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[SNSの世界] 天才少年の盗作疑惑を明らかにしたネット捜査隊


  • [SNSの世界] 天才少年の盗作疑惑を明らかにしたネット捜査隊
今週は天才少年ソン・ユグンさん(18)の論文盗作で騒々しかった。科学技術連合大学院大学(UST)は25日、「米国の天体物理学ジャーナル(The Astrophysical Journal)が先月掲載したソンさんの論文を盗作と判定し、論文掲載を撤回した」と明らかにした。問題になった「線対称、異常ブラックホール磁気圏:再考」というタイトルの論文はソンさんが指導教授である天文研究院のパク・ソクジェ博士と一緒に作成し、先月5日、ジャーナルに掲載した。

ソン・ユグンは、6歳で相対性理論を理解し、大学レベルの微積分の問題を解いて話題を集めた人物だ。2006年、仁荷自然科学大学に入学して8歳という最年少の大学生にもなった。彼は短期間で、大人でも成しえない記録を立てて多くの期待を集めた。期待が大きかっただけにショックも大きい。

インターネットには、残念だという気持ちを吐露する意見が多かった。ネットユーザーの「コーヒーラテ」は、「引用表現だけ正しく行っていればよかったのに、このように育てたのが残念だ」と書き込んだ。応援の声もあった。あるネットユーザーは「ソン・ユグン君が勇気を失わずに再挑戦することができることを願う」と述べた。人為的にスターを作ろうとする学界の軽率さを皮肉る意見もあった。また別のネットユーザーは、「ソン・ユグンが成功することを望んではいるが、まだ自分で研究する能力がないのにあまりにも早く学位を与えようとしているようだ。『最年少』のタイトルに執着する欲が呼んだ惨事」と書き込んだ。

一方、今回の盗作事態の中心にネットユーザー捜査隊がいて話題を集めている。 DCインサイド(韓国最大のインターネット掲示板)で「キム物理」というIDを使うネットユーザーは、去る19日からDCインサイド物理学のギャラリー(掲示板)で各種根拠をあげながらソンさんの論文を批判した文章を掲載した。盗作が事実だと明らかになると、「キム物理」が作成した文章は、ビュー数が一日で2万件を突破した。

ネットユーザー捜査隊の威力は今回の事例だけではない。いつからか韓国の事件・事故は、ネットユーザー捜査隊を抜きにしては語ることができなくなった。国家情報院の大統領選挙介入を露わにした「国家情報院コメント事件」の情報提供者は、平凡な会社員だった。インターネットを見ていたとき、ソーシャルネットワークサービス(SNS)で奇妙な気配を発見した彼は、疑わしいツイッターのアカウントを追跡した。 IDをグーグルで検索して、その持ち主が投稿している他の記事を探していく方法で掘り下げた。その結果、特定の機関が繰り返し投稿をした情況を把握することができた。 「黄禹錫論文ねつ造疑惑」「ソク・ヘギュン船長の弾丸の真実」などもネット捜査隊が作った作品だ。

ネットユーザー捜査隊は、米国科学捜査隊CSIの捜査力に劣らないという意味で「NCSI」とも呼ばれる。彼らの活躍を見ると、NCSIという名前が誇張ではないようだ。ネットユーザー捜査隊は権威に抑圧されるよりは、理性と論理を重視する。合理的かつ論理的主張であれば、勇敢に明らかにして、他のネットユーザーたちの支持を待つ。「黄禹錫論文操作疑惑」「ソク・ヘギュン船長の弾丸の真実」も同じ過程を経て真実が明らかになった。

もちろんネットユーザー捜査隊がすべて成功したわけではない。 「TABLO学歴偽造」のように魔女狩りや事実確認がきちんととれていない疑惑にとまったケースもある。結局、重要なのは真実と偽りを区別する私たちの判断力だ。サイバースペースが理性と論理で満ちているほど、真実が光を放つだろう。
  • 毎日経済 イ・ソンヒ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-11-27 16:14:06




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