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韓国の製薬会社、多国籍製薬会社とのオープンイノベーションを始動

「手帳の中の秘密」すべて公開して…「革新」が始まった 

  • 韓国の製薬会社、多国籍製薬会社とのオープンイノベーションを始動
△写真=去る7日、米国サンフランシスコで開幕した米国リウマチ学会のプレゼンテーションルームが全世界の製薬分野の研究者たちでいっぱいになった。製薬会社や研究者たちは、この場で自分たちの研究成果の公開を介して情報を共有し、協力相手を探す。 [サンフランシスコ=イ・ドンイン記者]

米サンフランシスコのモスコーンセンター。この場所はスティーブ・ジョブズが頻繁にプレゼンテーションを開いた空間だ。 2008年7月、ジョブズはiPhone 2を発表し、アプリストアをうち出した。大部分の既存企業は自社のコンテンツを提供する企業と8対2で収益を配分してきたのとは異なって3対7で配分し、アプリストアという市場を活性化させるところに成果を収めた。アプリストアはオープン・イノベーションの代表的な成功事例となった。去る7日(現地時間)から、同じ空間で米国リウマチ学会が開かれている。広大な発表の場には数千枚のポスターだけがぽつんとつけられている。

ポスターは、製薬分野の研究者が自分の大切な研究成果を参加者に隠さずに教えるための複雑なグラフと数式でいっぱいだ。

製薬業界のオープン・イノベーションは、IT分野とは生まれからして違う。製薬分野のIP(特許)は、透明な情報公開によってのみ商品化が可能だ。規制当局の審査を通過するためには、一般に臨床結果を発表し、他の研究者の評価を通過しなければならない。 iPhoneのように、特許庁とアップルだけが知っている特許は出てくることはできない。

学会はまさに新薬やバイオ医薬品の候補物質を導入する、オープンイノベーションの現場だ。アプリストアが開発者の参加を高めたというならば、製薬業界は学会やカンファレンスなどを通じ、革新的新薬の枯渇による困難を突破して行っている。有望な技術と課題を保有している研究者と企業がともに参加し、研究開発の課題のプレゼンテーションを通じて情報を共有し、臨床・薬剤・IPなど、社内外の各分野の専門家らの間で意見を共有する時間が作られる。

今回、リウマチ学会で最も大きな関心を呼んだ「食べる関節リウマチ治療剤」も、今回の学会を通じて競争が促進される見込みだ。食べる関節炎治療剤は、ファイザー社とイーライリリー社などの製薬会社がそれぞれ製品として開発したが、ファイザーがけっきょく初めて商用化に成功した。しかし、イーライリリーは今回の学会で1日1回飲む薬を開発すると明らかにし、再び関心を集めた。ファイザーも今回、1日1回の用法で許可を行っていると明らかにしたことで、食べる治療薬の開発競争は再び始まったわけだ。

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  • < オープンイノベーションの事例 >

このような状況をすべて公開すると競合他社が真似るのではないかという懸念があるが、すべての進行状況が公開されるので、むしろ無謀に真似することもできない。

グローバルな製薬会社は、すでにオープンイノベーションをR&D革新の最も重要な手段として活用している。仏サノフィ社の場合はオープンイノベーションを支援する組織を別に置いて、複数のプロジェクトを同時に進める。

支援組織はプロ球団で言えば、可能性のある選手を発掘するスカウトだ。サノフィは韓国にある大田事務所を含め、上海に位置するアジア・太平洋本部などが相互接続されて可能性のある研究を発掘したし、韓米(ハンミ)薬品の量子プロジェクトと目が合った。多国籍製薬会社がオープンイノベーションに集中する理由は、外部の革新的なアイデアを輸血する一方で、大規模な資金投入と低い成功率から来るリスクを減らすためだ。

ハンミ薬品のR&Dの成功要因のうちの一つがオープンイノベーションの導入だ。ハンミ薬品のイ・グァンスン代表は、「過去には研究員らが自分の研究結果を、手帳のような自分だけが知っているところに書き込んだ。重複研究は当然ながら多く、研究者が交替するとまた原点から始めなければならなかった」と語る。そこでハンミ薬品は研究結果の共有システムを作り、これがグローバルなテバク(大当たり)のしっかりした土台になった。

その他の韓国企業も徐々に変化している。企業がベンチャー・学界・研究機関などと協力して有望な新薬候補物質を発掘し、新薬開発の可能性を高めるオープンイノベーションを体得している。 C&D(Connection & Development)方式を通じて、市場性のある新薬の開発時間を短縮するために乗り出しているわけだ。

韓国の製薬会社は特に、多国籍製薬会社とのオープンイノベーションに始動をかけた。ハンミ薬品が2013年にサノフィと共同開発した高血圧および高脂血症治療剤である「ロベリート」は、韓国の製薬会社が多国籍企業と製品開発から承認・営業・マーケティングまでの全過程を共同で行った代表的な事例だ。

JW中外製薬も日本の中外製薬とC&C新薬研究所をともに設立し、痛風治療剤「URC-102」を開発した。

オープンイノベーションは研究開発だけではなく、既に開発された新薬の海外進出を模索することもある。サノフィ・アベンティスがLG生命科学の糖尿病治療薬である「ゼミグロ(Zemiglo)」の80カ国あまりの販売を準備しており、バイエルはトンアエスティ(Dong-A ST)社が開発したスーパーバクテリアの抗生物質「テディゾリド(Tedizolid )」の海外進出に協力している。 GSKはハンミ薬品の抗生物質「オーグメンチン(Augmentin)」の中国での販売を助けている。
  • 毎日経済_サンフランシスコ=イ・ドンイ記者/ソウル=キム・ギチョル記者/ウォン・ホソプ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-11-12 00:04:28




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