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10年ぶりに焼酎「火堯」の黒字転換に成功した廣州窯のチョ・テグォン会長

酒・食・陶磁器の高級化…世界に向かわなくては 

  • 10年ぶりに焼酎「火堯」の黒字転換に成功した廣州窯のチョ・テグォン会長
最近、酒の席で「火堯(ファヨ)」を探す人が増えた。居酒屋や寿司屋などの和食レストランはもちろん、焼肉屋やユッケ屋などでも広く需要がある。「火に治められた貴重な(堯)酒」という意味のように、すっきりとしていて濃い味が素晴らしいという口コミのおかげだ。低アルコール酒が大勢の酒類市場で25度を超える強い味から、火堯が日本酒やウイスキーの中間にあるどこかの酒だと思われがちだが、火堯は100%韓国の国産米で作った伝統焼酎だ。陶磁器メーカー「廣州窯」のチョ・テグォン会長(68)が赤字を耐えて粘り強く推し進めた酒だ。2005年、火堯をこの世に発売してから、なんと10年後の昨年、黒字転換に成功して感動の表情を浮かべるチョ・テグォン会長は、どんな感想を聞かせてくれるだろうか。


Q. 火堯、とても人気がありますね。

A. 火堯は伝統的な焼酎製造方法で作られた韓国のお酒です。本来、韓国では米を蒸留して焼酎を作っていました。ところが、日本植民地時代を経て濁酒(マッコリ)、薬酒、そして希釈式焼酎だけが残り、すべて消えてしまいました。これらはすべて最も手頃な価格のお酒です。焼酎が低級アルコールになりながら、当然安価な食品と一緒に扱われ、サービスも事実上存在しなくなりました。

切断された伝統的な焼酎の命脈をよみがえらせるために国内最高の専門家と一緒に、2003年から火堯の生産に突入しました。ただし、昔の記録文献を見て、そのまま作ったからと、伝統になるのではありません。伝統的な方法を活用しつつ、新たな技術革新を加味して伝統を発展させなくてはいけません。火堯も伝統的な蒸留酒のように常温で蒸留させると、焦げた匂いと雑な匂いが生じますが、これをなくすために圧力を下げて約30~40度で沸騰させ蒸留させる「減圧蒸留」方式を適用して、悪臭をなくして米の風味を生かすことができました。

Q. 10年近い赤字から黒字転換した秘訣が気になります。

A. 2011年2月に軍隊に納品して突破口が開きました。火堯は世界各国のお酒と競争するために、アルコール度数を多様にしました。「火堯17度」は日本酒とワイン、「火堯25度」は日本の焼酎、「火堯41度」はウォッカ、「火堯エクストラプレミアム(41度)」はウイスキー、「火堯53度」は高粱酒(白酒)をターゲットにしています。火堯を飲んだ軍曹や将校が「わが国の酒なのに、洋酒よりすっきりしていて味もいい。わが国の酒を飲もう」と言って、徐々に結実が現れ始めました。1年に転役する将兵が約20万人なのですが、彼らが両親や友人にプレゼント用として火堯を買って、民間市場にも広がり始めました。

Q. 陶磁器ビジネスの途中に火堯を作った理由は何ですか。

A. 理由を語れば長くなります。もともと大宇で商社マンとして勤務した後に防衛産業関連の事業をしていました。ところが1988年、廣州窯を運営していた父が亡くなるさいに、6人兄弟の末っ子である私に家業を継ぐように指示したのです。兄弟のうちで実業家が私だけだったという理由でした。その程度だったら出来るだろうと考えて、最初は快諾しました。ところが、文化事業は見た目ほどには簡単ではありませんでした。工場も増設して陶器で有名な先進国も見回って勉強し始めました。陶磁器事業に軽く足だけつけようと思ったのですが、全身がはまってしまったのです。勉強をしてみると、陶磁器大国は食の大国であることを知るようになりました。1ドルから1000ドルまで、様々な食文化があり、その価格帯に準ずる様々な工芸品が開発されたものだったのです。だから外食事業部、ガオンソサエティーを新設して、韓国料理店をオープンしました。しかし、今度は私たちの食べ物に合ったお酒がありませんでした。5万~10万ウォンの食事に3000ウォンの酒を添えることはできません。だから、私たちの酒、火堯を作ることになりました。

