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[SNSの世界] ヘル朝鮮で「土スプーンのビンゴ」


  • [SNSの世界] ヘル朝鮮で「土スプーンのビンゴ」
数日前、友人が一枚の写真をモバイルメッセンジャーで送ってきた。「これ、最近流行ってる『土のスプーンのビンゴゲーム』だって。大当りだよ。ビンゴがふたつも出た」

送ってくれたビンゴカードには、何かが書かれていた。中注意深く調べてみた。 「トイレに水を溜めておくタライがある」「家計に負債がある」「両親の子どもの教育への執着が激しい」「インターネットショッピングするときに最低価格を探すのに時間をたくさん投資する」など、25種類の項目がぎっしり書かれている。

よく考えてみると、チュンゴナラ(中古の国、中古品売買を行うインターネット掲示板)で取引をしたことが何度もあった。今年の夏は暑かったけど電気料金が負担になるからとエアコンを頻繁には使わなかった。インターネット上で何かを購入するとき、私は最も安い製品を探すことに1~2時間は基本的に投資する。項目をチェックしてみると、該当する項目が7つで、ビンゴも1列完成した。「ビンゴが1列以上できたら、土のスプーンに認証されたことになる」

韓国のオンラインコミュニティを熱くさせた「土のスプーンのビンゴ」だ。その項目数に応じてスプーンの評価が分かれる。金のスプーンからはじまり、銀・銅・土、最後は「くそ」スプーンだ。金のスプーンはあえて就職をしていなくても、親から譲り受けた財産で暮らしていける人だ。恋愛・結婚・出産を放棄する「3放世代」には夢のような話だ。銀のスプーンは金のスプーンには及ばないものの、親がマンション程度は準備してくれる上位10%だ。銅スプーンは、親が家までは買ってくれないとしても、億台の賃貸保証金程度は助けてくれる中産層レベルを意味する。ここにも属していない人が「土のスプーン」だ。これが「ヘル朝鮮」の評価だそうだ。

最近、韓国では、ソーシャルネットワークサービス(SNS)をはじめとするオンライン上でスプーンでランクを分けた経済階層区分と「ヘル朝鮮」が話題だ。ヘル朝鮮は地獄を意味する英語の単語「ヘル(Hell)」と朝鮮時代を合わせた造語だ。当初、暗い朝鮮時代の姿を指して風刺した単語だったが、21世紀の大韓民国を指す表現として浮上した。庶民が立身出世する夢も持つことが難しい、最近の韓国の若い世代の相対的剥奪感を示す。

この、冗談から作りだされた可笑しくも悲しい流行語は今、大韓民国を席巻している。ここから派生した流行語は、さらに風刺的だ。童話『人魚姫』を脚色して、非正規職から正社員になったら「声」を奪われて労働部に通報もできないまま、搾取される「ヘル朝鮮残酷童話」も話題になった。

危篤な4歳の子どもを乗せた救急車が接触事故を起こしたのだが、これに道を塞いで文句を言った運転手の話を引用して、「この味があるから、ヘル朝鮮で暮らしている」を略した表現まで新造語として登場した。

それでは、土スプーンがヘル朝鮮生き残るためにはどうするべきだろうか。「ヘル朝鮮」を絶対基準にしたらいい。最近、韓国政府が国史教科書の国政化を発表した。これに風刺的なネットユーザーたちは「ヘル朝鮮だという事実を忘れて生きなさいということ」とし、「この味があるから、ヘル朝鮮で暮らしている」という反応を見せた。

少し前まで熱風が吹いていた「ヒーリング」は忘れるべきだ。「痛いから青春だ」と叫べば「ヘル朝鮮の合理化」と批判されることは明らかだ。厳しい生活の中で少しの慰めを与える「ヒーリング」は贅沢だ。ただ犀(さい)の角のように努力だけをして、これを天国だと思って目を閉じればいい。それが土スプーンの運命だ。

ソーシャルメディアは、直接通りに出て、青年30人に書いてもらった「ヘル朝鮮(ヘルチョソン)」3行詩(単語のそれぞれの文字を頭文字にして作った3行の詩)を紹介した。様々な創造的な3行詩が紹介されたが、その中で最も注目を集めたのは、「ヘル(プミー!)チョ(急いで叫んでみても、この国を出なければ)ソン(選択の余地がないな…)」という3行詩だった。

もはや希望がないからと、この国を去りたい気持ちが如実にあらわれていた。 「ヘル朝鮮で生き残る」攻略本が必要なときだ。
  • 毎日経済 チョ・ヒヨン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-10-16 16:16:15




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