トップ > コラム > 帰順兵士を救ったイ・グクチョン医師…相反する評価のワケは?

帰順兵士を救ったイ・グクチョン医師…相反する評価のワケは?


■ 海外メディア「帰順兵治療の李教授」相次ぐ報道

「大胆ながら繊細な魅力で人を魅了する医療ドラマの主人公」「患者の人権を侵害して自己主張が好きなアウトサイダー」。亜洲大病院圏域外傷センターのイ・グクチョン教授に対する相反する2つの評価だ。前者は海外メディアがイ教授の最近の行跡を見て提起した評価であり、後者は韓国の政治家と医学界の評価だということがわかるとあきれるという指摘が出ている。

23日、ワシントンポスト(WP)やニューヨーク・タイムズ(NYT)、ウォールストリートジャーナル(WSJ)などの主要海外メディアはいっせいに、帰順した北韓(北朝鮮)軍兵士の命を救った人物であるイ・グクチョン教授の活躍と人生の物語を興味ぶかく照明した。

WPは「北韓兵士のために韓国人たちは、この医師に希望をかけている」というタイトルの記事で、重症外傷の権威であるイ教授の活躍と人生の物語を興味深く扱った。記事は「今回の事態のマクドリーミー(McDreamy)はまさにイ・グクチョン教授」と紹介した。マクドリーミーとは米国の人気医療ドラマ『グレイズアナトミー』の有能で魅力的な男性主人公の医師の名前だ。

WPはイ教授の過去の業績も詳しく紹介した。記事は「イ教授が注目されるのは今回が初めてではない」とし、「2011年、ソマリアでの海賊の銃撃で危篤状態になった韓国人船長の生命を救い、国民的英雄に浮上した」と伝えた。 WPは2011年に「アデン湾黎明作戦」当時、イ教授が中東オマーンの病院で待機しており、困難な手術の末にソク・ヘギュン船長を成功裏に処置したエピソードを具体的に描写した。

イ教授が実際に韓国の人気医療ドラマのモデルになったという内容も、新聞は興味深く伝えた。「アデン湾黎明作戦」の活躍にインスピレーションを受け、テレビドラマ『ゴールデンタイム』が登場したし、昨年に人気を集めた医療ドラマ『浪漫ドクター キム・サブ』もやはりイ教授をモデルにしたキャラクターが登場すると紹介した。また今年で48歳のイ教授は、36時間交代勤務のきわめて劣悪な環境で働き、片方の目はほぼ失明状態だと伝えた。

韓国で医学を勉強した後、米カリフォルニア州のサンディエゴメディカルセンターで重症外傷の治療を勉強したイ教授は帰国後、どの病院にもきちんとした重症外傷センターがなく、3万人の外傷患者が毎年死亡するという事実を悟って、故国の医療環境を改善するために率先して乗り出さなければならなかったという事情も紹介された。イ教授の諮問で、韓国では2012年5月に「イ・グクチョン法」と呼ばれる救急医療に関する法改正案が通過し、政府は現在までに圏域外傷センターを16ヶ所に増やし、現在は交通反則金の20%が外傷センターに行くという内容だ。

一方、韓国ではイ・グクチョン教授に対する評価は海外メディアとは多少異なる。キム・ヂョンデ正義党議員は21日、「北韓軍兵士は治療を受ける過程で寄生虫や内臓の糞便、胃腸のトウモロコシまで公開されるなど、人格テロを受けた」と教授を批判した。

イ教授は過去のインタビューで、SKY(ソウル大、高麗大・延世大)大学出身同士が徒党を組んで他大学出身を叩く、韓国医療界の問題について言及したこともある。

亜州大学を卒業したイ教授は22日、帰順兵士関連のブリーフィングでも「皆さんが好む、いわゆるソウルのビッグ5病院とは異なり私たちには力がない」とし、「重症外傷センターは米国なら可能なろうが、韓国では持続可能でない。一寸先も見えない状況だ」と吐露したこともある。

イ教授は亜洲大教授会が発行するニュースレター「タクリュチョンロン」50号(2017年9月発行)に寄稿した文で、「世界的に使われる外傷外科の教科書の標準診療指針に従って治療したという内容を、(削減決定機関である)健康保険審査評価院に提出しても受け入れられなかった」とし、「病院は私によって年間10億ウォンの赤字を出したし、私は仕事をすればするほど損害を招く組織員であり、罪のない罪人だった」と心境を吐露した。原則通りに患者を処理し、使わなければならない薬品と機器を使用し、手術は必要に応じて行ったにもかかわらず、診療費を過剰に削減されたと主張した。
  • 毎日経済_シン・チャンオク記者/オ・シネ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-11-23 17:32:39




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア