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[コラム] 映画「タクシー運転手」が気に食わない人々


全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領側が映画『タクシー運転手』の制作陣に対して法的対応を検討するという。

「5.18は極悪非道なパルゲンイ(赤い奴=アカ/共産主義者)が起こした暴動であることが明らかなのに、映画はそれを歪曲しているようだ。戒厳軍が市民に発砲したというのは明らかな捏造だ」。映画『タクシー運転手』に対する全斗煥氏側の評価だ。

「パクサモ」(朴槿恵を愛する会)や「父母連合」などの極右団体はさらにその上を行き、「青い目の目撃者」ユルゲン・ヒンツペーターを「北韓(北朝鮮)の指図を受けた東ドイツ工作員」だと扇ぎたてている。

自らの体面がかかっているからなのか。それとも本当にそう信じているからなのか。

極右団体らがそのような主張を展開する理由は、あるにはある。5.18(オーイルパル)虐殺に直接関与したか、幇助したか、黙認していた極右政治家らが、自分たちにに襲いかかってきた道徳的な打撃を挽回するために流布して拡大させてきたからだ。

2002年、極右性向の論客である池萬元(チ・マンウォン)は、金大中(キム・デジュン)元大統領と北韓の金日成(キム・イルソン)主席が組んで送り入んだ北韓の特殊部隊が介入したと主張した。池萬元は法院で死者に対する名誉毀損で有罪判決を受けたが、5.18に対する歪曲された視角は隠すつもりもないようだ。公然とテレビ放送にも出てきたほどだからだ。保守メディアの「チャンネルA」と「TV朝鮮」がその一翼をになった。

2013年5月にTV朝鮮『チャン・ソンミンの時事タンク』(239回)は、自らを光州に来た北韓の工作員だと主張するイム・チョンヨン自由北韓軍人連合代表を呼んで、フィルターをかけずにそのままを放送した。イム・チョンヨンは2006年から極右保守メディアとインタビューを行って、言い分を二転三転させてきた人物だ。とにかくTV朝鮮に出てきた彼は「600人と推定される北韓の特殊部隊が光州に下った」と語り、彼の言葉は電波に乗って全国各地に流れた。

続々と反論する主張が提起されるやいなや制作時間に追われて歪曲放送をしたと謝罪したが、それもつかの間、極右の関係者らが出演した『狙撃おしゃべり』という番組で再び「5.18は暴動」だと騒ぎ立てた。

同じ時期に東亜日報系列の総合編成チャンネルのチャンネルAも、『キム・グァンヒョンの蕩蕩平平』(97回)でイ・ジュソン脱北軍人協会代表の北韓軍介入説を放送した。

イ・ジュソン代表は「5.18当時の北韓介入の事実は、北韓では公然の事実」だと非常に自信に満ちた口調で語った。北韓の特殊部隊は5月27日に後退しつつ、特殊戦司令部の軍人3人以上を殺したという話も並べた。

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「チャンネルA」はインタビュー内容は放送で初めて明らかになった内容だという刺激的な内容まで加えて、その放送内容をYouTubeに公開したりもした。

保守陣営も5.18に対するこのような歪曲を嘆いている。しかし極右保守の関係者とメディアがまいた疑いの種は、極右団体のとんでもない主張に論理と根拠を提供している。立ち位置がはっきりしない脱北者が勢いを得て、極右メディアのヒットエンドランのあとを「パクサモ」と「父母連合」のメンバーが埋める。

弾劾審判を受けた朴恵槿(パク・クネ)前大統領も2007年に公開された映画『光州5・18』を見た後、「27年前の光州市民が経験した痛みが感じられるようだった。その涙と痛みを心に深く刻み、真の民主主義を達成して光州の犠牲に報いようと考えている」と語ったことがある。

今の「パクサモ」会員たちには忘れられた言葉だ。会員らの耳には遠い過去にしぶしぶ謝罪放送を行ったTV朝鮮の5.18特集と、全斗煥の抗議の声ばかりが聞こえていることだろう。
  • O2CNI Lim, Chul
  • 入力 2017-08-13 00:00:50




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