トップ > コラム > 「半導体報告書の公開は、競合他社への貢ぎ物」

「半導体報告書の公開は、競合他社への貢ぎ物」


  • 「半導体報告書の公開は、競合他社への貢ぎ物」
  • サムスン電子の従業員が半導体生産ラインを点検している。 写真提供=サムスン電子



「この資料(半導体工場の作業環境測定報告書)が公開されて中国企業のような競合他社の手に入ると、さあどうぞお召し上がりくださいというのと同じだ」。

去る16日から17日までの二日間にわたって行われた、産業通商資源部産業技術保護委員会の半導体専門委員会の会議に出席したある専門委員は、サムスン電子の器興(キフン)・華城(ファソン)・平澤(ピョンテク)・温陽(オニャン)半導体工場の作業環境測定報告書を見た直後、このように語った。雇用労働部がある総合編成チャンネルのPDの情報公開請求を受け入れて、第3者に公開しようとしているその報告書だ。先だってサムスン電子は、「報告書が外部に公開されると営業秘密が露出する」とし、産業部に報告書の内容が国家核心技術に該当するかどうかを確認してほしいと申請した。

18日、産業部の関係者は政府世宗庁舎で半導体専門委員の決定背景を説明し、「報告書の多くの情報は比較的詳細に盛り込まれており、各委員が見るやいなやとても驚いた」とし、「これは国家核心技術が盛り込まれた報告書だということにみんなが共感した」と述べた。前日に産業部は、「サムスン電子半導体事業場の作業環境測定報告書は、国家核心技術が含まれている」と判断した。

半導体専門委は委員長のソウル大電気情報工学部イ・ヒョクチェ教授を含む教授委員7人と研究院委員4人、関連団体の関連委員2人ずつ計15人で構成されている。半導体専門委は利害関係者である協会員2人の4人を除いた11人の全員一致でこのような結論を下した。産業部の関係者は、「半導体専門委に関与した人々は、世界的な碩学として認められた人々」だと意味を付与した。

産業技術保護委員会は産業技術保護法に基づいて国家核心技術を指定し、企業などの利害関係者の要請に応じて国家核心技術に該当するかどうかを判断する役割を果たす。これまで輸出などで核心技術の判定依頼を受けた事例は多いが、産業災害と関連して作業環境測定報告書に対する判断を下したのは今回が初めてだ。

産業部の関係者は、「専門委員らが報告書全体の内容を一緒に閲覧しながら議論した結果、報告書全般に企業が数多くの試行錯誤の末に見出した最適の工程配置、化学物質の使用量などが詳しく盛り込まれているという判断を下した」と説明した。非専門家の立場では単純な図面に過ぎなくても、競合他社がこれを分析する場合には、世界最高水準の半導体製造ノウハウに対する推測を十分に試みることができるというものだ。

産業部の関係者は、「報告書の測定位置の章には工程名とレイアウトが表示されている」とし、「何階にはいくつのライン、いくつのベイ(Bay)があるかまで詳しく説明してあり、(競合他社が見た場合には)設備・工程に対する最適化の方法を類推することが可能だと専門委員は判断した」と語った。この関係者は、「設備・工程の配置は数多くのケースがあるが、後発者が数ヶ月から数年までを投入してこそ得ることができる情報というわけ」だとし、「(報告書が公開されると)一気に獲得できると専門委員は分析した」と述べた。

特に半導体分野では、数十キロメートルに及ぶ工程の配置がすぐさま生産性を左右する競争力なので重要度は高いという説明だ。工程に入った化学物質の種類やひと月の取扱量の情報も、収量とつながる重要な機密だ。産業部の関係者は、「年度別の化学物質の種類と使用量を見ながら、工程の変化を把握することができる」とし、「これによって数多くの試行錯誤を経なければならない問題を、一気に解決することができる」と述べた。この関係者は「中国の競合他社がわが国の半導体専門家を奪うことに心血を注いでいるが、このような情報まで漏れたなら、(韓国に)追いつくのは時間の問題」だとし、「一般人の視点から見てはならない」と専門委員会の雰囲気を伝えた。

このような産業部の決定で、報告書の公開を強行した雇用部は慌てた様子が歴然だ。雇用部は、前日の産業部の判定後は苦心の末に立場を表明しないことにし、この日も「産業部から会議の内容と判断根拠の詳細を渡してくれないと、立場を明らかにするのは難しい」とし、関連する言及をさけている。

先だって雇用部は「サムスンから作業環境測定報告書をきちんと公開しないせいで、病気になった労働者が労働災害と認められない」とし、大田高等法院の情報公開取り消し請求控訴審の判例を引用して、「たとえ作業環境測定報告書にサムスンの営業秘密を含んでいても公開しなければならない」と主張した。

今後は雇用部の判断基準が営業秘密に該当するかどうかだ。営業秘密の場合、情報公開法の例外規定に基づいて開示をしなくてもよいが、国家核心技術はそのまま営業秘密につながるという法的根拠はないからだ。半導体業界の関係者は、「産業部の確認作業がなかったならば、ある工場の事例から業界機密に該当しないという法院の判断を一般化して、器興・華城・平澤など他の最高難度の工場まで第三者に公開しようとしていた雇用部の政策態度が続いただろう」と語った。
  • 毎日経済_ソク・ミンス記者/チェ・ヒソク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-04-18 23:50:48




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア