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[コラム] 生きる楽しみをどこから見つけるか


先日、日本の映画を1本見た。女優の綾瀬はるかが400年の時代を行き来する『本能寺ホテル』という映画だ。

劇場で見たのではなく偶然インターネットでダウンロードして見た映画なのだが、作家と監督が織田信長の熱烈なファンなのではという気がした。

務めていた職場が廃業したため突然失業者になった主人公は「結婚でもしよう」というボーイフレンドの計略(?)にはまって京都を訪れて本能寺ホテルに宿泊することになる。特にすることも、したいこともないので結婚を承諾した状態だった。

宿泊施設に行こうとエレベーターに乗って降りてみると、400年前の本能寺。本能寺の変の前日の織田信長が側近たちと滞在していたところだった。

主人公が見知らぬ過去で初めて会った人は織田信長の小姓、森蘭丸だ。森蘭丸は主君が開く茶会で失敗を犯すのではないかと心配になってお腹が痛くなった状況だ。織田信長の性格がそれほどせっかちで恐ろしかったという話だ。

日本の戦国時代の3人の英雄、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と3人にまつわる話は韓国でも広く知られている。

「鳴かぬなら殺すぞ」と脅迫した織田信長、おいしいものをあげると丸め込む豊臣秀吉、鳥が泣くまで待つ徳川家康。3人の性格を比較しようとしているのではなく、映画でも小姓が主人を恐れてブルブル震えていたという話を伝えたいのだ。

無理やり参加したお茶会で主人公は織田信長の高圧的な態度に怒り問い詰める。そうして追われて緊急事態になった刹那にホテルに戻って来る。数回にわたってこのようなことを繰り返して織田信長が日本を統一しようとする願いが民に向かっていることを知ることになる。(これ以上のあらすじはネタバレになるので省略)

日本の歴史の重要な節目を直接経験した主人公は、自分が何をしながら生きればいいのかを悟ることになる。時代を行き来したせいでボーイフレンドとの結婚はなかったことになってしまうが。

昨今の世界で若者たちは一日一日がいっぱいいっぱいに感じるばかりだ。考えてみれば400年前だからと庶民の生活が楽しかっただろうか。

とにかく、楽しみとして新しく持った趣味が財布を開けて、些細な物を買わせる。上司の視線を気にして夜遅くまで働いて帰宅途中にチキンを3羽も4羽も買ったりする。このような購入行動をめぐって「タンジンジェム(ささやかなものを購入して財布の中身を使い果たす楽しみ)」という単語も生れた。

  • [コラム] 生きる楽しみをどこから見つけるか
世論調査会社トレンドモニターの調査結果は「タンジンジェム」に陥った人が結構いるという事実を確認させてくれる。

家族も友達でもなく、自らを慰めるものを買いながら財布を開く場面が切なくなるばかりだ。

いくらもらうかに関係なく自分の仕事に夢中になって楽しさを感じることができればどれほど良いだろうか。仕事が自分の適性や趣味とはまったく違う状況であれば、やりたいことをするために一晩明かしたくなるのならどれほど良いだろうか。

「明日はもっと良くなるだろう」このような期待を抱くことができないなら、あんなこんな願いも全てつまらない話に留まることだろう。だから筆者も口を閉じることにする。

ただし一言、せっかく「タンジンジェム」にはまるなら良い映画1本、良い本1冊を買うのはどうだろうかとお勧めしたくはなる。ただでさえ頭が痛くて死にそうなのに本を読む気分にはならないって?
  • O2CNI Lim, Chul
  • 入力 2017-09-03 08:50:00




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