジアを定期的に訪問し、貧民支援と環境保護活動を繰り広げ、自分の最初の子であるマドックスに会って養子縁組もしました。マドックスの母となった後、自分は初めて新しい人になったと言ったこともあります。

もともとは自らを虐待する性格なので、子どもを正しく育てることができない気がして子育てを放棄していましたが、マドックスに会って考えを改めたといいます。

二度の結婚を離婚で終えて、ブラッド・ピットに会った後、二人は一緒に慈善活動を行っています。二人が恋愛をしていた時期、ハリウッドではジョリーの風変りで火のような性格をピットが耐えられないだろうという予測が支配的でしたが、今では代表的なおしどり夫婦に選ばれます。人にはみな、自分のペアが存在するのだという気もします。

何を言いたいかというと、ジョリーの細くなった体のことではなく、夫婦の慈善活動のことでもなく、娘を少年のように育てていることでもありません。ちなみに、ピットとジョリー夫妻は娘のシャイロに男の子のような服装はもちろん、「ジョン」という男の名前を許しました。子どもが男の子のように行動することを望んだため、彼女の意志を尊重しようという意図でしょう。

このようなオープンな心について話したいと思ったのです。

ジョリーのこの開かれた心は、どこから来るのでしょうか。人ごとに見解は違いますが、カンボジアでの経験がオープンな心の種になったと思います。

クリスマスシーズンになると韓国の通りのあちこちに救世軍の慈善鍋が置かれます。清らかな鐘が慈善鍋へと募金を持った手を導きます。誰が募金をするのでしょうか。地下鉄を利用する小市民です。運転手が運転する車に楽に座って舟をこぐ財閥でも、渋滞する道で前の車が進まないからと高級乗用車のクラクションを鳴らすお洒落さんでもありません。彼らの目には、慈善鍋は見えないことでしょう。

保守言論で億ウォン台の年俸を受けとって、財閥を相手に取材に熱中する記者たちの目にも貧しい隣人は見えません。目に見えないから、心の琴線に触れるような出来事もないことでしょう。他の世界を見ようとする努力もしません。より高い世界を見上げるために首が痛むような思いをせずに、下を眺めてみるなら、世界はもっと豊かになることでしょう。とにかく、ジョリーには、ご飯をもっとしっかりと食べて欲しいものです。
  • O2CNI_Lim, Chul
  • 入力 2015-10-11 08:00:00




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