Q. それでも陶磁器と食、お酒は一見してやや異質な事業のように見えます。

A. そうではありません。 「なぜ陶磁器を作る人が食べ物を作るのか」と尋ねることは、「なぜピアニストがバイオリンも弾くのか」と尋ねるようなものです。食生活にも調和があります。例えば家はとても豪華なのに、車はポニー(かつて韓国を代表する庶民の自動車だった)を運転し、プラスチック製の食器でご飯を食べると想像してみてください。その人は家だけが富の尺度であるわけです。調和のとれていない「ちぐはぐ文化」です。そのような文化を見て、外国人が感動するでしょうか。このように、陶器、料理、酒は切っても切れない不可分の関係です。

Q. 古くから韓食世界化を唱えてきましたが、中間評価をするとすれば。

A. まだ「世界化」という言葉を付けることは難しいですが、レベルがそうとう高くなったのは事実です。年内のミシュランガイドソウル版の発刊に期待が高まります。評価機関が世界基準で韓国料理を評価するはずですから。これまで韓国料理は、これといった評価基準がありませんでした。当然しっかりとした競争も行われることがありませんでした。ミシュランガイドソウル版は、1~2年以内に韓食世界化が本格的に開始されるきっかけになるでしょう。

Q. ようやく火堯が定着したので、他のことを考えることもありますか。

A. 今のところは、火堯の事業に集中する計画です。人々の好みが変わる速度が最も速いのは断然お酒ですから。陶器は、なぜこの器に入れて食べなくてはいけないのかという価値があまり分からないため、中間程度の速度で変化し、食べ物はそれぞれ母親の料理に手懐けられているため最も遅く変わります。火堯を介して稼いだお金は、すべて陶器や飲食に再投資します。誰が見ても伝統韓国料理店と言えるだけの模範的な韓国料理店を作ります。飲食店はがまさにその国の食文化を示す展示館であり、体験館です。ここで「注ぎなさい飲みなさい」式の低質な飲酒文化ではなく、お酒を料理と一緒に楽しむ高級文化を広めます。30%は直営店、70%は加盟店で構成された高級韓国料理店のフランチャイズも計画中です。

Q. 今後の夢や計画が気になります。

A. 現在、韓国の外食市場規模は約70兆ウォンです。今年、ミシュランガイドソウル版が出れば、市場全体で高級化が行われ、5年以内に市場規模が2倍以上大きくなると予想します。その時、私たちの酒と陶磁器も世界に広がっていくでしょう。今までは「価格競争」でしたが、今後は「価値競争」が始まるのです。熱心に良いお酒と料理を作って、それを準備する必要があります。

ただし、現在、お酒は生産量とアルコール度数(従量税)ではない、生産コストに税金が課せられる「従価税」が適用されていますが、これが良いお酒を作るのに厳しい環境を造成しています。製品が売れなくても、工場から出荷する際に100%の税金を払い、さらにお酒の瓶にも税金を課します。韓国のお酒をグローバル化するには、お酒の入ったボトルも高級化するべきなのに、従価税の環境では資金圧迫が並大抵のものではありません。従価税を従量税に変える制度の改善が急がれます。

世界の外食市場は5000兆ウォンと推算されていますが、韓国料理がグローバル化されれば、50年後には世界市場の5%を占めていると考えてみてください。市場規模が今のように維持されても、少なくとも250兆ウォンです。21世紀は、文化が新成長動力になる時代です。起業家であれば、このような夢を見るべきです。サムスン電子のテレビや現代自動車エクウスも、小さなトランジスタテレビとポニー1台から始まったではないですか。
  • 10年ぶりに焼酎「火堯」の黒字転換に成功した廣州窯のチョ・テグォン会長
  • 毎経エコノミー ノ・スンウク記者
  • 入力 2016-02-15 09:55:38




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